目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
義勇と別れ、炭治郎と禰豆子を連れて狭霧山へと向かう私、竈門優緋。
「すみません。あそこにある大きな籠と、藁、竹を少々いただけますか?」
とりあえず少しでも早く狭霧山に向かうため、一旦二人を近くにあった森の洞窟に避難させ、原作通り、田んぼや畑がずらっと存在している農家の集合地帯へと足を運んだ。
すると、炭治郎が見つけた籠よりも大きな籠がある農家にたどり着いたので、そこの畑で作業しているおじさんに話しかける。
……って、よく見たらこのおじさんあれじゃないか。
炭治郎が話しかけたおじさんと同一人物じゃん。
籠の大きさは違うけど、人物は同じかよ……。
「そりゃ構わねぇけど…籠は穴が開いてるぞ。」
うん、原作通りのセリフありがとう。
まぁ、それは置いといて……っと。
「ああ、問題ないですよ。親から籠の修復方法やらなんやらは叩き込まれてるので。あ、お金払います。」
籠の穴は修復すればいいだけなので、直せるから大丈夫とおじさんに告げた私は、お金を払うと口にする。
「いや、いらんよ。穴の開いた籠だぞ。」
……まぁ、廃品回収みたいな感じだもんな。
お金払うって言われても困るわな。
「いえ、払います。」
でも、私はあえてこの言葉を使う。
炭治郎の迷場面……一度やってみたかったんだよな。
「いや、いらん。竹も藁もやるよ。」
「でも払います!!」
「いや、いらんて!! 頭の固い嬢ちゃんだな!!」
……自分でやっていて自分で笑いそうになった。
うん、やめよう。
「……本当に、よろしいのですか?」
「むしろ持っていってくれた方が助かるんだこっちは。あの籠どうも邪魔でな。最近新しいのが入ったし。竹や藁も量が多いから、どうしようか悩んでたんだ。」
「そう……ですか……。じゃあ、お言葉に甘えて。」
炭治郎みたく思い切り小銭を叩きつけるのは流石に迷惑にも程があるため、ここはお言葉に甘えると自分が折れることにした。
「って……随分な量を持って行くんだな嬢ちゃん。運べるか?」
いそいそと竹と藁を大量に入手していると、おじさんが心配そうな声音で話しかけてきた。
「大丈夫です。日頃から大量の炭を籠に入れて売りに行っているくらいには力があるので。こう見えて意外とついてるんですよ、私。」
私は軽い口調で返事を返しながら、回収した竹と藁と穴開きの籠をせっせと運ぶ。
背後から、たくましい嬢ちゃんだな……なんて声が聞こえてきたけど気にしない。
まぁ、この世界では逆にたくましいくらいがちょうど良さそうだけどな。
……しばらくして、私は森の中へと戻る。
向かう先は炭治郎と禰豆子の二人を休ませている洞窟だ。
「炭治郎。禰豆子。戻ったぞ……ってあれ……?」
たどり着いた洞窟を覗き込む。
しかし、二人の姿はどこにもなく、真っ暗な空間だけが広がっていた。
「炭治郎? 禰豆子?」
もう一度二人の名前を呼んでみる。
すると、地面からひょっこりと顔を出した竈門兄妹の姿が視界に入った。
「ああ……穴を掘って潜っていたのか……。」
弟と妹がもぐらみたいになってしまった……可愛いけど……。
かなりのしかめっ面でもあるな。
まぁ、太陽に触れた瞬間、灰塵となって消滅してしまうもんな、鬼って。
不憫な体だ。
「少し待っていてくれ。すぐに準備を済ませるから。」
全く……厄介な体質に兄妹を変えやがったな鬼舞辻無惨……と、まだ直接会っていない鬼の親玉に対して悪態をつきながら、譲ってもらった竹や藁を使って籠の修復をしていく。
隙間が開いていないか最終確認を済ませれば、大きな籠の出来上がりだ。
「炭治郎。禰豆子。理性を飛ばして私に襲いかかってきた時、確か、体の大きさをちらほらと変えていたよな? この籠に二人とも入ることができるくらいの大きさになることは可能だろうか?」
籠に問題が一つもないことを確認した私は炭治郎と禰豆子に声をかける。
二人は顔を見合わせたあと、シュルシュルと体を小さくした。
「懐かしい姿だな。」
「む!」
「んー。」
少しだけ笑いながら炭治郎と禰豆子を籠の中に入れてみれば、ちょうどいいサイズだったのか、二人が入ってもサイズ感は問題なかった。
けど……
「狭くないか? 大丈夫?」
念のため狭くないかと問いかける。
この体の記憶の中にある炭治郎と禰豆子はよく二人していろんなところに隠れては、私や父さんや母さんを困らせていたみたいだから、大丈夫とは思いたいんだけど、一応、炭治郎と禰豆子は十三歳と十一歳だ。
そろそろ兄妹は距離を置きたくなる年齢に……
「「んー!」」
……うん、この二人に距離を置きたいなんて感情からっきしだったな。
忘れてたわ。
「そうか。大丈夫ならいい。時には走らなきゃいけない時もあるかもしれないから、その時は揺れるって声をかけるよ。その声が聞こえてきたら、二人とも自分の頭やデコを守るんだぞ。」
「「う!」」
「よし、じゃあ、改めて狭霧山に向かうとしようか。二人は眠っていていいからな。」
優しく頭を撫でてやれば、二人は上機嫌な表情を見せる。
……一時はどうなるかと思っていたけど、なんとか大丈夫そうだな。
まぁ、IFから生まれたパラレルワールドでは、どんなことが起こるかわからないし、油断はできないけど。
なんて考えながらも、私は持ち歩いていた大きな布で、籠をぐるぐると巻いていく。
「光は入ってないな?」
「「ん!」」
「そうか。わかった。じゃあ、少し揺れるから気をつけてくれ。よいしょっと……。」
簡易的な日光遮断ボックスを背負いあげれば少しだけよろめく。
いくら子供サイズとはいえ、かなりそれなりに重たかった。
が、すぐに体勢を立て直して、そのまま歩みを進める。
「「うー……?」」
「大丈夫だよ。心配しなくても、あんたら二人くらい軽いものさ。」
「ムー!!」
「無理は言ってないって。大丈夫だから。そう不機嫌そうな声で唸るな炭治郎。」
……ちょっとだけ炭治郎に怒られた。
姉ちゃん無理してるって。
大丈夫だって言っても不機嫌そうな匂いがしてくる。
まぁ、記憶からしてこの世界の炭治郎も鼻が利くみたいだからな。
多分、その特徴から炭治郎は、私が少しだけ無理してると判断したんだろう。
ああそうさ、否定はしないよ。
おんぶとだっこならば比重はそれなりに均等になるが、二人分の体重を背中に置くとなると、バランスは崩しやすくなる。
「ったく……炭治郎も私に似て鼻がいいんだから……。」
「う!」
「当然だって? やれやれ……誰に似たんだかね、自信満々なそれは。」
「うー。」
「お兄ちゃんはお姉ちゃんに似たんだって? はは……マジか。」
「む!」
「禰豆子も私に似てる〜? どこがさ。禰豆子はおしとやかな女の子だろうに。」
「んーん。」
「気の強いところ……そういや、そこだけはなぜか似ていたな。」
苦笑いを溢しながらも、背中にいる炭治郎と禰豆子と話しながら歩みを進める。
さてさて……まずは山を越えたりしないとね……。