顔をあげて前を向いて   作:サルスベリ

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 理不尽過ぎる神様転生の果て。

 男が活躍するハーレムものは結構、書いた気がするので。

 ここらで女性が活躍する物語でもどうかと考えまして。

 世界中の理不尽にケンカ売ってやる、がこの作品のコンセプトだったりとか建前を声高に叫んでおります。








駆逐艦『吹雪』あるいは、絶対者その一

 

 

 

 

 

 

 一騎当千。

 

 たった一人が、千もの兵士に匹敵する。強者の中の強者、十人を叩き伏せたとか、百人をなぎ倒した程度では名乗れない。自分で名乗ったところで誰もが認めない称号。

 

 多くの兵士たちが、戦士たちが、騎士たちが、目指して夢見て、届かなくて挫折するような他を寄せ付けない圧倒的な実力を持った者のみが、受け取ることができる証。

 

 世界の誰もが認める強さを持ち、どんな敵が相手でも怯まない意思を胸に秘めて、困難を前に笑顔さえ浮かべて突撃していく。

 

 そんな一騎当千の強さを持つ存在に、四宮かぐやは固まっていました。

 

「え? ええええ!?」

 

 悲鳴が何とか出て、慌てて周りを見たところ、誰もが当たり前みたいな顔をしているので、かぐや自身が間違っているような錯覚を感じてしまう。

 

『初めまして、吹雪です』なんて言っていた少女が、中学生くらいの見た目で、何処にでもいるような純朴そうな女の子が、軽く笑顔を浮かべて。

 

「じゃ沈めてきますね」

 

 なんて言って一万隻に向かっていったのが、ほんの数分前。いくらなんでも一人では無理と、誰か助けてと見回してみても誰も動かずにいて。

 

 どうしようと困って首を振って立ち上がったり座ったりしている間に。

 

 気がついたら一万隻が海に沈んでいきました。

 

「吹雪ちゃんって、ひょっとして強いの?」

 

 どういうことと暁を見ると、彼女は優雅に紅茶を飲んでいたりするので、もしかしなくても強いのかもしれないと思っているかぐやに、彼女は世間話でもするように、彼女の艦種を伝えた。

 

「ええ、私と吹雪は駆逐艦だから」

 

「・・・・・・え?」

 

 駆逐艦ってなんだっけ。かぐやは必死に記憶を探っていく。軍艦の種類だったような、もしかして種族名なのだろうか。

 

 うんうんと唸る彼女は、実は艦隊これくしょんを知らない。本を読んだりゲームをしていたりしたが、艦隊これくしょんはパソコンが手に入らなかったのでしたことがない。

 

 アニメもあいにくと見たことがなく、書籍も読んだことがない。ただ戦記ものは読んだことがるので、駆逐艦がどういった艦種かは知っている。

 

 知っているのだが、駆逐艦は速力で駆け巡って、魚雷で戦艦を沈めることはできるけれど、防御が薄くて一撃で轟沈するような艦種だったはずだ。

 

 間違っても、数十の爆弾を左手で払いのけたり。

 

 迫りくる魚雷を海面を踏みつけることで弾き返したり。

 

 飛んでくる砲弾を、右手に持った剣の一閃で爆発させるなんて。

 

 そんな理不尽なことができる艦種じゃないはずだ。いや待った、人の形になったので能力値が跳ね上がったのか、ひょっとして覚醒して駆逐艦という別種の存在になったのか。

 

 ぐわんぐわんと頭を揺らして悩むかぐやを余所に、吹雪は最後の戦艦棲姫を叩き伏せていた。

 

「よっし! 終わりました司令官!」

 

 嬉しそうに手を振る、何処にでもいそうな女の子な吹雪に。

 

「あ、ありがとう」

 

 かぐやは、苦笑しながら手を振り返したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある世界において、彼女はある鎮守府の初期艦だった。

 

 提督に憧れ、その補佐の提督代行に憧れ、必死に頑張って強くなっていった彼女は、やがて艦娘の頂点となって行った。

 

 その強さは、深海棲艦を震え上がらせるほどに。

 

 絶望を刻む者。

 

 終わりを伝える艦娘。

 

 鬼軍曹。

 

 鬼神の導き。

 

 殲滅の駆逐艦。

 

 いやあれって艦娘じゃない。

 

 色々といわれることが多い彼女が、もっとも呼ばれる名前は、『終焉』。彼女で終わり、後には何も残らない、絶望も恐怖も、どんな感情も存在も、彼女が通った後には何もかもが消えていた。

 

 元『神帝』テラ・エーテルの鎮守府の初期艦にして、総旗艦。たった一人で深海棲艦の本拠地に殴りこみをかけて、無事に戻ってきた規格外の艦娘。

 

 そんな吹雪が、練度そのままにかぐやの鎮守府に着任しましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々と説明されましたが、意味が解らないかぐやは、忘れることにしました。

 

「私って何をすればいいの?」

 

 忘れることにして、最初はどうすればいいか、二人に質問することにした。

 

「そうね、とりあえずは鎮守府を建てましょう」

 

「はい! 鎮守府を建てて妖精さんを呼ばないと、艦隊の編成ができませんから」

 

 暁と吹雪に言われたことをじっくりと考え、かぐやはどうすればと周りを見回す。

 

 一面のジャングル、建物なんて見当たらない。建物どころか、人工物さえも見当たらない森の中。ひょっとして昔は人が住んでいた場所かな、と期待はしてみたものの、森を探索するなんてしたことがないので。

 

 チラリと目線を向けた先には、無言で立っているレッド・ミラージュが二十四機。一機だけでも、ひょっとしたら世界を征服できそうな気がするのは、気の迷いか、あるいは期待したい自分の心がそうさせるのかもしれない。

 

「暁、あれって提督の近衛騎士だよね?」

 

「そうね、一機あれば太陽系が消せる近衛騎士ね」

 

「提督の全能力が使えるって本当かな?」

 

「私は見たことないけど、本当じゃないの?」

 

「司令官、知らないよね?」

 

「教えない方がいいわよ」

 

 なんだか、コソコソと吹雪と暁が話しているが、かぐやの耳は入らない。

 

「バスターランチャーって」

 

 ハッと思いついて声に出すと、レッド・ミラージュ全機が一斉にバスターランチャーを構えて。

 

「あ、何でもないです」

 

 かぐやの表情が固まったのでした。

 

 バスターランチャーって、星を壊せるんじゃ。確か着弾地点の空間が歪むはずだから、迂闊に撃ったら重力崩壊とかしそうだ。

 

 深海棲艦、これは敵でいいのだろう。人間の声で襲ってくるのだから、敵と認定して大丈夫だ。確か艦隊これくしょんは、深海棲艦と戦うゲームだったはずだ。

 

 暁と吹雪がそう言っていたので、かぐやは頭から信じることにした。神様っぽい人に騙されて、破壊神的な人に助けられたのに、もう信じるのかと自分のことなのに呆れてしまうが、自分には他に何もないから。

 

「司令官、お魚でいいですか?」

 

「あ、うん、ありがとう」

 

 笑顔で魚を料理している吹雪と。

 

「これは食べられるわね。これも大丈夫そうね」

 

 野草を確認して選別してくれる暁と。

 

 無言で周辺を切り開いて、ついでのように家っぽい何かを作っているレッド・ミラージュの集団に。

 

 みんながいないと生きていけない、かぐやは心の底からそう思ったのでした。

 

 とにかく、鎮守府を建てるの最初にすること。鎮守府、名前から言って軍事施設だろうか。あるいは宗教的な何かだったりするのか。

 

 昔の軍隊の基地が、鎮守府と呼ばれていた、らしい話を聞いたことはないけれど、吹雪達がいうなら建てるしかない。

 

「鎮守府ってどうやって建てるの?」

 

 考えても答えが出てこないので、吹雪に聞いてみた。

 

「すみません、解りません」

 

 では暁なら。

 

「私も知らないわね」

 

 レッド・ミラージュと見回しても、誰もが首を振っている。

 

「え、じゃ誰なら知っているの?」

 

 困ってかぐやが声を出すと、全員が迷わずに答えた。

 

 妖精、と。

 

 いきなりメルヘンな気配がしてきて、かぐやはちょっと頭痛がしてくるような気がしてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うんうんとかぐやが悩んでいる間、吹雪は海に潜って魚をとっていたりする。艦娘はある程度は食べなくても活動できるし、燃料があればどうにかなるのだが、吹雪達は美味しい食事と暖かいお布団での生活を知っているから、それを目指して頑張ることにした。

 

 昔は、鎮守府に戻るだけで手にしていたものが、今は手元にない。かつての提督たちが与えてくれたものを、今度は自分達で入手しないといけないのは、とても大変なことかもしれない。

 

 けれど、大変かもしれないが、やりがいはある。こんなこともあろうかと、かつての提督達は色々なことを教えてくれた。

 

 獲物の取り方とか、料理の仕方とか。手当たり次第に教えてくれた知識が、今は新しい司令官、四宮かぐやを支えられるかと思うと、とても誇らしくて嬉しい気持ちになってくる。

 

 だから。

 

「今は駄目だからね」

 

 迫ってきたレ級四隻を、右手だけで沈めて、海中から迫ってきている潜水カ級を振動波を海中に走らせて粉砕した。

 

「やっぱり、この世界は終わっているのかな」

 

 進めば進むだけ深海棲艦に出会う。ひょっとしてここが深海棲艦の勢力下なだけで、大陸に向かえば人類がいるかもしれないが、今は確かめている手段がない。

 

 ちょっと本気で飛び上がれば、十海里くらいは飛び越えられるけれど、今は混乱しているかぐや司令官の傍にいて、お食事しながら色々と教えないと鎮守府が建たない気がする。

 

「まただ」

 

 視界の中、迫ってくる戦艦クラスに、吹雪は小さくため息をついて拳を握り締めた。

 

 何度でも、何万回でも、来たところで勝てるわけがないのに。

 

「あれでも、この深海棲艦って弱いような」

 

 以前の世界で戦っていた深海棲艦は、拳の一撃で終わることはなく、もっと手強くて狡賢かったのに。ただ真っ直ぐに進んでくる敵の姿に、吹雪は首を傾げながら、轟沈数を重ねていくのでした。

 

 吹雪は知らない。

 

 人類が敗北したことにより、深海棲艦は戦うことがなくなって、練度が落ちていることを。

 

 そして、かぐやは知らない。

 

「妖精さん、何処にいるの?」

 

 悩んで頭を回すかぐやの背中に、数人の妖精さん達がひっついているのを。

 

 吹雪達の鎮守府にいた、チートの上にバグを超えて、楽しいこととロマンを追求する妖精さん達なのを、彼女は知らないのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 











 最初から暴走状態でのお話になります。

 難易度はルナティック・ナイトメア。それは世界だけじゃなくて、味方にも当てはまることで。

 かぐやが迂闊な命令を出せば、ガチで星ごと消える戦力が初期配置済み。

 まったくの善意で与えられた戦力なのですが、元の持ち主が破壊神なので、全員が全員、破壊特化だったりするのは当たり前。

 がんばれかぐや!

 君も采配次第では地球最後の日だ!

 なんてお話で、頑張れればなぁと考えております。





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