目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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那田蜘蛛山の攻防
45.突入、那田蜘蛛山編!


「カァア! 緊急指令! 緊急指令!」

 

「え?」

 

「あ?」

 

「「んー?」」

 

「…………。」

 

 藤の花の家紋の家にて療養し、善逸と伊之助が十分に回復した頃。

 炭治郎と禰豆子を構い倒しながら、伊之助からの挑発を軽く受け流し、善逸にデレデレされる中、天王寺が大きな声で緊急指令を連呼し始めた。

 

 急なことに善逸は驚き、伊之助と箱の中から出ていた炭治郎と禰豆子が首を傾げる。

 私はというと、次の話に進んだことと、あと少しで無限列車の話が来ることを認識して小さく溜息を吐いていた。

 

 結局……那田蜘蛛山の話までに痣を発現させることはできなかった。

 多少平熱が上がったくらいだ。

 あと一歩ではあるのだろうけど……。

 

「緊急指令の内容は?」

 

「少シ歩イタ先ニ、那田蜘蛛山ト呼バレル山ガアル。ソコデ複数ノ隊士ガ消息ヲ断ツ現象ガ多発中ダ。強イ鬼ガイルト思ワレル。準備ガ整イ次第、スグニ那田蜘蛛山ヘ向カエ。気ヲ引キ締メテイクゾ優緋。」

 

「………了解。」

 

 正直言って、これで勝てるかどうかはわからない。

 いや、デカブツのパパ鬼くらいは倒せるかもしれないが、そのあとに待ち構えている下弦の伍……累と邂逅した際、無傷で勝てるのだろうか……?

 少しだけ不安だ……。

 

「……優緋ちゃん? どうしたの? なんだか、すごく不安そうな音が聞こえてくるけど……。」

 

「うー………。」

 

 無言で考え込んでいると、善逸と炭治郎が近寄ってきては、心配げな目を向けてくる。

 炭治郎に至っては、私の腕に手を乗せて、ギュッと握りしめてくる始末だ。

 

 相当、匂いと音に不安が現れているんだな……。

 少しだけ苦笑いをしながら、炭治郎の頭を撫でる。

 

「ごめんごめん。隊士が次々消息を断ってるって聞いて、少しだけ怖くなっただけさ。でも、怖いからと言って逃げるわけにはいかない。少しでも多くの人の命を守るためにも頑張るよ。」

 

 そして、二人に謝罪の言葉を述べながら、自分が考えていたこととは違う……いや、ある意味では合っている嘘でもあり誠でもある答えを返す。

 炭治郎と善逸は、心配してる表情を変えることなく小さく頷いた。

 多分、嘘と本当が入り混じった匂いや音になってるから、私の正確な感情や考えがわからないのだろう。

 

(それでいい。それでいいんだ。何も知らずに物語をただひたすらに綴ってくれ。私も、一緒に紡いでいくから。私だけの物語を。)

 

「さて、じゃあ……行きますか。今回の指令はかなりの危険性が考えられる。気をつけていこう。」

 

 そう思いながら、私は指令に向かおうと口にする。

 それを合図に、善逸たちは準備に取り掛かった。

 私も、次の物語のための準備を始めた。

 

 

 

 

 ……数十分後。

 準備を済ませた私たちは、藤の花の家紋の家の門の前へと集まっていた。

 

「お世話になりました、ひささん。行ってきますね。」

 

 全員がいることを確認した私は、見送りとして外に足を運んできたひささんに挨拶をして、その場で静かに頭を下げる。

 善逸も同じく頭を下げているが、伊之助は下げていない。

 まぁ、予想通りというか、物語通りである。

 

「では切り火を……」

 

 するとひささんは切り火用の石と道具をその手に持って、二回ほど切り火を行う。

 

「ありがとうございます。」

 

 お浄めの儀式である切り火。

 無事を願ってくれるひささんに、私は静かに感謝の言葉を述べる。

 

「何すんだババア!!」

 

 が、やはり伊之助はその行動が威嚇に見えてしまったようで、ひささんに殴りかかろうとする。

 

「馬鹿じゃないの!? “切り火”だよ!! お清めしてくれてんの!! 危険な仕事に行くから!!」

 

 すかさず善逸が伊之助を羽交い締めで拘束し、ひささんに殴りかからんとする彼を必死に止める。

 切り火とはなんなのか……その説明をしながら。

 

 まぁ、伊之助がこの話を聞いているのかどうかと問われたら、わからないとしか口にできないけど。

 

「どのような時でも誇り高く生きて下さいませ。ご武運を……」

 

 ひささんのその言葉を最後に、私たちは那田蜘蛛山の方へと向かう道へと足を進める。

 

「誇り高く? ご武運? どういう意味だ?」

 

(………何にも知らん奴だな…………。)

 

 ふと、伊之助が不思議そうに素直な疑問を口にする。

 善逸から呆れているような匂いがするけど、伊之助は猪に育てられた期間が長いから、知らないのも当然だと思う。

 

「別に難しく考えなくていいよ。ただ、やるべきことをやりぬけばいい。私たち鬼狩りがやるべきことくらいはわかるだろう?」

 

「ああ。鬼共をぶっ殺すんだろ。そんくらいわかってらァ。」

 

「なら、それをやればいい。鬼狩りとして鬼を狩る。ただそれだけを考えてやれば自ずとわかってくるよ。誇りやらなんやらはな。」

 

「なるほどな! よっしゃァ!! 鬼は全員ぶっ殺して……」

 

「私の弟と妹には手を出すなよ。手を出したらまた金的かますからな。」

 

「そ、そそそそそ、そ、それくらいわかってるっつの!! てめぇの弟と妹は殺さねェ!!」

 

(………上下関係が出来上がってる。まぁ、そうだよな。いくら伊之助でも股間を蹴られたら悶絶するもんな。あまり優緋ちゃんには逆らわないほうがいいことくらいわかるよな。)

 

 誇りだのなんだのの説明はめんどくさいからと、適当な言い分を口にすれば、伊之助は質問するのをやめた。

 が、適当にはぐらかすための言葉で何やら燃え上がっていたので、念のために軽く脅し文句を口にする。

 伊之助はすぐに吃りながら、炭治郎と禰豆子には手を出さないと言ってきたので、よしとした。

 

 ……善逸と伊之助、両方から恐怖の匂いを少し感じたのは……まぁ、気のせいではないんだろうな。

 

 

 

 

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