「瑠奈・・・あの、ごめん・・・」
「いいのよ、葵。気にしないで。そのうち・・・話さないといけなかったんだから・・・」
そういう瑠奈の顔は、やっぱりひきつっていて、私は直視できなかった。
「お兄ちゃん、京介」
「こ、こんにちわ・・・」
私は、緊張したまま2人のところへ向かった。瑠奈は、しばらく間をおくと、話し始めた。
「お兄ちゃん、こちら私のクラスメイトで、サッカー部のマネージャーの空野葵さん。
葵、こっちは私と京介のお兄ちゃんの、剣城優一」
「よろしくね、空野さん」
「ど、どうもぉ・・・」
顔を真っ赤にして、私は頭を下げた。超恥ずかしかった。人見知りはしないけど、この剣城3兄妹、全員美男美女ばっかり・・・。私は、あいた口がふさがらなかった。
しばらく瑠奈たちと話した後、私は病院を後にした。そして、今は天馬の家に向かっている最中。雨宮くんに、ちゃんと渡したということの報告。・・・そして、天馬に会いたかった////
ピンポーン。
ひと時代前のチャイムが、木枯らし荘に響いた。はーい、と出てきたのは秋さんだった。
「あら、葵ちゃん。天馬に用事?」
「はいっ!あの、天馬いますか?」
「えぇ、あがって行って♪」
私は、お言葉に甘えて、部屋にあがらせてもらった。部屋では、天馬がゲームをしていた。確か、去年の冬に出たサッカーゲーム。サブタイトルに、シャインとかダークとかついていたっけ。確か、今年も出るはず。絶対買う!葵も買って、いっしょに対戦しよう!って言われてる。
「天馬、雨宮くんに渡してきたよ?」
「あ、ありがとう!あ、そうそう」
ゲームをやめて、天馬は一旦自分の部屋に戻った。そして、すぐに戻ってきて、私の目の前に箱を差し出してきた。
「はいっ!誕生日プレゼント!!」
「!!・・・ありがとぉ!」
・・・やばい、今、すっごく嬉しい♪
ルンルン気分で、私は家へと帰った。途中でプレゼントを開けてみると、それは、ピンク色のシュシュとバラの花のコサージュだった。もう中1だから、さすがに何をあげればいいか悩んだろうな。だって去年まで、お菓子の詰め合わせとかだったもん。
「たっだいまぁ~っ!」
元気よく家のドアを開けると、パァンッと派手な音がした。一瞬事態が理解できなかったけど、それはクラッカーの音だとすぐに分かった。
「おかえり、葵」
「ごちそう、作ってるのよ。おめでとう」
「お母さん、お父さん・・・ありがとう!」
そのまま席に着き、私たち親子は、カルパッチョ、チーズフォンデュ、ケーキ・・・などたくさん食べた。すごく楽しい時間だった。そして、プレゼントをもらう。
今年は、ストラップだった。すごくかわいいピンク色と水色のサッカーボールのストラップ。それと、淡いピンクのワンピースだった。なんか、天馬のくれたシュシュともコサージュとも合いそうで、なんだか嬉しくなった。
「ありがとっ!お父さん、お母さん!」
「いやいや、いいんだよ。それより葵、大事な話があるんだ」
そのお父さんの深刻そうな顔に、私は何も言えず、ただ黙って席に着いた。
「お父さん、お母さん・・・お話って、なに・・・?」
お母さんは、何も言わなかった。・・・というか、何も言えないようだった。お父さんは、まじめな瞳のまま、すぅ・・・と息を吸い、そして話し始めた。
「葵は、3歳のときにうちに来たんだ」
「えっ・・・それって・・・私・・・養子・・・なの・・・?」
信じられない、と瞳を見開く私に、お母さんが瞳を潤ませながら、つぶやいた。
「・・・ごめんなさい。黙ってて。でも、あなたを引き取った時から、中学1年生になったら話そうって・・・そう決めていたの・・・」
私は、秘密にされていたショックもあったけれど、それよりも大きな“仮説“があった。それは、今日の昼のこと。雨宮くんが話していた、雨宮くんの“双子の妹”―――。もしかしたら、それが私なのかもしれない・・・という仮説。
「・・・お母さん、お父さん・・・話してくれて・・・ありがとう。・・・あ、あのさ・・・私に・・・兄弟とかいるの・・・かな?」
バクバクする心臓を抑えながら、必死に平静を装って、お母さんに聞いた。お母さんは、急にキョトンとした顔になり、そしてしばらく考えた後、答えてくれた。
「確かいたと思うわ・・・お兄さんだったはず。本当は、そのこも引き取りたかったのだけど、そのこは体が弱くて・・・引き取る前に病院に入院してしまい、結局引き取れなかったの。それがどうかしたの?」
「ううん・・・何でもないけど、ちょっと気になっちゃって・・・」
間違いない。99%私は、雨宮くんの双子の妹だ。念のため、私はもう1つだけ質問した。
「私のもとの名前、お母さんとお父さん、覚えてるの・・・?」
「えぇ。確か・・・雨宮・・・そう、雨宮葵だったはずよ」
―――間違いない、私と雨宮くんは・・・双子の兄妹。
私は話の後、ケータイをいじりまくっていた。お母さんとお父さんは、あまり私がショックを受けていないから、ちょっと驚いていたけど、すぐにいつもの生活に戻った。私がケータイで電話していたのは、瑠奈だった。自室に戻り、今の心境を誰かに訴えたかった。
「もしもし、私だけど」
「知ってるわ。だって、あなたの携帯でしょう?」
冷静な瑠奈。あぁ、この声聞くと安心できる。そして、私はすべて今日知ったことを打ち明けた。瑠奈は、驚きもしなかったし、何も言わずにただ黙って聞いてくれた。そして、一言いった。
「いいじゃない。双子って、楽しいのよ?」
「え?」
思わず間抜けな声を上げる。瑠奈は、続けた。
「私も双子でしょ。双子って楽しいの。おなじ遺伝子から同じ時に生まれた人がいるのよ?考えとかが同じなのに、その理由が違っていたり・・・あぁ、もう!要するに、そのことを打ち明けちゃいなさい、太陽君に。だって、太陽君、会いたがってるんでしょ?“双子の妹”のあなたに」
「瑠奈・・・わかった、私言う!」
あぁ、瑠奈の言葉って、親友の言葉って・・・偉大だなぁ・・・。本当に、ありがとう。