目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
しのぶさんの心のうちを聞いたあの日から再び時が経った。
私の体調は良好。
前に比べたら明らかに身体能力も上がっており、体力もかなりついてきた。
最近は結構いいところまで行ってるような気がする。
だって、本気のしのぶさんに追いつけるようになってきたし。
まぁ、だからといってまだ捕まえることはできていないけど、だいぶ並んできてるんじゃないかなと思う。
彼女の羽織に手を掠めることくらいはできるようになったしね。
「優緋さん優緋さん。やっぱり私の継子になりませんか? あなたの実力、もっと伸ばしてみたいのですが……。」
「いや……あはは……け、検討はしてみますね。」
その影響もあってか、やたらしのぶさんが私を継子にしたがるようになった。
いつも検討してみるとは口にしてるけど、その度に拗ねられてしまうのでどうしたものか……。
「しのぶ様。」
継子になれなれオーラを放ってくるしのぶさん……どうしようかと考えていたら、きよの声が聞こえてきた。
「あら? どうしましたか、きよ?」
善逸君たちの訓練をしていたはずでは……と首を傾げながらしのぶさんが問いかける。
問われたきよはどことなく困惑した様子で言い淀んでいる。
その様子から、私はあることを察した。
多分だけど、これ、善逸と伊之助の二人が訓練から逃走したところだ。
「その……善逸さんと伊之助さんが……訓練から逃げ出してしまったみたいで……今日、全く顔を見せていないんです。」
「………………。」
(わー……めちゃくちゃ怒ってるー………。)
きよの報告を聞いた瞬間、しのぶさんの周りの体感温度が若干低くなったような気がした。
彼女から感じ取れるのは純粋な怒り。
訓練をサボるとは何事だ?という感情だけである。
「優緋さん。」
「はい。」
「お二人が行きそうな場所に心当たりはありますか?」
「…………。」
心当たりありまくるどころか、どこにいるかという答えを知っているけど、これは言うべきなのだろうか……?
なんか言ったら最後、二人がしのぶさんにボコられてしまいそうで怖いんだが……。
「……ちょっとわかりませんね。それなりに付き合いはありますが、詳しいわけではないので。すみません。」
とりあえず、当たり障りのない返答をしのぶさんに返す。
まぁ、知識としては知っているけど、実際の関係性からしたら、当然の答えだと思うし。
「そうですか……。仕方ないですね。訓練にやる気がないのであれば構うだけ無駄でしょうし、優緋さんの訓練に集中しましょう。きよ。すみ、なほ、カナヲ、アオイの四人を呼んできてください。最近は優緋さんを育て上げることも考えて、ちょっとした訓練の時間を設けさせてもらっているんです、私。だから一緒に訓練をしましょう。」
「はい、わかりました!」
「優緋さんも構いませんね?」
「はい。大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます。では、優緋さんの訓練は私が。カナヲたちの訓練は私たち二人が行うということで。」
「え……私訓練する側なんです? される側ではなくて?」
「する側でありされる側です。どちらもこなしてもらいますよ?」
「あ……はは……そ、そうですか……。」
……まさかの事態になった。
しのぶさんから訓練をつけられながら、私も誰かに訓練をつけることになるなんて……。
いったい誰が予測できるというのか……。
「呼んできました!」
しのぶさんの爆弾発言に引きつった笑みを浮かべながら、すでに発生しつつある軽微のイレギュラーに遠い目になっていると、きよがカナヲたちを呼んできた。
「ありがとうございます。それでは皆さん、私たちと一緒に訓練を始めましょうね。最初に行うのは全身訓練です。優緋さん。これからあなたには私のことを追いかけながら、カナヲたちから逃げるという二種類のことをこなしてもらいますよ。」
「え!? 私だけ難易度おかしくないですか!?」
「そうですね。私は逃げるだけ……カナヲたちは追うだけですが、優緋さんは追うと逃げるの両方ですから。でも大丈夫ですよ。私にあれだけ喰いつけるのですから、両方をこなしても問題はないと思います。まぁ、それ相応の負担にはなると思いますが、倒れても安心してください。その時はちゃんと看病しますから。」
「ぶっ倒す気満々じゃないですか!!」
「柱はもっと厳しい訓練をこなしてますから、まだまだ難易度は低いと思います。頑張りましょうね?」
「鬼ーーーーーー!!」
「では、優緋さんは鬼狩りなので、その鬼を頑張って倒しましょう!」
全員が集まったことを確認するなりとんでも発言を大量に投下してくるしのぶさんに泣きたくなった。
難易度ハードやエクストラじゃないこれ。
難易度ナイトメアかルナティックだ……!!
うう……善逸……伊之助……お前ら絶対に恨むからなぁ!!