幻想郷で生活してたら職業柄まずいことになった   作:和菓子甘味

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3話目まで書けたので初投稿です


第参巡「迷った迷った永遠亭」

うーん、こういう時に限ってナイフを置いてくるなんてな...。

今現在、俺はあほ面を晒しながら因幡のクソウサギが仕掛けた罠にかかっていた。

よくある足に縄がかかって宙吊りにするタイプのせいで、今の普段着である和服ではパンツ丸出しなのである。

全く、この歳になって恥ずかしいもんだぜ!

 

「なーにやってんだお前...」

 

丁度いい、顔見知りが来てくれた。

下ろしてもこたん!

 

「こんにちわ妹紅さん。今日はいい天気ですね」

「それは結構だが...その...隠してくれないか?」

「キャー妹紅さんのエッチ〜」

 

あっやめて!ただの出来心だったんです!許してください何でもしますから!

だから燃やさないで!とりあえず説明聞いて!

 

「大体は理解した。下ろしてやるから待ってろ」

 

さっすが妹紅さん!話せばわかる!

...待って、縄を燃やして切ろうとしてる?

いや、間違いじゃないんだけどそのまま地面に落ちない?多分2mはあるんですが、頭から落ちて死ぬ可能性があるんですがああああああああぁぁぁ!!

落ちるぅ!万有引力に従っちゃうぅぅぅぅ!

 

「よっと、大の男がそんなに騒ぐな」

 

あっヤダ、イケメン...。

妹紅さん結婚してください。

 

「ふん!」

「あべしっ!」

「寝てないでさっさと行くぞ!どうせ目的は永遠亭だろ」

 

いってぇ...声に出てたとはいえ、何も投げ捨てることないじゃないですか...。

とりあえず荷物拾って着いていこう。

流石に竹林の真ん中に置いていかれるのは勘弁願いたい。

 

 

 

 

 

 

 

という訳で参りました永遠亭。

いつも通り妹紅さんに感謝の言葉を告げようと思ったら目の前に見覚えのある方がいらっしゃる。

 

「あら妹紅。今日は珍しく男を連れているのね...と思えば、弘樹じゃない」

「お久しぶりです輝夜さん」

 

蓬莱山輝夜。月の姫様にして、かの有名な竹取物語に登場するかぐや姫その人である。

本来なら俺なんかが謁見出来る筈も無いのだが、永夜異変解決後の宴会で絡まれて以降、ちょくちょく会う仲になっている。

とはいえ、そんな男子諸君が夢見るような展開は無いのだ。

因みに妹紅さんとは犬猿の仲である為、既に妹紅さんは睨みを効かせていた。おーこわ。

 

「今日は定期検診とこの前のお礼に来ました」

「そうなのね。永琳なら奥にいるわよ」

「分かりました。それでは失礼します。妹紅さんもありがとうございました」

「ああ...」

 

なんかやけに歯切れが悪そうだけど触らぬ神に祟りなし。あなおそろしや。

当然その後、玄関で爆発音がして鈴仙さんが嫌そうな顔をしながら駆けていった。

ご愁傷さまです。

 

 

 

 

 

さて、いよいよ目的の部屋までやってきました。

 

「失礼します」

「来たわね。具合はどうかしら?」

「開いた傷もふさがって健康体そのものですよ」

 

主治医である八意先生に具合を答え、腕を回してみせる。

絶対安静解除から2週間が経過して、大分体は元気になったと思う。

 

「なるほど、回復力は変わらず...特に違和感もないのよね?」

「はい、特にありません」

 

八意先生はサラサラとカルテに何やら記入していく。

外にいた時もそうだけど、医者のカルテって呪文みたいに見えるんだよな。

 

「わかったわ。今日の診察はこれでおしまい。帰りは鈴仙を同行させるわ」

「ありがとうございます。こちら以前のお詫びにどうぞ」

「ありがたく頂いておくわ。そういえば問診以外で貴方にひとつ聞きたいことが」

「はい、なんでしょう?」

 

八意先生が質問なんて珍しい。

でもこんな凡人になんだろうか?

 

「貴方、従軍経験は?」

「いえ、軍隊には所属したことはありません」

 

どうだ?間を入れずに答えることで怪しまれずに済む技!成功率は2割かな。大体は妖精相手になんだがな!

 

「...そう、ならいいわ。ごめんなさいね」

「いえいえ、では失礼します」

 

どうやら乗り切った様だ。

というか永遠亭には鈴仙さんという元軍人がいるでしょう。

まさか輝夜さんが暇つぶしで俺と鈴仙さんに『ドキッ!軍人による血まみれの格闘勝負ポロリ(R18)もあるよ!』でもさせる気だったのか...?

俺とか瞬でやられる気がするんだが...。

何はともあれ、行商人の服装をした鈴仙さんと合流して、道中何事もなく迷いの竹林の出口まで送って貰った。

 

 

 

 

 

 

 

あったかホームが待っている。そう思って意気揚々と戸を開ける。

 

「ただいまぁお」

 

家に帰って戸を開ければビックリ仰天。

目の前におっそろしい顔した楽園のゴリ...素敵な巫女と普通の魔法使いと慧音さんという三大強者が仁王立ちしています。

俺が何をしたんだと思えば、中央にいる霊夢の後ろに外にいた頃に使っていて、幻想郷では隠していたもの達を見つけた。オーマイガッ!

 

「これはどういうことか説明してもらおうかしら?弘樹...いえ、´´まだら模様の人´´?」

 

霊夢が言い終わると同時に針や札を構える。

同時に魔理沙や慧音さんも八卦炉を取り出したり、スペルカードを取り出したりと戦闘準備万端である。ここまで来ちゃ仕方ない。

霊夢に89式小銃や、戦闘服が見つかった以上は免れまい。

 

「ならまず武器を下ろせ、話はそれからだ」

 

俺も9mm拳銃を懐から取り出して霊夢の額へと照準を定めた。

どうしてこうも面倒事になったかな...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前の永遠亭にて、突如現れた隙間から八雲紫が慌てて出てくる。

必死に辺りを見渡して、何かを探す。

 

「嘘!?今は永遠亭にいるはずなのに!?」

「紫じゃない。そんなに慌ててどうしたのかしら?」

 

丁度通りがかった永琳がため息を吐いて声をかける。

それに気づくや否や、紫は永琳の肩を掴んで詰め寄った。

永琳も見た事ない紫の形相に面食らう。

 

「弘樹を探してるんだけど来てないの!?今日は定期検診でしょ!?」

「か、彼なら帰ったわよ?」

「うっそでしょ!?今帰られるとまずいのに!」

「因みに帰ってから既に1時間は経ってるわよ」

「ごめん永琳!失礼するわ!」

 

そう言い残して、紫は再び隙間を開いて消えた。

後の永遠亭には、何が何だか分からないまま放置された永琳が残された。

 

「ええ?」

 

そして流石の月の頭脳も呆然とすることしかできなかったのだった。




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