「〜〜♪♪」
お気に入りの曲を歌いながら歩道を歩く
今私はとても機嫌がいいのだ
何故かって?
理由は私の手元の袋にある
そう、何を隠そう大好きな小説の最新作を買えたからである!
転スラ…通り魔に刺されて死んだ男がスライムに転生して仲間達と国をつくる…
「なんて楽しそうなの…!」
そんな中に自分もいたら…だなんてありえないけれど、思わず妄想に耽ってしまう
だが、それが運の尽きだった
横断歩道を渡った瞬間聞こえてきた甲高い音
そして音の方向から迫り来る大きなトラック
甲高い音がブレーキ音だったと理解した頃には私は衝撃で跳ね飛ばされていた
感じたことの無い程の痛みが体を支配する
運転手が降りてきて慌てて救急車を呼んでいるのが見えた
悪いことしちゃったな…
申し訳なさとともに痛みがじりじりと襲ってくる
痛い。とんでもなく痛い
まさかトラックにぶつかるなんて思ってもみなかった
《確認しました。物理攻撃耐性獲得…成功しました。続けて痛覚無効獲得…成功しました》
某アニメで聞いたことのある声がした、
いや、声がしたと言うよりは走馬灯のようなものだろうか
こんな時にまで何周もしたアニメの台詞だなんて危機感ないな…
《確認しました。危険予知獲得…成功しました。続けてユニークスキル『
危険予知なんてあったっけ?
というか、どうせ最期に走馬灯で見るなら捕食者とか、
《確認しました。ユニークスキル『捕食者』獲得…成功しました。続けて
え…?そんな台詞なかったよね?
それが正直な感想であった
もしかして、これは走馬灯ではなく、現実に起こっている事なのでは…
このまま転スラの世界に行けたりして…
最期にそんな暢気な事を考えながら私は息を引き取った
◆◆◆
「おい!大丈夫か!?」
何者かの気配と慌てたような声で意識が戻る
先程までの恐ろしいほどの痛みはない
たしかに死んだと思ったのだが、助かったのだろうか
「…?」
しかし、何も見えない
目が開かないのだ
それを伝えようとしたが声も出せないようだ
ただ、鳴き声が木霊するだけ
え、鳴き声?
「ランガ!」
「お呼びですか我が主!」
気配が増えた
ランガ…?
何だか聞いたことのある名前だ
「こいつを町まで連れて行ってくれ。弱っているから慎重にな」
「お任せ下さい!」
そしてこの声もどこかで聞いたことがある…
まるで推しの声のような安心感に浸っているとふわりと体が浮いた
浮いた、と言うより持ち上げられた、の方が正しいか
その微かな衝撃でまた私の意識は飛んだ