目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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58.目覚めた先は蝶屋敷

 不意に意識が浮上する。

 それに従うように目を開けてみると、見たことのない天井が視界いっぱいに広がった。

 鼻につくのは消毒の匂い……?

 と、なると……ここは蝶屋敷……だろうか……?

 

「ああ!! 優緋ちゃん、目が覚めたんだねぇえぇえぇええ!!」

 

「ぶっ倒れるとかなっさけねぇなァ!!」

 

「「うー!!」」

 

 状況を整理していると、一気に周りが賑やかになる。

 視線を巡らせてみれば、そこには炭治郎たちと善逸たち。

 

「……ああ……おはよう……。」

 

「「むー!!」」

 

「のわ!?」

 

 目を覚ましたなら挨拶したほうがいいよな……と思いながら一言口にすれば、炭治郎たちが抱き着いてきた。

 体を小さくしているからか、重さはそこまでなかったけれど、飛びつかれてびっくりしてしまった。

 

「うー………!!」

 

「むー………!!」

 

「………あはは……心配かけたな。悪かったよ。」

 

 しかし、すぐに二人が泣いていることに気づいては、苦笑いをしながら謝罪の言葉をかけ、二つの頭を優しく撫でる。

 うん、ちょっと首しまってるから腕の力を弱めてくれないかな?

 少し苦しいんだけど。

 

「目を覚ましたようですね。かなり疲労が溜まっていたのか、数時間ずっと眠りっぱなしでしたよ。」

 

 わずかな苦しさを感じ取りながらも、二人の頭を撫で続けていると、穏やかな声が辺りに響く。

 視線を声の方へ向けてみれば、そこにはしのぶさんの姿が。

 

「あ……えっと、確か……。」

 

「胡蝶しのぶです。体調はどうですか?」

 

 名乗られていない名前を呼ぶのはいかがなものかと思い、曖昧な言葉を紡げば、しのぶさんは自分の名前を口にしたあと、私の側によって来て体調に関して質問をしてくる。

 

「……そう、ですね。正直言って、かなり気怠さを感じてます。すぐにでも眠りに落ちたいくらいに。頭も少々痛みますね……。」

 

 少しだけ考えたあと、現在感じている自身の体の気怠さや不調を素直に明かせば、しのぶさんはなるほど、と小さく呟く。

 

「優緋さんは怪我をしてはいないですが、過労の傾向があるようですね。まぁ、鬼殺隊に入ってわずかな期間で十二鬼月を倒したのですから、無理もない状態かと思われます。しばらくの間は指令は受けず、休息に集中したほうがいいかもしれませんね。疲労が残っていては、すぐに鬼に足を掬われてしまい、命を落としてしまいますから。」

 

 ……どうやら私にもドクターストップがかかるようだ。

 怪我以上に疲労を引きずる方が危険らしい。

 まぁ、確かに戦えなくなったら意味ないよな………。

 

「……わかりました。」

 

「そう気を落とさなくてもいいですよ。ちゃんとした休息をとっていれば、すぐに動けるようになります。疲労以外の不調を患っていませんから。一週間もすれば大丈夫だと思います。」

 

 他の皆さんはそうもいかないですが、と呟くしのぶさん。

 

「善逸君は右腕と右足が蜘蛛化による縮みと痺れがひどく、一ヶ月以上動くことができません。伊之助君は一応軽症ですが、短時間とはいえ鬼の繭に捕まっていたので、少しだけ様子見が必要なため二週間程行動を制限することにしています。」

 

「え……。」

 

「なんだか知りたそうな様子だったので。」

 

 にこにこと笑いながら、善逸と伊之助の状態を説明するしのぶさんに、なるほど……と小さく呟く。

 ……伊之助、繭鬼の繭に捕まってたのか。

 短時間……というのは、繭鬼の繭に捕まった瞬間しのぶさんに助けられた感じか……?

 

 冷静に分析しながらも、私は炭治郎たちに目を向ける。

 二人はどことなくうとうとしておりすごく眠たそうだ。

 

「……炭治郎。禰豆子。私はしばらく動けないみたいだから、二人も今のうちにしっかりと休んでくれ。禰豆子は特に、軽傷とはいえ累って鬼の攻撃を喰らって血を流していたんだ。それなりに気怠さはあるはずだろ? だから、二人も今はゆっくり休んで、元気になったあと、みんなに認めてもらうために頑張ろう。」

 

 小さく笑いながら、自分はしばらく動けないから、二人も休息をと指示を出せば、二人は小さく頷いたあと、私の上からゆっくりと降りて、箱の方へと足を運び、いつの間にか直されていた箱の蓋を開けてその中へと入っていく。

 パタン、と静かに蓋が閉まれば、程なくして寝息が聞こえてきた。

 

「……それでは、私は仕事があるので、そろそろ失礼しますね。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

 その様子をどことなくもの言いたげな様子で見つめていたしのぶさん。

 しかし、すぐに頭を切り替えるように一度目を閉じたあと、穏やかな笑みを浮かべて、この場から去ることを告げてきた。

 彼女に感謝の言葉を述べながら頭を下げると、しのぶさんは踵を返してこの場から去っていった。

 

 その背中を見つめながら、私は少しだけ考える。

 煉獄さんの救済方法はある程度目処が立っているため、それを実行するための準備をあとはするだけなのだが、無限城での決戦の時、分断された鬼殺隊メンバーを救済する方法を見つけ出すために。

 でも、この場ではやはりすぐには思いつかない。

 一番手っ取り早いのは、上弦の弐である童磨や、上弦の壱である黒死牟と軽く戦うこと……だと思うのだが、あの二人と接触できる可能性は極めて低いし、それなりに準備を整えなくては情報を得た上で撃退するのは難しい。

 

 こればかりは、運に任せるしかないのだろうか……。

 ある程度の力を得たのちに、イレギュラー発生による接触が起こればいいのだけど……。

 

 ……いや、今は先のことよりあと一歩にまで近づいてきている物語のことを考えるべきか。

 多分、煉獄さんの救済が完了したら、イレギュラーは発生しやすくなるだろうし、本来の物語から違う物語へと分岐する。

 だからまずは、最初に自ら引き起こす物語の路線変更に集中しよう。

 まぁ、そのためには痣を常に出して置けるようにする必要があるのだけど……。

 

(……原作で善逸は完全に回復するまでに三ヶ月かかっていたはず。物語の通りであるならば、物語が進むのは三ヶ月経ってから……だと予測できる。)

 

 それまでに、私は完全な痣者にならなくてはならない。

 この三ヶ月で、クリアできるかは五分五分くらいだとは思う。

 

(……目標は三ヶ月間、全集中の呼吸・常中を使い続けること……だろうか。一応、今の段階でも多少はできているから、さらに極めなくてはならない。)

 

 長い道のりな気がしてならないけど、やらなくてはならない……いや、やり遂げてみせる。

 タイムリミットがやってくるまで。

 

 

 

 

 

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