目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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79.炎柱の一閃

「まさか今回の任務で君と一緒になるとはな! しかし、君程の実力者が共に任務へ出るというのは心強い! なにせ君は下弦とはいえ、十二鬼月を一人で! さらには無傷で倒したのだからな!」

 

「あまり期待はされない方が……。確かに私は下弦を倒しましたが、まだまだひよっこには変わりません。ただ、足手まといにならないことだけは約束します。」

 

 駅弁を何箱も完食したことにより腹が膨れたらしい煉獄さん。

 空の弁当箱を片付けるスタッフの方々がわたわたとする中、彼は私を隣に座らせ、此度の任務に同行する私に心強いと行ってくる。

 累を倒すことができたのは、この物語の知識を持っており、どうやれば勝てるかを理解していたから無傷で勝利ができたわけであり、ちょっとしたチートを使ってるに過ぎないため、足手まといにだけはならないように気をつけると私は彼に伝えた。

 

「謙虚だな! それもよし! だが、君は自信を持ってもいいぞ! 偶然だけで無傷の勝利というのは柱であっても難しい! ゆえに、その勝利は確かな君の実力により手にしたものなんだ! 」

 

 すると煉獄さんは私が勝てたのはちゃんとした実力があってこそだとキッパリと言い切ってきた。

 いや、まぁ……確かに実力面もありましたけどね?

 日の呼吸の習得とか、知識だけでどうにかなるもんじゃないし。

 

 でもさ、無傷の勝利ができたのは本当に知識があったから攻撃範囲とか先回りで知っていたかなんだよ。

 つまりは強くてニューゲームに近いわけ。

 だから完全に実力とは言い難いと言いますか……うーん……。

 

「それでもなお実力に自信がないと言うのであれば、俺の継子になるといい! 面倒を見てやろう!」

 

「え?」

 

 素直に喜べないんだよなぁ……なんて考え込んでいたら、実力に未だ不安があるなら炎の呼吸の継子になればいいと言ってきた。

 やっぱりそこに行き着くの?

 疑問を抱きながら煉獄さんに目を向けるが、彼の視線はどこへやら。

 私のことなんかちっとも見ずに、前を見つめて話してる。

 

「炎の呼吸は歴史が古い! 炎と水の剣士はどの時代でも必ず柱に入っていた。炎・水・風・岩・雷が基本の呼吸だ。他の呼吸はそれらから枝分かれしてできたもの。霞は風から派生している!!」

 

 ……なんか、聞いてもないことを口走り始めた。

 呼吸の歴史は知ってるから。

 つか、基本の呼吸が何から派生してるのかも知ってるから。

 むしろその派生元である全ての呼吸の元祖である日の呼吸使ってるから……。

 なんて言いたくなったけど、グッと堪えて黙り込む。

 

「溝口少女! 君の刀は何色だ!」

 

「いや溝口って誰だよ知らない人だよ。私の苗字じゃないんだけど。刀の色は黒ですよ。」

 

 大声でこの場に存在していない苗字を口にしながら煉獄さんが刀の色を聞いてきた。

 崩れた荒っぽい口調でツッコミを入れたのは仕方ない。

 全く……本当最初のうちはちょっとしたギャグ要因だな……。

 実際は超絶イケメンのお兄さんであることを知ってるけど、最初漫画を見ていた時は、なんなんだこの人って思ったよ。

 

「黒刀か! それはきついな!」

 

 ツッコミどころ満載だなと考えながら話に応じていると、黒刀はきついと言ってきた。

 

「きつい?」

 

「うむ! 黒刀の剣士が柱になったのを見たことがない! さらにはどの系統を極めればいいのかもわからないと聞く!」

 

 ……まぁ、黒刀はあれだからね。

 日の呼吸適性を持ち合わせている人が手にする奴だからね。

 日の呼吸 キケン 排除する……的な状態になった無惨と黒死牟に片っ端から片付けられて、根絶やしにされちゃった呼吸だからね。

 知らないのも当然と言いますか……竈門家に伝わっていたこと自体が奇跡だったり。

 

「俺の所で鍛えてあげよう! もう安心だ!」

 

「はは……まぁ、検討します……。」

 

 面倒見いいけどやっぱうるせぇ……と苦笑いをしながら目を逸らす。

 逸らした先の窓から見える景色は次々と流れ始めていた。

 

うおおおお!! すげぇすげぇ速ぇええ!!

 

「ん?」

 

 動き出したんだと思いながら車窓を眺めていると、伊之助の声が聞こえてきた。

 

危ない馬鹿この!!

 

俺外に出て走るから!! どっちが速いか競争する!!

 

「馬鹿にも程があるだろ!!」

 

 声の方に目を向けてみれば、伊之助が車窓を開けて、そこから乗り出していた。

 善逸が何とか抑えてるみたいだが……。

 

「伊之助……見たことないもんに興奮すんのもわからなくもないが時と場合を考えろ。小さい子供じゃないんだから。感動を表現したいんなら、降りた後にしろ。この場にいるのは私らだけじゃない。遠くに行く多くの人が乗ってんだ。多少の会話は仕方ないが、大騒ぎすんな。やかましいったらありゃしない。」

 

 こうまで騒がしいと同行してるこちら側が恥ずかしくなってくると考えながら、私は伊之助に注意の言葉をかける。

 足をぷらぷらと揺らして、処す?処す?処される?という若干の威嚇行動を見せながら。

 

「………ゴメンナサイ……。」

 

 私の足ブラブラが何を意味しているものか察したらしい伊之助は縮こまりながら謝罪を口にして、大人しく席に座り直す。

 

「む? 何か暗に伝えているように見えたが……」

 

「気のせいです。そんなことより、カラスから聞いたんですが、この汽車に乗った人……凡そ四十人以上の乗客が行方不明となり、送り込んだ鬼殺隊の数人の剣士も消息を絶ったと聞いていますが……」

 

 一瞬、煉獄さんから疑問の声があがったが、私は気のせいだと答えることを拒絶した後、この汽車で最近起こってる行方不明事件の話を口にする。

 

「うむ! かなり短期間のうちに起こっていてな。十二鬼月が汽車内に潜伏しているのではとのことだ! だから柱である俺が送り込まれた!」

 

 煉獄さんはすぐに私の話題に乗っかっては、此度の行方不明事件は十二鬼月が引き起こしている可能性をがあるため自分が送り込まれたのだと理由を伝えてくる。

 

「え!? 鬼がいることは知ってたけど十二鬼月!? 十二鬼月ってあれじゃん!! 超ヤバい鬼って言われてる奴じゃん!! 嫌ァーーーーーーッ!! 俺降りるぅーーーーーーッ!!」

 

「善逸うるさい。もう汽車はかなりの速さで走ってるんだから降りれるわけないだろ。」

 

「俺優緋ちゃんみたいに強くないんだよ!! 絶対死ぬよそれ!! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!! 女の子と結婚する前に死んじゃうよぉ!!」

 

 煉獄さんの爆弾発言を聞いた善逸が一気に取り乱し始めた。

 まぁ、十二鬼月なんかとぶち当たるとは思わなかったんだから当分だろう。

 この世界の善逸は、女でありながら仕事をこなす私にカッコつけるためか、怖がりながらも鬼殺隊として頑張っているが、流石に十二鬼月クラスの大物に対しては逃げ腰になってしまうらしい。

 

 でもな……降りると言っても汽車は次の駅に着くまでノンストップで走り続ける乗り物なんだから降りれるわけがない。

 

「切符……拝見……致します……」

 

 騒ぐ善逸を眺めながら考え込んでいると、覇気も生気もあまり感じない声音でこの車両の客に声をかける車掌さんの声が聞こえてきた。

 声の方を見れば、その車掌は次々と客から切符を受け取り、確認した際につける鋏痕を刻み、切符を客に返していた。

 

「…………。」

 

 この無限列車編の中ボスというか、メインボスである十二鬼月……下弦の壱たる魘夢は、切符のインクに自分の血を混ぜることにより、遠隔で眠らせる血鬼術をかけるという特徴がある。

 インクの匂いを嗅いだら発動するのか、それとも切符を切るという条件が揃えば発動するのかまではついぞ明かされることはなかったが……さて……。

 

 多分、防ごうと思えば防ぐことができるのかもしれない。

 けど、ここで防いでいいものか……。

 確かに、防げば魘夢討伐まで短時間で終わらせることができるだろう。

 だが、そこまで大きく変えてもいいのか……。

 それに、原作では炭治郎の無意識領域に入った少年か青年かわからないけど、一人の男性が救われていた。

 

 ………ふむ……これは一応、猗窩座との邂逅と戦闘手前までは流れに任せた方がいいかもしれない。

 大きな破綻をギリギリまで起こさせないためにも。

 どうせ煉獄さんを助ければ物語は一気に変わる。

 でも、あの分岐点まで行くまでは、大きな行動は起こさない方がまだ安心できる。

 いずれ来る決戦の時、猗窩座の能力を違和感なく周りに教えるためにも。

 

「切符を……」

 

「うむ! 溝口少女! 君のも貸しなさい。」

 

「だから私は竈門ですって。」

 

 そこまで考えた私は、煉獄さんにツッコミを入れながらも自身の切符を手渡す。

 彼は私の手元から切符を受け取った後車掌さんに手渡した。

 彼にならって伊之助も切符を車掌に渡す。

 善逸は未だにギャーギャー騒いで泣いているけど、ちゃんと切符を渡していた。

 

(泣きべそかいてても渡すものは渡すんだな……)

 

 その姿に若干苦笑い。

 泣いててもわずかな理性でやることはやるらしい……。

 

 パチン、パチンという無機質な音が辺りに響く。

 その際魘夢の匂いらしき嫌な匂いが鼻につくが、気付かないフリをして視線をそらした。

 

「……拝見しました………。」

 

 元気のない声と悲しみの匂い。

 そういえばこの人は大切な家族を失ったことが原因で、今の状態になったんだったか……原作知識を思い出しながら、黙って彼を見つめる。

 

「!」

 

 が、不意に煉獄さんが行動に移す姿が視界に入ったため、私は視線を彼に向ける。

 煉獄さんは隠していたらしい刀を片手に、車掌さんを後ろ手に庇う。

 

「車掌さん! 危険だから下がってくれ! 火急のことゆえ、帯刀は不問いただきたい!」

 

 焦点の合わない目をしてボーッとする車掌さんに、煉獄さんは声をかけながら、隣の車両に向かうためのドアの方へと目を向ける。

 そこには巨躯を持ち合わせ、口と目が複数ある鬼の姿があった。

 鬼はグルルルと唸り声をあげ、煉獄さんを見据えていた。

 

「その巨躯を!! 隠していたのは血鬼術か! 気配も探りづらかった! しかし! 罪なき人に牙を剥こうならば、この煉獄の赫き炎刀がお前を骨まで焼き尽くす!!」

 

 側から聞いたらなんとも厨二くさいセリフだ。

 しかし、煉獄さんだからこそ似合うセリフは、彼の強さを十分に感じ取れるし、彼が言ってるためか、厨二病だと言う言葉は出てこない。

 流石炎柱……と言っていいのかはわからないが、かっこいいので気にしない。

 

「グオォオオオ!!」

 

 鬼が轟く咆哮をして、煉獄さんに襲いかかろうとする。

 だが、鈍足である鬼に煉獄さんが負けるはずもなく、

 

 “炎の呼吸 壱ノ型 不知火!”

 

 赤い光を放つ炎刀を構え、一瞬にして鬼に距離を詰めた煉獄さんは、その勢いのままに鬼の頸を刎ね飛ばした。

 

 鮮血を撒き散らしながら巨躯が倒れ込み、この車両に振動をもたらす。

 

「……流石は炎柱の煉獄さんですね。鮮やかな手口で見惚れました。」

 

そうか! 継子になるか

 

「いや、それは検討するって……」

 

安心するといい!立派な剣士にしてやろう!

 

「だからそれは決めてないって……」

 

煉獄の兄貴ィ!! おいらを弟子にしてくだせぇ!!

 

おいどんも!!

 

「もちろんだ! みんなまとめて面倒を見てやる!!」

 

「「煉獄の兄貴ィ!!」」

 

「私の話を聞けよ熱血漢共!! 勝手に話決めてんじゃねぇ!! つかなんの茶番だよこれぇ!!」

 

 ……彼の能力に素直に感動するんじゃなかった。

 めんどくさい奴ら増えてんじゃん!!

 

 

 




 大正こそこそ話
 優緋はキレた時、普段以上に口が悪くなり、荒々しい性格になるよ。
 彼女の元からの素質なのか、彼女の中に宿っている魂が原因なのかはわからないみたいだけど、炭治郎と禰豆子は対して違和感を覚えてないみたいだ。

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