誕生日の次の日。私は、誕生日プレゼントをあげるついでで、雨宮くんの病室へと向かった。
どうしよう、心臓がバクバクだ。ドキドキじゃなくて、バクバク。まさか、実のお兄ちゃんと今まで試合してたなんて・・・幼馴染が友達なんて・・・知らなかった。
そして、辛かった。お兄ちゃんである雨宮君は、私のことを覚えていたのに・・・私は、お兄ちゃんである雨宮くんのこと、1つも覚えていなかった。私、どれくらい雨宮くんを・・・知らず知らずのうちに、傷つけていたのかな。
コンコンッ。
「はーい」
「空野・・・空野葵です」
「えっ!?・・・どうぞ、入って」
そう言われるがまま、私は雨宮くんの病室へはいった。雨宮くんは、昨日天馬からもらったサッサーボールを磨きながら、ホーリーロードのDVDを見ていた。確か、これはVS月山国光のときのだ。これは、予選編から入っているから、意外と長い。
「ごめんね、昨日から・・・」
あぁ、もう・・・。謝罪したいことがたくさんありすぎて、わかんなくなってくる。
「ううん。それで、今日は何かな?」
「あっ、えっとね・・・。誕生日日プレゼント・・・私もあげたいなーって・・・」
後ろで手をもぞもぞさせ、顔を真っ赤にする私。雨宮くんは、目をぱちくりしている。そして、やさしく微笑んだ。
「ありがとう。何くれるの?」
「えっとね・・・何あげたらいいのかわかんないから・・・とりあえずスポーツタオルだけだけど・・・いいかな?」
雨宮くんは、本当に太陽みたいな笑顔を向けてきた。
「お兄ちゃん・・・」
小さな声で、私はつぶやく。雨宮くんは、気が付いていない。それでいい。そのうち、ちゃんと話すから・・・。
そして、私はとうとう気持ちが決まった。―――ちゃんと言わなきゃ。
「雨宮くん・・・」
「何?」
「私・・・はね・・・あの、その、えぇっと・・・雨宮くんの・・・その・・・ふ、ふ、ふ、ふ、ふ、ふたっ・・・双子っ・・・の妹・・・です・・・」
「ッ!?」
・・・やっぱり・・・。そんなこと、急に言われたら驚くよね・・・。ごめんなさい。でも、私はちゃんと伝えなきゃいけなかったんだ・・・。拒否されたって、何言われたって、もういい。もう2度と、会えなくてもいいから・・・。
「そ、そんな・・・本当・・・なの?」
「ごめんね・・・。いきなり。実は、昨日私の誕生日で、それで両親から聞いたの。私が養子だってこと、双子のお兄ちゃんがいたこと、元の名前は“雨宮葵”だってこと・・・それで、確信した。私は、雨宮くんの実の妹だ、って・・・。拒否されたって、軽蔑されたって、それでもいいっ!伝えときたかったから・・・っ!!」
私の言葉は、そこで途絶えた。―――雨宮くんが、私を抱きしめたから。
「葵っ・・・!今、思い出したよ・・・!妹の名前は・・・葵だ・・・!会いたかったよ・・・!」
私、どうしよう・・・。すごくすごくすごく、うれしくて仕方がなくって・・・涙が出てきちゃうよ・・・っ。
「たいよっ、太陽ぉ~っ!!」
「葵っ・・・葵っ・・・!」
しばらく私たち兄妹は、再会を喜んでいた。そのあと、しばらくしてコンコン、と部屋のドアが鳴った。雨宮くん―――太陽が、返事をした。そこに入ってきたのは、剣城3兄妹だった。
「あぁっ!優一さん!」
「やぁ、久しぶりだな」
どうやら優一さんと太陽は、知り合いらしい。優一さんは、あまり私たちのことを気にしていないみたい。瑠奈は、すごくやさしい顔をしている。剣城君は、なぜ私たちが一緒にいるのかわかっていない。
優一さんと太陽は置いておいて、私と剣城兄妹は、いったん外に出た。
「葵、よかったっ!!本当に、よかったわね」
「瑠奈ぁ・・・助言、ありがとうッ!!」
「おい、瑠奈・・・いったい何が起こっていたんだ・・・!?」
私たちは、ベンチに座り、さっき買ったジュースを飲んでいるところ。そして、剣城君にも事情を話さなくてはいけない。
「あのね、私と太陽は・・・双子の妹で・・・」
「はぁっ!?」
「・・・京介、うるさいわ」
あらら、剣城君、シュンとなっちゃった。でも、耳だけは動いていた。
「瑠奈・・・本当にありがとう」
「ううん、いいのよ。本当によかったわ」
そして、私たちは病室に戻った。病室では、太陽と優一さんが、ホーリーロードのDVDを見ている最中だった。
「あ、おかえり~3人とも」
「ただいまっ♪」
あぁ、これからが楽しみだな♪
剣城3兄妹が帰った後、私と太陽だけになった。
「あの・・・太陽?」
「葵」
「あのぉ・・・」
「葵」
「もう!なにぃ?」
「葵。・・・こうやって、また兄妹として再会できるなんて・・・うれしい!」
「・・・うん、私も」
ねぇ、太陽?私もね、またいっしょにいることが出来て、本当に、本当にうれしいんだよ?私だって、本当にうれしい・・・!
家に帰ってから、今日会ったことを、私はお父さんとお母さんに話した。
「・・・ってことだったの」
「そう・・・よかったわね」
お父さんとお母さんは、本当に喜んでくれた。よかった・・・。過去のこと、拒否されるんじゃないかって・・・正直、不安だったの。
これからは、もっと楽しい毎日になりそうだね♪