最近、天馬が瑠奈に近づきすぎだ。
最初は、そりゃ、クラスメートで部活も一緒だから、仕方がないと思っていた。しかし、今は瑠奈に近づきすぎだ。
俺は、剣城京介。
瑠奈の双子の兄だ。瑠奈と俺は、小さいころから・・・もっといえば、母さんの腹の中にいるころから一緒にいる。はっきり言えば、瑠奈はとてもかわいくて大好きだ。
ただ、瑠奈はかわいすぎる。それが長所でもあり、短所でもある。
瑠奈は、かわいいから男によくモテる。告白もしょっちゅうされている。噂では、学校1の人気らしい。学校帰りに、高校生からナンパされているところを見たという噂もある。
この気持ちは何なのだろう・・・この気持ちを分かってくれるのは、豪炎寺さんと鬼道さんだけだ。
今は、部活が終わり、1人で家に帰っている最中だ。瑠奈は、兄さんのお見舞いに行ったため、早く帰ったはずだ。そう思っていた時、後ろから肩をたたかれた。誰かと思って振り返ると―――瑠奈だった。
「瑠奈・・・!今日は、兄さんのお見舞いに行ったんじゃ・・・!?」
驚きとうれしさが交差した。
「その帰り。・・・ねぇ、京介。今日信助からクッキーもらったの。あとで一緒に食べよう?」
驚きとうれしさの間に、ムッとした気持ちが入ってきた。天馬だけじゃないのか、信助もなのかよ・・・。この気持ちは、少なくとも恋じゃない。そう、『家族愛』という奴だ。
「京介・・・聞いている?」
「あ、あぁ。一緒に食べよう」
俺はそういいながら、瑠奈の頭をくしゃくしゃとなでた。いいのか悪いのか、瑠奈は超がつく鈍感だ。特に、自分のことに関しては、鈍すぎて俺も頭を抱えたくなる。
「ただいま、お母さん」 「ただいま、母さん」
俺たちは、2人で家に帰ってきた。玄関には、母さんがいた。いつもの服ではなく、少しおしゃれをしているところからすると・・・
「父さんと、出かけるのか、母さん?」
「/////////そ、そんなんじゃ・・・あるけど・・・ほ、ほら!2人とも、宿題しちゃいなさいよ?」
母さんは、異常なほど照れながら、外へと出て行った。
「ふふっ、お母さん、お父さんとのお出かけが、とても楽しみみたいね」
「そうだな」
俺たちは、そのままリビングへと足を運んだ。
今、俺たちはクッキーを食べている。このクッキー、確かにおいしいが・・・信助からもたったという点だけが、どうも気に入らん。
瑠奈はというと、満面の笑み・・・を浮かべながら、クッキーと紅茶を食べたり飲んだりしている。
それと気に入らないことがもう1つ・・・。
「・・・で、なんで先輩方がここにいるんですか」
「すまない・・・だが、拓也とけんかしてしまい、お父様も拓也についてしまい、俺には居場所が・・・(涙」
「俺は、もう兄さんの愚痴には耐えられない。そんなに愚痴るぐらいなら、夕香さんと別れてしまえばいいんだ」
「・・・^^;」
なぜか神童先輩と霧野先輩が、そろってうちに来ている。理由は2人とも、兄弟関係がどうのこうの・・・らしい。瑠奈の満面の笑みの裏には、困惑の色が浮かんでしまっている。
先輩2人の愚痴は、勢いを増すばかりだった。俺と瑠奈は、それをただ黙って聞くほかに、道はなかった。
「拓也は、まだ小学生だ。5年生だ。だが、5年生というのは、すでに高学年じゃないか!?なのに、お父様は、拓也が年下だから、すべて拓也の見方をするんだ・・・。
今日だって、俺のお小遣いの1万円札が1枚なくなっていたんだ。5枚から4枚になってしまっていたんだ!ふと、横を見ると、拓也がうれしそうな勝ち誇ったような顔をしている・・・これは拓也の仕業だと思い、拓也のお小遣い帳を見ると、今月のお小遣いの3万円に、なぜか1万円付け足されていたんだ。これは、間違いなく拓也の仕業だろ!?
だが、拓也は目を潤ませながら、こういったんだ『お兄ちゃんが、もう使っちゃったんだよ。なのに、俺のせいにするなんて・・・(涙』。それを真に受けたお父様が、俺を叱り・・・グズッ(涙」
「俺なんか、毎日兄さんが『豪炎寺さんからの視線が・・・』だ『夕香のことをあんなに好きなのに・・・』だ『蘭丸、おまえが何とかしろ。あの人は、元聖帝なんだろう?』だ・・・愚痴がうるさい。うるさくて眠れないほどなんだ。
『豪炎寺さんからの視線が・・・』だ・・・!?そんなもの、俺は知らないだろ!?そんなに嫌なら、ちゃんと話しあえよ!
『夕香のことをあんなに好きなのに・・・』とか、俺が知るか!好きなら、痛い視線も耐えろという話だ!!
『蘭丸、お前が何とかしろ。あの人は、元聖帝なんだろう?』とか、もう適当にもほどがあるだろ!?豪炎寺さんは確かに元聖帝だが、それはすごいことだったし、サッカーを憎んではいなかったじゃないか!?それに何だ、兄さんの恋とサッカー、何の関係がある!?とにかく俺はだな・・・」
神童先輩の金持ちと、霧野先輩のお兄さんの適当さがよくわかったが、俺たちはただ疲れる一方だった。瑠奈はすでに、空野にメールを送ったりして暇を潰している。ただ、2人ともがこの行動に出ると、この2人の勢いは、さらにエスカレートしてしまうだろう。
「はぁ・・・わかりましたから、クッキー食べて、紅茶飲んで、早く家に帰ったらどうです?もう6時ですから」
そのあと、2人の先輩は好きなだけクッキーと紅茶を飲み、それぞれの家へと帰って行った。
「・・・無駄に疲れた」
「・・・えぇ、そう思うわ」
俺たちは、深いため息をつきながら、家へと入った。
そして俺たちは気がついた。まだ、制服のままだったということに。これから、兄さんに荷物を届けに行くから、それぞれ私服に着替えた。
俺は、ダメージジーンズに赤い長袖のTシャツ、腰に黒いパーカーをまき、靴は茶色のブーツだ。
瑠奈は、黒地に白の水玉の入ったミニワンピだ。上から、大きめの白色のパーカーを羽織り、下は黒のタイツと茶色のブーツだ。
「それじゃ、行くか」
「えぇ、行きましょう」
あぁ、やっぱり瑠奈は可愛い。大好きだ。
そして、今から会いに行く兄さんも、俺は大好きだ。
剣城くん、神童くん、霧野くんのキャラが、ちょっとヤバかったような気が・・・