「にーちゃーん!ピアノ、弾いてっ!!」
「・・・すまない、拓也。今から宿題が・・・」
「え~、いいじゃんか!兄ちゃん、頭いいしぃ・・・すぐ終わるんでしょ?」
あぁ、また始まった・・・。拓也の“甘え上手”。俺は、こういうのにちょっと・・・弱いんだ。
俺は、神童拓人。
神童財閥の息子で、一応跡取り。そして、雷門中学校サッカー部の司令塔。『神のタクト』という異名も持つ。
さっきまで一緒にいたのは、弟の神童拓也。今は稲妻第一小学校の5年生で、夢は雷門中学校サッカー部に入り、サッカーをすることだそうだ。まぁ、無事入れたら、天馬たちが3年生の時の1年生になるだろう。天馬なら、安心できるな。あとは、剣城もいる。
俺は、拓也からのお願いを必死に断り、部屋に入った。
そして、自分の携帯を取り出す。ディスプレイには、“新着メールが3件あります”の文字。一気に3件なんて・・・いったい、何があったのだろう。そう思いながら、メールを1つ1つ開いていった。
1つ目は、親友の霧野蘭丸からだった。
「・・・プッ。霧野らしいな」
霧野からのメールは、こんなものだった。
“神童へ
聞いてくれないか、兄さんのことだ。
兄さんは、また『夕香、夕香・・・』とうなっている。もう、うるさくて寝れやしない。
この前、剣城と瑠奈にも言ったが、そんなに言うなら別れればいいんだ!
そんな愚痴だ。本当に、すまないな。
しかし、母さんは『兄弟でしょ!』とか言うし、マジ最悪だ。
弟というのは、大変だ・・・。
こんな愚痴ばかりでごめんな?でも、それを聞いてくれるのは、神童、お前だけだ!
本当に、ありがとな。
蘭丸”
あぁ、霧野も大変なんだな。そう思いながら、俺は微笑んだ。
2つ目は、マネージャーで、剣城京介の双子の妹のマネージャー・瑠奈からだった。
絵文字たくさん、返信に困るくらいカラフルで、白黒はやばいと思った。そして、改めて女子のメールの恐ろしさを知った。
“to:神童先輩
from:剣城瑠奈
宿題やピアノの練習で忙しいと思います<m(__)m>すいません;;
お尋ねしたいのは、明日の練習のことです♫
今日の練習後、円堂監督からご指示がなかったのですよね?
あとで聞いてみると、『神童に聞け!』とおっしゃられたものですから・・・\(◎o◎)/;
本当に、迷惑おかけします<m(__)m>
あと、明日、京介と話し合って決めたことを、告げたいと思います。
私のみ、練習の10分前に、サッカー塔内のグラウンドで、待っています。
本当に、ご迷惑おかけします<m(__)m>;;”
「・・・そうか、そういやそんなことを言っていたような気が・・・というか、天馬じゃないのか(笑)」
丁寧な文面だったが、やはり返信には困りそうだった。
3つ目は、天馬からだった。何やら、興奮した様子だった。
「まぁ、天馬はいつもこんなものか・・・」
“神童先輩へ!
聞いてください!葵からつたえてっていわれたんですけど、葵と太陽、双子の兄妹だったんですよ!!
すごいですよね!!
一応、お知らせしときました!!
☆写真、つけときます!!
松風 天馬”
そんな文面と、天馬と雨宮と空野、瑠奈と剣城の5人が写った写真が、添付されていた。
「すごいな・・・驚いた。また今度、詳しく聞こう。・・・それにしても感嘆符が多いな・・・あと、ひらがなも・・・」
そう考えて、俺は携帯を閉じた。
外では、拓也がシェフに、何かをねだっている様子だった。
そんな会話を聞き流しながら、俺は再び机と向かい合った。
「今日は、英語か・・・。プリントだからな、すぐ終わる」
問題は、簡単だった。
“次の動詞を、現在進行形にしなさい”これだけだった。表印刷しかされていない、今日はすぐ終わりそうだった。
「えぇと・・・1.eat 2.have 3.like 4.take 5.listen 6.speak 7.start 8.use・・・そんな問題ばかりだな・・・。
1,5,6,7,8は、”~ing”をつけるだけ。2,4はeをなくして”~ing”。そして3は、状態動詞だから、直せない・・・と。ふぅ、簡単だな」
宿題も終わってしまった。何しようか考えていると、俺は重大なことに気がついた。
「あぁっ!!返信、まだなんだ!」
瑠奈のメールですが、カラフルだということで・・・(笑)