目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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22.時は過ぎて鍛錬六日目

 狭霧山の鍛錬も佳境に入る。

 錆兎と真菰のアドバイスにより、自分の苦手な型がわかった私は、四日目、五日目とその苦手な型の練習に比重を置き、何度も繰り返してつかっていた。

 

 二人の指摘通り、どこでどのように体力を持っていかれていたのかを理解することができたため、何度も調節して体力の減りを少なくすると、どうしてあんなに疲れていたのかと言いたくなるくらい楽になった。

 

 もちろん、無消費ではない。

 少しの消費は発生する。

 でも、結局は微々たるものだった。

 

 だから、成果が出てきた五日目の午後は、克服した苦手な部分も併せて、三日目のようにヒノカミ神楽を舞い続けた。

 

 結果は上々。

 三日目に比べると明らかに疲れ知らずとなっていた。

 

「二人のおかげで改善できたよ、ありがとう。」

 

 朝、錆兎と真菰の元に向かった私は、二人に感謝の言葉を述べる。

 ここまでできるようになったのは二人のおかげだから。

 

「どういたしまして。」

 

「ああ。」

 

 私が感謝を述べると、真菰は笑顔で、錆兎は何かを企んでるような顔で、こちらの感謝に対する言葉を紡ぐ。

 

「……何を企んでるんだ、錆兎?」

 

「バレたか。」

 

「それなりに付き合いは長くなったからな。」

 

 錆兎に企みについて言及すると、彼は刀を取り出しては私と向き直る。

 

「刀はまだ届かないのだろう? それなら、届くまで最後の手合わせに誘うつもりだったんだ。」

 

「最後の手合わせ……ねぇ……。」

 

「ここ最近はずっとヒノカミ神楽の練習ばかりだったからな。今日は水の呼吸だけを使っての手合わせをして、なまってないかを確かめる。明日はお前がヒノカミ神楽、俺が水の呼吸全てを使っての違う呼吸同士の手合わせだ。一部の型にかまけて、他の型の威力が落ちていたら意味がないからな。だから、しっかりと威力を維持することができているか……水の呼吸の精度が落ちていないか……残りの日をいっぱいに使って確認する。」

 

「……一理あるね。わかったよ、錆兎。その話を受ける。」

 

 企みの答えがわかった私は、すぐにそれに応じるように刀を手に取る。

 

「じゃあ、始めますか。」

 

「ああ。どっちかが刀を手放したら負けだからな。」

 

「何戦する?」

 

「そうだな……日が暮れるまで何回でもするか。」

 

「おっと……なかなか骨が折れそうだな。」

 

「安心しろ。連続でしたりはしない。一戦終えるごとに休憩を挟んだりするさ。真菰。勝敗の数はお前が数えてくれ。」

 

「うん。わかった。」

 

 そこら辺にある木の棒を取ってきた真菰が、自身の足元の地面に私の名前と錆兎の名前を記す。

 そして、穏やかに笑いながら顔を上げ

 

「それじゃあいくよ。始め!」

 

 手合わせ開始の号令をかけた。

 私と錆兎はそれを聞くなり同時に地面を蹴り上げる。

 そして手にしている真剣を煌めかせながら互いに互いへと振りかぶった。

 

 

 

 ………昼時になれば、もちろん私は一旦鱗滝さんの元へと帰宅した。

 だって、腹が減っては戦はできぬって言うしな。

 

 しっかりと食事をして、少しだけ休憩する間、鍛錬の間は構うことができない炭治郎と禰豆子の相手を行い、二人が眠り始めたら再び狭霧山に向かえば、錆兎との休憩を挟みながらの手合わせが再開する。

 

 そうすること数時間。

 空は茜色に染まり、すっかりと夕暮れ時となってしまった。

 

「そこまで! もうすぐ日が暮れちゃうよ。」

 

「……早いな。」

 

「錆兎との手合わせ、意外と楽しかったから時間忘れてたよ。」

 

 それを見計らったように、真菰が私と錆兎に終了の号令をかけてきた。

 私と錆兎は、その言葉を聞くと同時に、手合わせをやめて刀を鞘に収める。

 

「結果はどうだった?」

 

「えーっと……行っていた手合わせの回数は十五回。勝敗は錆兎が九勝六敗。優緋が六勝九敗で、水の呼吸だけの手合わせは、錆兎の勝ち。」

 

「……なるほどな……やっぱり水の呼吸じゃ、兄弟子にボロ負けってか。」

 

「それでも六勝してるから、十分な結果じゃないか? 優緋はあまり水の呼吸に適性してないみたいだしな。」

 

「まぁ……確かにまぁまぁではあるかもな。」

 

 真菰にカウントしてもらった勝敗を聞くと、やはり錆兎の方が実力は上だった。

 まぁ、水の呼吸に適性を持ち合わせている彼と、水の呼吸よりは日の呼吸……ヒノカミ神楽に適性を持ち合わせている私では、当然の結果だと思う。

 

「これくらいできるなら、ある程度の雑魚鬼であれば、水の呼吸だけで何とかなるかもな。強い鬼になったらわからないけど。」

 

「ある程度は粘れると思うけど……。」

 

「いや、優緋の水の呼吸は、場合によっては心許ない。優緋自身の評価である、ある程度強い鬼相手に振るったら、押し負けてしまう可能性は当たっているぞ。」

 

 私が振るう水の呼吸を評価する錆兎に、やっぱりか、と肩を竦める。

 注意されたように、足の踏み込みや力の加え方を気をつけても、結局は錆兎に押し返されていたから、納得できるのだ。

 

「うーん……筋はいいと思ったんだけどな。」

 

「……それも否定はできない。だが、どちらかと言えば優緋の認識が正しい。小手調べ程度に使うことは問題ないかもしれないが、頸を斬るにまで至れるかと言えば、絶対と言う保証はできないな。」

 

「だよな。私もそう思う。二人を喰い殺した手鬼相手にも結構硬いと感じてしまったくらいだし、多分、手鬼以上の力を持ち合わせている相手を圧倒することはできない。それに、私は弟と妹を悲しませたくないから、なるべく無傷でいなきゃいけない。だから、水の呼吸に頼りっぱなしはできないな……。」

 

「そっかぁ……。」

 

 今回の水の呼吸での手合わせを終えて、自分が使う水の呼吸に関しての評価を三人で話し合う。

 結果、私と錆兎の意見が噛み合い、水の呼吸は適性がない分、少々心許ないということになった。

 

 使えなくもないが、ある程度強力な鬼となると、小手調べと場つなぎ程度に使う方がいい。

 うん。

 これで決まりだな。

 

「じゃあ、私はそろそろ鱗滝さんの元に帰るよ。明日は、ヒノカミ神楽の方を使って錆兎を負かすから、そのつもりで。」

 

「じゃあ、俺はそれを真正面から受けて優緋を負かす。覚悟してろよ。」

 

 水の呼吸を使うべき場所はどこか決めた私は、錆兎に明日は負かすと宣言する。

 錆兎はそれなら真正面から受けて返り討ちにすると宣言して笑った。

 

 真菰からちょっと呆れたような目を向けられた気もするけど、私は気にすることなく二人に背を向ける。

 

「また明日。錆兎。真菰。」

 

「ああ。またな、優緋。」

 

「うん、またね、優緋。」

 

 短い挨拶の言葉を交わして、私たちは解散する。

 さて……帰ったら夕飯と……炭治郎と禰豆子の相手だな。

 

 

 

 

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