みんなの頼れるスタッフさん   作:SUN

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やばい、口調これでいいのかすごい不安


日常3

「さてと、今日も今日とて仕事仕事〜っと……」

 

朝の出勤時間。

彼も一般的な社畜同様、いつもの事務所へと来ていた。

昨日、何とか仕事を終わらせたとしてもまた別の仕事が流れ込んでくる。

休みなどないのだ。

そうして、気合を入れ事務所の扉を開き━━

 

「あ、モブさーん!」

 

すぐに閉めた。

 

「………まさかな」

 

こんな朝早い時間からあいつがいるはずがない。

今のは幻覚、幻聴だ。

気のせいだと自分に言い聞かせ、1つ深呼吸をする。

 

「スゥー」

 

吸って、

 

「ハァー」

 

吐いて、

 

「よし」

 

頬を叩き、そしてまた扉を開ける。

そして1歩踏み出そうと━━

 

「なんで閉めるんですかー!?」

 

すぐに閉めた。

勢いよく閉めた。

幻覚じゃないし幻聴でもなかった。

やっぱりあいつがいた。

 

「……嫌な予感しかせんが?」

 

そんなことをモブが呟くと扉が独りでに開いた。

そして、

 

「早く入ってきてくださいよー」

 

そんな、光彦ボイス「おい」が聞こえてきた。

 

◆◆◆

 

「というわけでですねー……お手伝いよろしゃぁす!!」

 

そう言って頭を勢いよく下げてくる一人の少女……女性?

 

「なんで俺なんだよ。これから仕事だっつーねん。同期なり先輩なり色々手伝ってくれるヤツいるだろ。てかそもそも事務所でんなことしようとすな」

 

彼女の名前は『宝鐘マリン』

宝鐘海賊団船長の円谷光彦、たまに葛城ミサト「おい!」

自称17歳のアラsa「ヤメロォ!!!!」

 

「船長も最初はぺこらたちを誘おうと思って連絡したんですけど、なんかみんな用事あるらしくて。そしたらー『モブくんに頼んだらどうぺこー?』ってぺこらが……」

「……あんの兎野郎」

「ですから頼みますよー。どうか、どうかこのとーり」

 

両手を合わせ頭を下げるマリン。

彼女がここまで必死に頼み込んでいるのは、休憩スペースのテーブルの上に乗っているとあるものを一緒に作ってもらいたいからだ。

そこに乗っているもの……それは、"海賊船のプラモデル"だ。

しかも、一目見てもわかるなかなかに玄人向けのものだ。

彼女はそこまでプラモデルを作るということが得意という訳でもない。

 

「一人で作れんもんをなんで買ったんだよ……」

「だってぇ、かっこよかったんですもん。これって一目惚れ?一目惚れってやつ?それにほら船長って船長じゃないですかぁ。性って言うか衝動が抑えられない的な?」

「いや、知らん知らん。とりあえず片しておけよ」

 

そう言いながら、シッシッと手を払う。

 

「なんでぇ〜なんでそんな冷たいんですかぁ〜!お願いしますよぉ!手伝ってくださいよぉ!船長ひとりじゃ無理なんですよぉ!」

 

思わずため息が出るモブ。

ギャーギャー騒がしいマリンを後目に頭を抑えていると、

 

「あ、もっぶ」

「ぬあ?あぁユージンか」

 

背後から声がかかりそちらを向くと一人の女性が立っていた。

『友人A』、みんなからそう呼ばれる同僚だ。

 

「なんや?どした?」

「いや、昨日提出したあれ。何も問題なかったし、今日特にやることもないから作ってきなよ」

「……へ?」

 

休みはないがどうやら暇はあるらしかった。

 

◆◆◆

 

「はぁ……」

「〜〜♪」

 

ぐったりするモブと鼻歌を歌いご機嫌なマリン。

両極端な表情をした2人は休憩スペースのソファに並んで座っていた。

 

「なぁおいマリン」

「ん〜?なんです?」

「……これは、小さいヤツをいくつも作るん?それともどデカい奴がひとつ出来上がるん?」

「どデカいやつですね」

「スゥーーーー」

 

彼らの目の前にある机、その上には縦50cm、横30cm、高さ10cm程の箱が7つ置かれていた。

 

「……何時間かかると思ってる?」

「今日1日使うことは覚悟の上です」

「うん、多分終わらん」

「え……」

 

軽く絶望する2人であった。

 

 

 

 

 

「ばか。それはそこじゃねぇ」

「えぇ……?でも紙にはこう書いて……」

「いや、こっちだろ」

「あ、ほんとだ」

「……老眼鏡必要か?」

「ちょっとォ!!!」

 

 

 

「船内も作るのかよ……」

「細かいですねー」

「全くだよ」

 

 

 

「モブさん。帆とローブの付け方が……」

「あ?紙見せてみ………………分っかんね」

「ですよね?」

「なんだよこのプラモ……。リアリティを求めすぎやろ……」

 

 

 

 

 

「接着剤とって」

「あ、はいどうぞ」

「サンキュ」

 

2人していつの間にかソファから降り、地べたに直接座り紙とにらめっこをしながら組み上げていく。

その時、

 

「うわっ!」

「あ?地震…?」

「あ、あっぶねぇ……」

「どした」

「あ、いや、危うく接着剤を別のとこに塗りそうに…」

「あーーそれは危ないな」

「ほんとですよ。タイミング悪すぎですよ」

 

そう言ってまた作業に戻る2人。

そこではっとモブは気づいた。

 

「あ」

「え?どうかしました?」

「今何時?」

 

そう聞くとマリンは壁にかかった時計を一瞥し、

 

「昼の2時ですけど…?」

「あぁ……なるほど」

 

そこで首を縦に振り妙に納得するモブ。

それを見て不思議に思ったマリンは疑問をなげかけた。

 

「え?なんですか?」

「いや今日確か事務所で配信するって行ってきた奴がいたなって」

「へー誰なんです?」

「………るしあ」

「あ」

 

名前を聞いて何かを察するマリン。

それを見たモブはしみじみと呟いた。

 

「あいつの音圧は凄いからなぁ……」

「……でも事務所揺れることなんて普通あります?」

「この前窓ガラスにヒビ入れやがった」

「うわぁ……」

 

そして2人は考えることをやめ、作業に取り掛かった。

その後二人はたまに揺れる事務所に何とか対応しながら、配信が終わったるしあも引っ張って来て半ば無理やり手伝わせ、少し残業しつつ何とかプラモデルを完成させた。

後日、事務所内にそのプラモデルは飾られることになった。




感想欄はしっかりと読んでおりますのでご安心を
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