信勝君が鎮守府に着任しました。   作:古明地響

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とある英霊の物語~三人の獣~

世界は涙を流し叫んだ。何度も何度も、誰にも聞こえない怒りと悲しみを虚無の空へ。

世界は虚無の空へ更に叫ぶ。

 

誰が作れと懇願?誰が仕切れと命じた?誰が殺せと囁いた?

 

世界は人類を愛していた。でも、それはここまでのようだ。

虚無の空、虚無の水平線。全てが世界に同調する。

 

そうか、、、。お前達も怒り悲しんでくれるのか。俺は一人ではないのか。

 

地だった虚無は水に、無色だった虚無の空に色がつく。

 

そうか、、、。戦っていいのだな?この俺が何かを守るために戦っても、、、。

 

世界は涙を拭く。景色が崩壊していく。崩れ落ちる景色。その景色を見ながら世界は一冊の本を読んでいる。

 

これは、、、。そうか、これからはこのように見ればいいのか。

 

これは世界が持つ能力の一つ。[世界の本棚(ワールド・ブックシェルフ)]。

読みながら涙を流す。

 

なんで、、、。人間のために体の一部を犠牲にしなければいけないのだ!?

人間は愚かだ、、、。人類のためならどんなに汚いことでも平気でする。人間は神の失敗作だ!!でも、成功例もある。その成功例と全てを変えてみせる!!

 

世界とあるシナリオ(物語)を開ける。だが、、、。

 

なんだ、、、。これは、、、。まともな成功例がない、、、。だと、、、。

 

そこにはまともな成功例が一つもなかった。あっても失敗作によって汚された成功例しかない。これでは意味がない。

 

腐っている、、、。あのシナリオ(物語)の人類もそうだったが、やはり愚かな人類は滅びなければ分からんらしいな。

 

世界の意志は硬い。それはまるでダイヤモンドのように硬く、そして輝いているのであった。

そして、人類は世界のことを憎しみ、恨み、怒り、野望、八つ当たりを込めてこう呼ぶのだ。

 

コード:ザ・エンドと、、、。

 

 


 

 

妖怪達の最後の楽園は己の無力さに涙を流す。

 

なぜ、こんな結末を辿らないといけないんだ?霊華ルーミアも悪くないんだ。なのに、なぜこんな悲しい結末を、、、。

 

幻想郷には運命を変えるだけの力はない。だからこそ泣くことしか出来ないのだ。

絶望を希望に変える力、、、。それが幻想郷にはなかった。

気がつくと幻想郷は無数の地球が犇めく空間に立っていた。

 

なんだ?これは、、、。

 

幻想郷は一つの地球に触れる。すると突然、脳内に地球が出来て滅びるまでの映像が流れてきた。

それは幻想郷が知らない外の世界の光景。

 

えっ、、、。人が、人を?なんのために?

 

人と人の殺し合いなど見たことなかった幻想郷は恐怖し混乱する。

 

なぜ?なぜ人間同士が殺し合っているのだ?争うところは見てきたが殺しなんて見たことがない!妖怪と人間じゃない!人間と人間だ!!

 

幻想郷は別の地球へと触れる。すると、今度は違う映像を見ることだ出来た。そこに写し出されたのは傷だらけ少女達が海を駆け、黒い怪物と戦いそして沈む。生きて帰れても図体の大きい男に殴られ罵声を浴びせられる者もいれば、大勢の男の性の捌け口として使われる者もいれば、どこかへと売り飛ばされる者もいた。その様子が脳内に流れ込んできた幻想郷は酷い吐き気と怒りに包まれる。

 

殺す、、、。人間は殺さないとダメだ!!

 

怒り狂う幻想郷。だが、人間の中にも善き者もいることは幻想郷も分かっている。分かっているが怒り狂い、滅ぼさなければならないと思ってしまうのだ。

後に人類は幻想郷のことを理不尽な死と言うことを込めてこう呼んだ。

 

コード:ザ・カラミティ

 

 


 

 

ルシファーは一人の少女を抱き抱え嵐の海を駆け抜ける。

それを深海棲艦達が追いかけ追撃する。

 

くっ!しっかりしろ!!

 

少女は起きることはない。気絶したままである。

ルシファーが戦えばこの場を乗りきることは容易い。だが、そうなると両腕の中で眠っている少女の命が保証できないのだ。

 

このままでは逃げ切れない!!

 

「あら?そんなに後ろばかり気にしていいのかしら?」

 

ルシファーはとっさに避ける。先ほどまでいた場所には紅い槍が、、、。

 

「あら?避けたのね。」

 

貴様、、、。何者だ?

 

「私?私はビスマルクのランサー。貴女に引導を渡してあげるわ。」

 

なるほど。生憎今の私は殺り合うつもりはないんでな。逃げさせてもらう!!

 

「あらあら、つれないわね。ん?あら?あらあら!!貴女、普通のサーヴァントとじゃないと思ってたけど。まさか、とんでもない大物だなんてね!!」

 

なんだ?もうバレたか。

 

「面白いはぁー、、、。一体誰に何を託されたのかしら?」

 

、、、。貴様のような奴に知る権利などない!!

 

ルシファーはランサーを飛び越えて逃げる。

 

「そう簡単に逃がさないわよ。」

 

ランサーは槍を投げる。が、、、。

キーン

 

「あら?バリア?」

 

ルシファーの周りにはバリアが張られていた。そのバリアは一枚だけではない。四枚のバリアによって守られていた。その四枚にはそれぞれ何かを表すマークのようなものが描かれていた。

そのバリアのおかげでルシファーは逃げ切った。

 

「あれは、、、。英霊となるはずだった者達がなぜ彼女に力を託してるのかしら?彼女も私と同じ人類悪なのに。」

 

それだけ言い残しランサーは嵐の海の中に消えるのだった。

 

ルシファーは後に神への挑戦者、人類の破壊者の意味を込めてこう呼ばれた。

 

コード:ザ・デスペア


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