目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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49.頸無し鬼と母鬼と

 走って走って走り続けて、それなりに奥までやってきた頃。

 風向きの変化により鼻が利くようになってきた私は、伊之助とともに目的の鬼を求めて走り続ける。

 

「! 伊之助!」

 

「ああ! なんかいるな!」

 

 すると、視界の先に何かが立っていることがわかった。

 間違いなくあの頸無しだ。

 そう思いながら伊之助を呼べば、伊之助もすぐに警戒を見せる。

 ……が、

 

「頸がねェェェ!!」

 

 目の前に現れたものが頸無しであることに気づくなりパニックを起こした。

 

「アイツ急所がねェぞ!! 無いものは斬れねぇ!! どっ……はァ!? どうすんだ!? どうすんだ優緋!?」

 

 どうやって倒せばいいのかわからないらしい伊之助が、こちらに判断を仰ぐ。

 

「落ち着け伊之助。袈裟斬りだ袈裟斬り。右の頸の付け根から左脇下まで斬るんだよ。広範囲だし、かなり硬い可能性が高いが、多分いけるはず……」

 

「イヤッハーーーーーッ!!」

 

「って一人で突っ走んな!!」

 

 冷静にどうしたらいいか伊之助に伝えれば、彼は真っ先に頸無しに突っ込んでいった。

 一人で突っ走る伊之助に咎める声をかけるが、彼は聞いてはくれない。

 

 突っ走った伊之助に頸無しが応戦すると、伊之助の体には瞬く間に裂傷ができ、鮮血が飛ぶ。

 だが伊之助は怯むことなく攻撃をしようと体勢を整える。

 でも、それは意味をなさないことを私はよく知っていた。

 

 すぐに地面を蹴り上げる。

 同時に伊之助が糸により体を固定され動けなくなる。

 このままでは伊之助は頸無しに貫かれるか斬り刻まれてしまう。

 

「させるわけないだろ、そんなこと……」

 

 “ヒノカミ神楽 炎舞”

 

 刀を両腕で握り、振り下ろしと振り上げを素早く行う拾弐ノ型。

 頸無しの鋭く硬い刃物のような爪を斬り飛ばすことができた。

 

 “ヒノカミ神楽 円舞”

 

 同時に私は、ヒノカミ神楽の壱ノ型を使用して伊之助に繋がれている糸を斬る。

 

「!」

 

 伊之助が驚いた。

 しかし、その驚きの中にはどことなく喜びにも取れる匂いを感じ取ることができる。

 

「一人で走るからそうなるんだ。確かに伊之助は強いしそれは否定しない。でも、強い奴一人で挑むよりは、二人で挑んで倒す方が効率いいし、怪我も少量で済ませることができる。これ以上怪我を作らないためにも、二人で倒すよ、この頸無しを!!」

 

「てめェェ!! これ以上俺をホワホワさすんじゃねぇぇ!! 邪魔だそこ!!」

 

 二人で倒そうと提案すれば、伊之助は私に怒鳴りつけながら走ってきた。

 どうやらホワホワしていたようだ。

 いや、今はそんなことどうでもいい。

 

「私を踏め!!」

 

 そう思いながら私はすぐに前に倒れ込み、炭治郎と禰豆子の二人が入ってる箱を土台にするように伊之助に声をかける。

 

「!!」

 

 伊之助から驚きの匂いを感じる。

 同時に背中に重さを感じることができた。

 

「跳べ!!」

 

 感じ取れる衝撃で、頸無し鬼のもう片方の腕が斬れたことを確認した私は、すぐに伊之助に跳ぶようにと声をかける。

 伊之助はその声に従うように跳び上った。

 

 私はすぐに次の行動をする。

 原作で炭治郎がしていたように、頭を地面につけ、頭だけで体を持ち上げながら、刀を振るう。

 

 “水の呼吸 肆ノ型 打ち潮”

 

 かなりきつい体勢のまま振るう水の呼吸の肆ノ型は、威力はそれなりに落ちてしまう。

 しかし、足はそこまで硬くなかったようで、すぐに足を斬り裂くことができた。

 おかげで頸無し鬼はその場に膝をつく。

 

 それを見た私は、すぐに逆立ちをするのをやめて、その場に座り込む。

 

「袈裟斬りだ!!」

 

「!!」

 

 伊之助に袈裟斬りをするように告げれば、彼はすぐに頸無し鬼を袈裟斬りにより沈黙させた。

 が、伊之助が着地をすると同時に地面を蹴り上げこちらに突進するように走ってきた。

 

「お前にできることは俺にもできるわボケェェェ!!」

 

「あ……。」

 

 そういやこうなるんだった……引きつった笑みを浮かべながらそう考えると、腹部に叩き込まれた衝撃と体が浮く感覚に襲われる。

 

「ふん、ぬ!! アア゛アア゛アアア!!」

 

 ブオンッとでも表現できそうなほどの勢いで宙へと投げられる。

 確かにこれは必要なことではあるけどこれだけは言わせてもらいたい!!

 

「普通女を思いっきり投げるかドアホォォォ!!」

 

 顔面に絶叫マシンの如き突風を浴びながら伊之助に怒鳴りつける。

 男ならまだしも女を投げんじゃねぇ!!

 

「!!?」

 

 ふと、無数の木により隠れていたひらけた場所にある岩の上に座った女型の鬼と視線が搗ち合う(かちあう)

 間違いなく操り鬼である母親役の鬼だ。

 私はすぐに空中で体勢を整えて日輪刀を構える。

 

 すると、目を見開いて固まっていた彼女が両腕をこちらに伸ばしてきた。

 まるで、助けを求めるように。

 

「………そうか。」

 

 自ら頸を差し出す行為。

 私はすぐに水の呼吸を使い、ある型を使用する。

 

 “水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨”

 

 水の呼吸にしか存在していない慈悲の剣。

 使うのは二回目だ。

 でも、助けを求めている子に、痛みで追い討ちはかけたくない。

 

 すとん……と静かに刃が頸を斬り裂く感触を感じ取る。

 行き先は地獄だろうけど、少しくらいは救われて欲しい。

 

「………おやすみ。お嬢さん。まぁ、私よりは長い時を生きているのかもしれないけれど。」

 

 小さく穏やかな笑みを浮かべながら、操り鬼に声をかければ、彼女も穏やかな笑みを返してきた。

 しかし、すぐに真剣な表情をして言葉を口にする。

 

「十二鬼月がいるわ、気をつけて……。……ありがとう、鬼狩りさん……おやすみなさい。」

 

 でも、最期は再び穏やかな笑みを浮かべたあと、私に挨拶を返し、眠るように目を瞑って消えていった。

 

「優緋!!」

 

 それを見届けていたら、伊之助がこちらに話しかけてきた。

 彼に目を向けてみると、血を流しながらこちらへと駆け寄ってきていた。

 

「倒したかよ!!」

 

「見ての通り。」

 

「よし! ああお前!! 俺に対して細やかな気遣いすんじゃねぇ!! いいか!? わかったか!? お前にできることは俺にもできるんだからな!! もう少ししたら俺はお前より強くなるし!! それから……」

 

「はいはい。すごいすごい。ほら、次々行くぞ。」

 

「話を聞け!!」

 

 が、合流したところで伊之助にギャンギャン文句を言われるだけだったので、流すように適当な言葉を返しながら、次の鬼の元へと向かう。

 ……できることなら、デカブツのパパ鬼も潰したいところだな。

 

 

 

 

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