目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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94.炎の継子と炎柱 (一部編集)

 炎柱の継子になって一ヶ月経った。

 容赦なく炎の呼吸の鍛錬をつけてくる煉獄さんに、時にはかなりの難易度の指令に連れ回されたりしていたせいで、炎の呼吸もだいぶ体に馴染んできた。

 

 筋肉のつき方や体格、骨格などの違いもあって、煉獄さんに並ぶ程の力は出せないけど、一定時間は押し切ることもできるし、煉獄さんに煉獄を使わせる域にまで達している。

 流石に使われそうになった時はストップかけたけどね。

 絶対無事では済まないから。

 

 鍛錬の時にそれ使うな!って言ったら止まってくれたよ。

 

 後、この一ヶ月で炎の呼吸を使っていても痣が発現する様になってしまった。

 煉獄さんに痣が出てると言われて気が付いたんだけど、マジかって思ったよね。

 痣の形は日の呼吸の時に発現する痣に似てるらしいんだけど、発現してる場所が違うらしく、左の首からあごにかけて、炎の様な痣が出てると言われた。

 

 二つ目の呼吸でも痣を出すって、私人外の域に行ってないこれ?

 大丈夫?

 私の寿命、さらに縮んだりしてない?

 

 ああ、痣に関してなんだけど、流石にここまで行くと煉獄さんに隠し通すことはできないからさ……もう痣のことだけは明かしたよね。

 心拍数二百以上、体温三十九度以上。

 全集中の呼吸を使うことにより意図的にその状態にすることで痣が出てくるって。

 後、寿命に関しても。

 

 それを聞いた煉獄さんは固まっていたよ。

 そりゃそうか。

 自分は二十五まで生きれるかわからないなんて言われたら、誰だって驚くし、ショックを受ける。

 自分の継子ならなおさらね。

 

 だからすぐに返したよ。

 過去にはそれを覆した剣士がいた。

 その剣士のカラクリさえわかれば、十分長生きできる可能性はあるって。

 

 話を聞いた煉獄さんは安堵してた。

 そんで、長生きできるカラクリを俺も一緒に探そうって言ってきたよ。

 

 それはそれとして、痣の発現により強さにブーストがかかって上弦とも渡り合える様になると知った彼は、自分もそうなる様に頑張らなくてはって燃えていた。

 寿命の話聞いてた?って聞いたら、今はそれどころじゃないってさ。

 まずは鬼を全て滅殺すること、それを最優先にしなくては長生きできる方法を探すことに集中できないって。

 

 “鬼を倒せばゆっくり方法を探すこともできる!君と同じ強さを得ることができれば、鬼舞辻を早く滅殺することも可能になるはずだ! ならば俺は迷いなく痣を発現することを選ぶだろう! 二十五までしか生きれないと言っていたが、それが本当ならば俺には五年の、優緋には八年の猶予がある! 心配する必要がどこにある!”

 

 自信満々にそう言った煉獄さんには笑うしかなかった。

 同時に煉獄さんらしいなとも思った。

 そうだよね。

 煉獄さんは、原作でも責務を全うするためであれば、自身の身を盾にしてでもそれを果たす人だ。

 

 自分の死より後輩の無事を優先する人が、自身の寿命が縮むことを深く気にするはずがない。

 まぁ、周りの命はかなり気にするけど。

 

「そうと決まれば、鍛錬の量を増やすとするか! 優緋! 君はどのような鍛錬を積み、痣を発現したんだ?」

 

「特に特別なことはしてませんね。正しい呼吸をしながら全身訓練や呼吸の修練、常中維持と瞑想を繰り返していたら、気がついたら出る様になってました。」

 

「そうか! となると、やはり鍛錬あるのみだな!」

 

「そうですね。……まぁ、煉獄さんなら痣を出すこともできると思います。結構早い段階で。焦りは禁物ですけど。私も、鍛錬する時は常に、塵も積もれば山となる、の心境でやってましたから。その方が心労も少ないですし。」

 

「なるほどな! 確かにそれは言えてるかもしれん! ああ、だが俺は焦ってはいないぞ! 君が出せると言ったのだから、時間がかかろうとも可能であるということだからな! 俺はその言葉を信じよう!」

 

 笑いながらそう言ってくる煉獄さんに小さく笑う。

 うん。

 煉獄さんなら、きっといけるはずだ。

 “透き通る世界”にも行き着くことができるだろう。

 

 だって、猗窩座も言ってたじゃん。

 その闘気、練り上げられている、至高の領域に近いって。

 

 猗窩座のいう至高の領域はまさに“透き通る世界”……無我の境地とも言える、あの世界のこと。

 多分……だけど、煉獄さんは、鬼殺隊の柱の中で強い人間ベストスリーとかに入る可能性が高い。

 だから、やり方次第では、彼も“透き通る世界”に入れると私は思ってる。

 

 ─────……煉獄さんの継子となった今、彼の訓練相手の一人として、何度も私は彼と刀を交えることになるだろうし、こっちに触発された様に、煉獄さんがそこに行くことができる可能性は十分ある。

 

 そのための踏み台になれるのなら、私は喜んでそれを引き受けよう。

 

 ─────……そうすれば、きっと、柱の皆の生存率も上がる。私が、自分の物語の一番の目標に到達することも可能になるはずだから。

 

 ある意味でこれは一つの利用だろう。

 酷なことをさせてしまうな。

 でも、皆に生き残って欲しいという望みは変わらないし、叶えたい。

 

 ─────……少しでも被害を抑えたハッピーエンド……それが、叶うといいんだけど……。

 

「優緋! 鍛錬の続きを始めるぞ! 次は君が主に使うもう一つの呼吸を中心に鍛える! 近々、俺が使う煉獄も教えるとしよう! 今の君ならば十分使えるはずだからな!」

 

「わかりました。よろしくお願いします、煉獄さん。」

 

 自身が目指す結末のために、できれば煉獄さんにも“透き通る世界”に到達して欲しいな、なんて願いながら、私は片手に木刀を握り、日の呼吸特有の強風の様な、炎の様な音がする呼吸を行う。

 私も強くならないと、ハッピーエンドは迎えることができないし、炭治郎たちに心配されてしまうだろうから。

 

 

 


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