みんなの頼れるスタッフさん   作:SUN

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さざなみの音〜


日常2

「ぬあぁぁぁぁあ終わったーー!」

 

充血した目を擦りながら伸びをするモブ。

座りっぱなしで固まっていた体の節々からパキパキと音が鳴る。

あれから数時間、腰の低くなったまつりとぺこら、そして「なにか手伝えることがあったら言ってください!」と元気よく言ってくれた桐生らに仕事を手伝ってもらい何とかおやつ時の午後3時に仕事を終わらせることが出来た。

本来ならここまで急ぐ必要はなかったのだが、提出期日が今日の夕方6時までの仕事が、2日前にとある事情により粉砕されてしまい寝る間も惜しんで一睡もせずパソコンとにらめっこをしていたのだ。

エナドリで何とか凌んでいたが流石に眠く限界である。

眠い目をこすりながら、今もどこかに出かけている『ユージン』に、仕事が終わったと言う趣旨の連絡を入れる。

すると、1分も経たずに返信が返ってきた。

 

「『机の上にUSB置いて置いておいていいよ』」

 

2日前にあんなこともありほんとに大丈夫か?なんて思ってしまうが、流石にもうあんなことは無いだろう。

それに危険分子のぺこら、まつりももう事務所を出て家へと帰っている。

もし、万が一、USBメモリが紛失、粉砕したとしても俺のせいじゃない。

そんな言い訳を心の中でしつつ、『ユージン』の机の上へUSBメモリを置く。

 

「よし、寝るか」

 

モブは早速事務所の休憩スペースにあるソファへと向かった。

ソファの前まで来た彼はそのまま死ぬように倒れ込んだ。

 

「ああああ、もう立ちたくねぇなぁ」

 

そんなことを呟きながら目を閉じる。

そして、夢の中へ━━━

 

「モブさーん!いるっスかー!」バァン!!

 

行こうと思ったが荒々しく開かれた事務所の扉と同時に事務所内に響いたその声で目が覚めた。

 

「あ!見つけたッスよ!」

 

ソファで仰向けに寝るモブの顔を覗き込むように一人の少女が顔を出してきた。

 

「お疲れっス」

「おう、見ての通りお疲れだ。じゃあな」

「それで相談なんスけど…」

「人の話聞け?」

 

彼女は『大空スバル』

通称アヒルのスバルドダック「違うっス!」

 

「んで何?」

「あ!asmrのコツを教えてくださいっス!」

 

◆◆◆

 

「という訳だちょこ。頼んだぞ」

「いやどういうことです!?もっぶ様!?」

 

あれから休憩スペースに対面するように座って色々話を聞いた。

話が長くなりそうだなと思ったモブは一度席を立ち自販機へ飲み物を買いに。

いつものコーラとスバルにと午後ティーを買い、事務所の休憩スペースへと戻っていた。

その途中、事務所に用があったらしく今から帰ろうとしていた『癒月ちょこ』を発見。

asmrと言えばこいつだ!と困惑するちょこの腕を引きながら事務所へと戻ってくるモブ。

そして諸々の事情を説明し、今に至る。

 

「と言うよりも私もだいぶ前にスバル様と話したのだけど、私でもちょっと……」

「そこは、ほら……頑張れ?」

「いつもそういうとこ適当ですよね!?」

「どうすればいいんスかーー!」

 

 

 

 

 

「はぁ……じゃあまずいつもみたいな感じで囁き声出してみ?」

「よ、よし!分かったっス!」

 

あれから荒ぶるスバルを宥め、話をしっかりと聞いたモブ。

内容を要約すると、asmrをする度にみんなに笑われる。

嫌なわけじゃないけど悔しいから練習がしたい!と言ったことだった。

 

「じゃあ……行くッスよ?」

 

だが━━

 

「スゥー………み゛な゛さ゛ーん゛、と゛う゛も゛す゛は゛る゛「よし、OK分かったストップ」……はいっス」

 

顔を俯かせるモブ。

一呼吸を置き顔を上げすばるの顔を見やる。

そして、

 

「asmrは芸人の方向で行こう」

「嫌っスー!スバルもちゃんとできるとこ見せるんス!」

 

駄々こねるスバルに頭を手で抑えるモブ。

ちなみにちょこは笑いをこらえるのに精一杯だ。

 

「どうやったってドナルドだなぁ…」

「ドナルドじゃないっス!」

「んじゃ100年以上生きてるババア魔女だな」

「何でなんスかぁ!」

「俺もなんでそんな声になるんですかと聞きたいんだが?」

 

そうやってギャーギャーワーワー言い合っていると復帰したちょこが、口に手を当て、少しにやけながら話しかけてきた。

 

「わ、私が思うに、スバル様はあの特徴的な声のボリュームを下げてるだけなんだと思うの」

「な、なるほど?」

 

それを聞いたスバルは頭の中に?が浮かんでそうな顔になった。

 

「……何気にスバルの声貶してね?」

「え?あ、ち、違うわよ!?」

 

全力で手と首を振る。

 

「そのーなんて言うのかしらね。asmrをする上で声は地声よりも囁きがいいの」

「ふむ」

「囁きというのは普通に声を出すのとは違って、吐き出した息に音を乗せて発声する、みたいな感じになるのよね」

「はぁ〜、あーでも何となく分かるかもしれんな」

「多分スバル様は喉が他の人より強いから、どうしても声を出す時に余分に声帯が震えてしまうんじゃないかと思うのよ」

「それがasmrに向かない理由ってか?」

 

モブがそう聞くと頷くちょこ。

(ちなみにこの理論は作者が何となくそうなんじゃないかと考えた理論です。事実とは異なる場合があります)

 

「えーでもスバルもこの前少しは出来たっすよ?」

「そうね、少し工夫すればできるようにはなるのでしょうけど、長い時間連続では難しいと思うわ」

 

それを聞いてしゅんとするスバル。

 

「ま、まああれだ。歌みたいに何回も歌ってたらいつの間にか上手になっているように、練習してればいつかはできるんじゃないの?」

「そ、そうね。喉の柔軟性を高めればできるようになると思うからそこは練習あるのみよ」

 

その姿を見たモブとちょこはいたたまれなくなりとっさにフォローする。

すると、

 

「そうッスよね………スバル、頑張るっス!」

 

単純でよかった……。

そう思うふたりであった。




※スバルのasmrは個人的には凄い好きです
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