グラブル!~クールボケな団長とゆかいな仲間たち~    作:黒猫館長

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諸事情により全話までの「グランサイファー」の記述を「グランスルース」に変更しました。

更新頻度御幅に下がります。


第四話「バブ―」

 夕食は大体みんな決まった時間に食堂に集まり、ローアインたちの絶品の料理を食べるのだ。この時間ばかりは彼らの一番忙しい時間であり、団長を含め多くの団員の至福の時間である。今日も団長とともに夕飯を食べにに来たわけだが、当然のようにそこには彼女が立っていた。

 

シャレム「遅いぞ冒険者。待ちくたびれた。」

 

グラン「待ちたくなければ手伝えばいい。いくらでも仕事はあるぞ?」

 

シャレム「雑務などわたちの仕事ではない。早く来い。料理は頼んでおいた。」

 

グラン「そうか。」

 

 団長は適当に空いていた椅子に座るとシャレムは彼の隣に座る。「ヘレル・ベン・シャレム」、とある展覧会で展示されていた創世記の遺物の中から出てきた謎の女性だ。どうも創世記の時代からずっと眠っていたらしくいまだ時代の変化に対応しきれていないようだ。彼女の一番特徴的な部分はその口にある拘束具だろう。まるでおしゃぶりのようなそれは彼女自身も魔法のエキスパートの集まるこの団の団員たちでさえ完全には外すことができなかった。だが、一人だけそれを一時的とはいえ外せるものがいる。もちろん団長のことだ。

 

 

シャレム「ん。」

 

 

グラン「ん。」

 

 

 シャレムが口元を差し出すと、団長がおしゃぶりをはずす。どうやら団長の魔力を注いでいる間はあれをはずしていることができるようだ。団長は手慣れた感じにハンカチでよだれをふき取りポケットにしまった。その間団長の魔力は削られ続けるのだが、その量は膨大な団長の魔力の総量を三、四時間程度で吸い尽くしてしまうほどらしい。魔力は時間で回復するのできっかり四時間経ったら魔力が尽きるわけではないが、うっかりポケットに入れっぱなしにして次の日干からびていないかと内心ひやひやする。わたしも彼のもう片方の隣に座り料理を待ったのだが、それは思ったより早く来た。

 

ローアイン「はいバブちゃん、トロふわオムレツとオパールエヴィフリットお待ち!」

 

シャレム「うむ。」

 

 「ローアイン」、この団の専属コックの一人でチャラ男トリオのリーダーだ。軽薄な言動に反して彼の料理は気品あふれる絶妙なうまみの均衡を保っているものばかり。この団には切っても切れない存在だ。

 

シャレム「これはお前のだ。わたちのを半分やるから半分よこせ。」

 

グラン「そういうことか、まあ良かろう。」

 

 シャレムは運ばれてきたオパールエヴィを団長の前に出した。彼女が両方食べたかったからがゆえにわざわざ先に料理を注文するなどという一見気の利いたことをしていたのだろう。だが、

 

ゾーイ「私の料理は?」

 

ローアイン「あれゾーイちゃん注文してたべ?わりっなんだったっけ?」

 

ゾーイ「シャレム。私の料理は?」

 

シャレム「ん?いたのか調停者。いたことに気づいていなかったわたちが料理を注文しているわけないだろ。」

 

ゾーイ「…。」

 

 私は副団長だ。誰よりも一日の長い時間団長と一緒にいる自負がある。そんな私がいない扱いだと!?それも大体毎日食事の時は顔を合わせているのに!?確かに何を注文しているのか聞きもしなかった私も悪いが何とも腹立たしい。

 

グラン「チャラ男一号。」

 

ローアイン「なんかっべー感じだけどどうしたダンチョ?」

 

グラン「今日のお勧めは何だ?」

 

ローアイン「アウギュステから新鮮なン二が届いたからやっぱン二丼っしょ!」

 

グラン「ならばそれを頼む。あと食後にプディングを三つだ。」

 

ローアイン「リョ!」

 

 ローアインがキッチンに戻る。

 

グラン「シャレム。」

 

シャレム「なんだ?」

 

グラン「下らん嘘は自重しろ。」

 

シャレム「…わかった。」

 

 団長はテーブルに置いてある小皿にエヴィをとりわけ私たちの前に置いた。

 

グラン「いただきます。」

 

ゾーイ&シャレム「「いただきます。」」

 

 衣をつけ揚げられたエヴィは焼いて食べるのとも、煮て食べるとも違う力強いうまみがあった。その口福でついつい歓声が漏れてしまった。

 

ゾーイ「ん~♡」

 

シャレム「調停者。」

 

 舌鼓を打っているところにシャレムが皿を置いた。取り分けられたオムレツだ。彼女は目線をそらしながら

 

シャレム「さっきは意地悪して悪かった。」

 

ゾーイ「あ、ああ別に怒ってはいないぞ?次から気を付けてくれればいい。」

 

シャレム「ああ。」

 

 彼女の様子は幼子が親に叱られた時のそれによく似ている気がした。それからン二丼も届き、また三人で分ける。これがまた絶品で団長がせっかく三等分したというのに私たちのン二を狙ってくるなど死守するために忙しい夕食になった。

 

ローアイン「みんなお待たせ!トリマこのソースかけてぱくつけばサイコーだぜ!?」

 

 プディングは私の大好物だ。さりげなくこうして気をまわしてくれるあたりさすが私の見込んだ団長だ。

 

ゾーイ「♡♡♡」

 

シャレム「腕が疲れた。食べさせろ。」

 

ゾーイ「!!!?」

 

 その言葉に驚き横を向くと、シャレムが口を開けて団長にプディングを要求する。団長は何のためらいも見せずにそれに応じてプリンをシャレムの口に放り込む。いわゆるあーんというやつだ。

 

ゾーイ「ッむう…。」

 

 団長はたいてい彼女の要求を断らない。確かにこなすのは容易なことばかりだろうが、それが彼女を増長させるとなぜわからないのか。

 

ゾーイ「団長!」

 

グラン「なんだ?」

 

ゾーイ「はい、あーん。」

 

グラン「?」

 

 プディングを乗せたスプーンを向けてくる私に団長は何が言いたいのかわからないという顔をする。

 

ゾーイ「このプリンを食べるんだ!」

 

グラン「このままか?」

 

ゾーイ「そう。」

 

 団長はこちらの要求に応じプリンを口にする。なんとなくそれに優越感を感じてしまう私はおかしいのだろうか?

 

ゾーイ「うまいか?」

 

グラン「…ああ。だが気恥ずかしいな。」

 

 ほんのり顔を赤くして目を背ける姿が何となく可愛らしかった。

 

シャレム「冒険者!あーん!」

 

グラン「腕が疲れたのではなかったのか?」

 

シャレム「もう治った。早く食べろ!」

 

グラン「…わかった。」

 

ゾーイ「次は私の方だ。今日は特別に私のプリンもあげよう。」

 

シャレム「私のも特別だ!」

 

グラン「自分で食べろ。」

 

 いつもより二人に優位に立てているようで今日はとても気分がいい。これからもちょくちょくこういうことをしてあげようと思う。大きな子供などに負けてたまるか。団長のパートナーは私だ!そんな気持ちでわたしは団長の餌付けを再開したのだった。

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