目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
ヒノカミ稽古をつけることにした今日から、少しだけ日記を書くことにした。
ヒノカミ稽古一日目
昨晩の宣言通り、日中は炭治郎にヒノカミ神楽の正しい呼吸法と、ヒノカミ神楽の型のおさらい、および強化を行うことにした。
私の予想通り、型に関しては問題なかった。
父さんから教えられていたこともあり、すぐにおさらいを済ませることができたから。
でも、問題は強化の方だ。
いくら鬼であり体力に限度がないのだとしても、正しい呼吸を行わなければ、本来の力を発揮することができない。
それに、無鉄砲につっこんだらかなりの損傷を受けることになる。
だから強くしたいところだけど……さて……このわずかな時間でどこまで行けるのだろうか。
ヒノカミ稽古二日目。
型は問題ないと判断できた。
だから一時的に型の訓練ではなく、全集中の呼吸の訓練に移行する。
呼吸方法だけを鍛えるというのはなかなか骨が折れそうではあるが、今はそうも言ってられない。
とりあえず、ヒノカミ神楽を舞うのに滑らかさが現れれば呼吸はある程度鍛え上げられると思うので、室内でもできる剣舞の要領でヒノカミ神楽を舞い続けてもらった。
まだ始めたばかりだったからか、炭治郎は若干苦しげな表情を見せていた。
体力はあるけど、肉体が少し追いつかないようだ。
私も最初はそうだった。
少ししたら肺がかなり痛くなって、筋肉が強張ってしまうんだよな。
今はそのどちらの症状も出てこないため、おそらく私の体がヒノカミ神楽……いや、日の呼吸に完全に適応した証拠だろう。
ヒノカミ稽古三日目
日中は炭治郎を観客にして、私がヒノカミ神楽を舞い続けた。
この三日間で炭治郎は聞いて覚えるより、見て覚える方が得意であることを知ることができたから。
炭治郎はずっと私を見つめ続けていた。
こちらの動きを一つ一つしっかりと記憶するために。
しばらくして木刀を炭治郎に手渡してみたら、彼はしっかりとヒノカミ神楽を舞っていた。
呼吸はまだ若干弱いため心許ないが、問題はないと判断する。
これなら、無限列車に足を踏み入れる頃には十分戦えるようになる。
ヒノカミ稽古四日目
稽古初日の時のように、私は炭治郎にこちらを相手取る打ち込み稽古をさせていた。
結果は上々。
十二鬼月を相手取らせるまではもう少し時間がかかりそうだが、最低ラインの一歩手前までには成長している。
数時間ぶっ通しで鍛錬し続けたこともあり、それなりに早く成長してくれた。
正直のところ、かなりの時間がかかるのではないかと心配していたが、鬼になっていたことで身体能力が引き上がっていることもあって、逆に成長速度が速くなったらしい。
なんというか複雑な気持ちだ。
鬼になっていたから成長速度が速くなっているという事実は。
「………こんなもんか。」
今日分の日記を書き終わる。
少しだけ疲れたなと思いながら、首を回しているとゴキゴキという小さな音が聞こえてきた。
日記を書くためにずっと下を見ていたせいで、若干関節が固まっていたらしい。
「……本当にこんな音人間から出るんだな。」
苦笑いをこぼしながらポツリと呟く。
が、誰も返事はしてこない。
なぜなら炭治郎と禰豆子はぐっすりと眠っており、蝶屋敷内にも静寂のみが満ちている。
「………ん? お? やっぱりこの時代でも流星群ってあるんだな。いや、流星雨か? まぁどっちでもいいか。」
そろそろ私も寝ないとな、なんて考えながら夜空を見上げていると、そこには一面の星空と、煌めく軌跡を描きながら、大量の星が流れていく光景。
珍しいものが見れたものだと思いながら、私は縁側に少し出る。
夜風が結構冷たくはあるが、この世界に来てからのんびりと夜空を見ることもなかったし、ちょっとだけ天然のプラネタリウムを楽しむことにした。
「…………透き通る世界に早く至れますように。炭治郎のヒノカミ神楽が早く上達しますように。炭治郎と禰豆子が人を襲うようなことにはなりませんように。」
流れ星に願い事をすれば、それは必ず叶う……。
別に信じていないのだけど、少しだけ試すような形で、今の願い事を口にする。
「………煉獄さんたちを救えますように。少しでも、多くの命をこの手で助けることができますように。」
まぁ、どれだけきつかろうが必ず果たしてやるから、星頼み、神頼みは意味ないかもしれないけど、改めて言葉にして、しっかりと読み上げることで、決意表明にするというのも意外と必要なことだったりするし、願い事をするという名目で、決意をするのもありだろう。
「へっくしっ!! あ、ちょっと寒いわこれ……部屋に入って寝よう。」
なんて考えていたらくしゃみが出てしまった。
短い間でも体は急激に冷えたらしい……。
少しだけ苦笑いをしながらも、私は自室へと足を運ぶ。
さて、明日も無理はしない程度に、修行修行。