目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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87.戦闘、猗窩座!死の運命を覆せ!

 辺りに大きな音が轟く。

 煉獄さんと猗窩座の力がぶつかりあったことにより発生した音だ。

 

 煉獄さんが猗窩座の攻撃をいなしている。

 それに合わせて私は動き、猗窩座の頚目掛けて刀を振るう。

 

 “日の呼吸 玖ノ型 輝輝恩光!!”

 

 花の呼吸の一つである“渦桃”と近似している回転斬り。

 しかし、それはすぐに猗窩座に止められる。

 だが、一人で戦っているわけではないため、すぐに煉獄さんが猗窩座に追撃を繰り出す。

 猗窩座の標的が煉獄さんに向かったのを確認した私は、すぐに煉獄さんがいつでも回避できるように猗窩座に張り付き、猗窩座の攻撃を回避した煉獄さんと入れ替わるように斬りかかった。

 

 よかった、私はちゃんと猗窩座の動きについていけている。

 彼が繰り出す連撃にしっかりと対応できている。

 流石にしっかりと強く刀を握りしめていなくては、一撃が重過ぎて刀が吹き飛ばされそうになるけど。

 

 たまに一瞬の休息を挟み、多少なりとも回復した瞬間、切り返すように攻撃をする。

 

「今まで殺してきた柱たちに炎も優緋のような呼吸を使うものもいなかったな!! そして俺の誘いに頷く者もいなかった!! なぜだろうな!? 同じく武の道を極める者として理解しかねる!! 選ばれた者しか鬼にはなれないというのに!!」

 

 煉獄さんと代わる代わる呼吸による連撃を行っていると、煉獄さんの一閃を躱した猗窩座が空中へと飛び上がる。

 

「素晴らしい才能を持つ者が醜く衰えてゆく!! 俺はつらい!! 耐えられない!! 死んでくれ杏寿郎!! 死んでくれ優緋!! 若く強いまま!!」

 

 彼が放つ技は知っている。

 あれは空式だ。

 

 “破壊殺・空式!!”

 

 “肆ノ型 盛炎のうねり!!”

 

 “肆ノ型 灼骨炎陽!!”

 

 猗窩座が放つ空式に合わせて、防御のために肆ノ型である“灼骨炎陽”を放つ。

 煉獄さんも同じように炎の呼吸の肆ノ型である“盛炎のうねり”を放ったため、ガード範囲も広がり負傷することはなかった。

 

「竈門少女!!」

 

「……わかりました!!」

 

 名を呼ばれ、地面を強く蹴り上げれば、煉獄さんも同じように地面を蹴り上げ、猗窩座との距離を一気に詰める。

 

「この素晴らしい反応速度!!」

 

 再び猗窩座からの連撃。

 連続でぶつかるのは危険だと判断した私たちは、回避といなしを代わる代わるに行い負傷を避ける。

 

「この素晴らしい剣技も失われていくのだ杏寿郎!!優緋!!悲しくはないのか!!」

 

「だからなんだ!!」

 

「「誰もがそうだ!!」

 

「「人間なら!! 当然のことだ!!」」

 

 猗窩座の言葉に言い返しながら、体力の温存のために使用していなかった“透き通る世界”を使用する。

 さっきまでは使わなくても煉獄さんと二人で連撃を組み合わせるおかげでダメージを負うことはなかったけど、乱式と、この後放たれるであろう滅式は、これを使わなくては防ぎきれないから。

 

 “破壊殺・乱式!!”

 

 見えた。

 乱式の方がいち早く煉獄さんに届く。

 どうりで原作のあのダメージなわけだ。

 それなら私は、猗窩座の連撃が届く前に、それを上回る速さで猗窩座の両腕を斬り飛ばす!!

 

 “日の呼吸 拾ノ型 火車!!”

 

 “炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!”

 

 乱式を真正面から炎虎を放って相殺する煉獄さんのダメージを最小限に抑えるために、高めに飛んで放つ火車で猗窩座の両腕を横側から斬り裂く。

 猗窩座の攻撃は凄まじいので、手の中にある刀が持って行かれないように持ちうる握力全てを使って握りしめて。

 

 ……大きな爆音と共に砂煙が上がる。

 確かな手応えはあった。

 

「………優緋。お前は今何をした?」

 

 不意に聞こえてきた猗窩座の声。

 砂煙が立ち込める中、猗窩座の方に目を向けてみると、そこには両腕を失い、炎虎によりできたのであろう裂傷をつけた状態で立っている彼の姿があった。

 

「一瞬だけお前から闘気が消えた。同時に与えられた一撃により、斬り飛ばされた腕の修復に時間がかかる。」

 

「!」

 

 猗窩座の言葉に目を見開く。

 まさかと思い刀に目を向ければ、そこには赤くなっている日輪刀。

 

(赫刀になってる!?)

 

 無意識だった。

 猗窩座の力に飛ばされないようにしていただけだから。

 

(………長時間はまだ難しいかもしれない……。でも……)

 

 この赫刀は多分、一時的に使えるようになったもの。

 握力に限界が来たら、手に力が入らなくなり、刀を一時的に持てなくなるだろう。

 同時に脱力感に襲われて、また長めの休息が必要になるだろう。

 だとしても、猗窩座の回復力を阻害することができるなら……。

 

「特に特別なことはしてないさ。なんとなく理由はわかってるが、教えるつもりもない。」

 

 これ程いい条件なんてない!!

 

「煉獄さん。私は大丈夫でしたが、そちらの方は?」

 

「問題ない! それより竈門少女! その刀は!?」

 

「ちょっとした仕掛けがあるのですが、今はそれを説明する時間は無さそうですね。ひとまず、この上弦の頚を斬るか、日の出まで抑えて撃退しましょう。」

 

「……ああ。いくぞ!!」

 

 “透き通る世界”に入れるようになっていてよかった。

 ある程度使いこなせるようになっていてよかった。

 さぁ、運命を変える戦いを始めよう。

 誰一人として死なせてなるもんか!!

 

 

 

 


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