目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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41.かまぼこ隊、全員集合!

 伊之助に金的を喰らわしてしばらく経った頃。

 なんとか善逸と二人で屋敷内で殺されてしまった人たちを埋葬し終えたら、同時に伊之助が勢いよく起き上がった。

 

「うわっ起きたァ!?」

 

「勝負しょうぶ……ハッ!?」

 

 いきなり起き上がった伊之助に追われ、逃げ回る善逸。

 だが、不意に伊之助が私の方を見たかと思ったら顔を青くして、ふるふると震え始めた。

 顔はかなり青く、恐怖心を彼から感じ取れる。

 

「なんだよ。」

 

「い……いや……その……」

 

 とりあえず話しかけてみれば、伊之助はびくりと肩を震わせて、そろりそろりと近くにあった木の方へと移動する。

 そして、勢いよくその後ろへと隠れては、ガタガタ震えながらこちらを見つめてきた。

 

 ……どうやら、相当私の金的が伊之助に効いたらしい。

 

「あんたが暴れないなら、もうあれはしないって。まぁ、また誰かを問答無用で傷つけようとしたり、この中にいる私の宝物を攻撃しようとしたら……。」

 

「もうしねぇ!! もうしねぇから!! あの痛いのだけはやめてくれ!! 流石の山の王でもあれは耐えられねぇ!!」

 

「ふぅん? まぁ、それならいいや。宝物を傷つけられることは、ひとまず無くなったみたいだし。」

 

 私の言葉に伊之助は縮こまる。

 こいつには逆らわねぇ方が絶対いいとか、もう痛いのはやだとかぶつぶつ呟きながら。

 

「そういや、あんた名前は?」

 

「……嘴平伊之助。」

 

「そうか。私は竈門優緋。まぁ、優緋とでも呼んでくれ。」

 

「ユウヒ……。」

 

「ああ。」

 

「………ワカッタ」

 

 なんで片言?

 と一瞬なるが、すぐに頭を切り替える。

 

「そんじゃあ、そろそろ次に行きますかね。ほら、善逸。伊之助。行くぞ。」

 

「「は?」」

 

「ん?」

 

 そして、そろそろ移動することを漏らしては、善逸と伊之助の二人に声をかける。

 ……と、二人は呆気にとられたような様子を見せた。

 不思議に思い、二人に目を向けてみると、善逸は目を丸くしていて、伊之助は……猪の頭のせいでちょっとわかりにくいが、匂いからしてかなり驚いているようだ。

 その様子に今度は私が目を丸くする。

 

 え?

 一緒に行かないのか?

 

「えっと……優緋ちゃん? 俺の名前呼んでたけど、一緒に行くの?」

 

「なんで俺の名前も呼ぶんだよ。」

 

「…………。」

 

 ………あー……そういや炭治郎たちは、流れで一緒に行動を取るようになったんだったか?

 この屋敷でたまたま出会って、たまたま全員怪我していたから、とりあえず全員で藤の花の家紋の家で一緒に過ごして、そのまま那田蜘蛛山行って……。

 そんで最終的には常に一緒に行動を取ることになって……。

 

「あー……悪い、つい。じゃあ、先に私は山を降りるよ。」

 

「え、ちょっと待ってよ! 少しだけ驚いたけど、俺は優緋ちゃんと一緒に行くから!! だって女の子を一人にさせるわけにはいかないから!! 猪はどうでもいいけど!!」

 

「ハァア!? おいテメェ!! どうでもいいってなんだよどうでもいいって!!別に行かねえとは言ってねえだろうが!!」

 

 変なことを言ってしまったなぁ……なんて考えながらも、まぁ、別に一緒に行動を取らなくてもひょっとしたら任務で一緒になるかもしれないか、なんて思いながら足を進めると、善逸と伊之助はついてきた。

 

「ッタク。賑ヤカナ奴ラダゼ。アア、稀血。オ前ハコレカラコレヲ持ッテ行動シロ。藤ノ花ノ香リ袋ダ。鬼除ケニナル。鬼ニ襲ワレル可能性モ、グット減ルハズダゼ。」

 

 それを聞いた天王寺が、呆れたような声音で呟きながら、背後でゲハッと何かを吐き出したような声が聞こえてきた。

 説明からいくと、どうやら稀血である清に藤の花の香り袋を渡したようだ。

 そして、翼を羽ばたかせて私の肩に降り立った。

 

「サァ、俺ニツイテ来イ。次ノ目的地ニ向カウゾ。」

 

 私の肩に降り立った天王寺は、次の目的地のために移動すると告げては、空に移動して飛び立つ。

 私は飛び立った天王寺を見上げながら、それについて行く。

 

 善逸と伊之助は、私のあとを追うように足を進め始めた。

 

 

 

 しばらくして、天王寺が私たちを案内したのは、藤の花の家紋が目印の大きな屋敷。

 

「シバラク休息ヲトレ。優緋ハトモカク、善逸ト伊之助ハ負傷者ダ。」

 

「え? 伊之助が負傷者?」

 

「ハァ!? 俺は怪我なんかしてな……っ!!」

 

「……え?」

 

 ……なんか、伊之助の匂いが一瞬違ったような。

 

「……本当に、怪我してないのか?」

 

「…………。」

 

「………伊之助?」

 

「………チッ……あのポンポンうるせえ鬼と戦ってた時にヘマしただけだ。」

 

「おっふ……。」

 

 ……そういえば、てる子のことを守り続けていたから原作のように伊之助があの子を踏みつけるようなことはしなかったから、私は伊之助の戦闘を静観していたんだった。

 だから伊之助はずっと私たちには攻撃してなくて、鬼と戦いまくってたんだっけ。

 となると、標的が全部頸を斬らんとしていた伊之助に向いていたことになるから、この結果もある意味で妥当か?

 こっちに対してより、伊之助に対しての攻撃がよくよく考えると激しかったかもしれない。

 

「なるほどな……。じゃあ、ひとときの休憩としよう。私も、無傷で戦おうとしていたせいでそれなりに疲労はしてるし、しっかりと休めるならそれに越したことはない。」

 

 そこまで考えて、僅かなズレによる負傷が発生してもおかしくないと判断した私は、自分もしっかりと休みたいと口にしては、目の前にある藤の花の家紋の家の門を叩いたのだった。

 

 

 

 


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