信勝君が鎮守府に着任しました。   作:古明地響

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過去から降り続く恨みの雨

五年前 大本営

 

桜子「、、、。宗十郎さん、、、。」

宗十郎「、、、。」

桜子が宗十郎の名を呼んでも返事がない。

?「しょうがないっしょ。自分の大切な娘を失ったんすから。」

桜子「斎藤さん、、、。でも、このままじゃ宗十郎さんが可哀想過ぎます!それになんなんですか!さっきの会議は!!」

十次郎「そうだよねぇ、、、。あんなん会議、俺だって許せねぇさ。」

………………

……………

…………

………

……

 

一時間前 大本営 大会議室

 

 

?「定刻だな、、、。[(たいら)]、今回の被害を言え。」

?「かしこまりました。[芹沢(せりざわ)元帥]。」

[芹沢宗次郎(せりざわそうじろう)元帥]の命令で大湊鎮守府の提督[平清正(たいらきよまさ)]が一枚のプリントを読み上げる。

清正「中国からの密漁船の救援を受けた艦隊の被害。深海棲艦の攻撃により旗艦の軽巡一隻及び随伴艦の駆逐艦四隻大破し駆逐艦一隻が轟沈。密漁船の船員約10名は死亡。はっきり言いましょう。資源の無駄遣いです。

プチンッ!

数ヵ所から何かが切れる音がした。

桜子「資源の無駄遣い?ふざけるのもたいがいにしてください!!死人が出てるんですよ!なのに資源の無駄遣い?貴様に人の血が流れてるのか!?」

清正「静かにしたまえ。沖田大将。ここは大本営だぞ?神聖な場だ。なのに大声を上げるとは、、、。恥と知れ!!

桜子「言っても分からぬなら、、、。斬ります。」

桜子が刀を抜こうとする。

?「止めておけ。沖田。こんなところで争っても何にも特にならねぇだろ。」

桜子「[土方(ひじかた)さん]!!止めないでください!!」

桜子を止めたのは横須賀鎮守府の提督[土方義正(ひじかたよしまさ)]。

十次郎「沖田ちゃん、、、。気持ちは分かるけど今は抑えて。」

桜子「くっ、、、。」

桜子は席に座る。

宗次郎「全く、この国の国民を守るだけでも精一杯な癖に他国の人間を助けようとする。つまり、さらに激務を増やして良いってことだよなぁ?

義正「あ?それとこれとは関係ねぇだろうが!!」

宗次郎「関係無い?お前は腑抜けか?てめぇら阿保があの鉄屑共を甘やかすからいつまで経っても深海のゴミを一網打尽に出来ねぇんだろうが!!

義正「おい、てめぇ、、、。もっぺん言ってみやがれ!!」

義正が刀を抜く。それを見て桜子、十次郎、佐世保鎮守府の提督[山南進(やまなみすすむ)]は刀を抜き。

当時まだ提督ではなかった雪花は拳を構え、雨牙は拳銃を構える。

その会議室には約五百人の海兵達。その中に義正達の味方など二百人程しかいなかった。

義正「てめぇら!!今は近藤さんはいねぇし、止め役の[吉田(よしだ)]もいねぇ!気に入らねぇ奴らの首を取るぞ!!」

義正の合図で会議室は地獄と化す。

人数の差で勝っていた芹沢派の海兵達は圧倒的に土方派の力に負けていた。そんなとき、会議室の扉が開く。会議室に入ってきたのは、、、。

?「何やってんすか?祭りっすか?」

当時憲兵隊総長の[勝喜助(かつきすけ)]だった。

桜子「勝さん、、、。これのどこが祭りに見えてるんですか?」

喜助「真っ赤なところっすかね?それにしても、、、。沖田ちゃん、、、。君がそんなに[震えてる]なんて何があったんすか?」

気が付くと桜子は震えていた。

喜助「一応話は聞いてますよ。八幡提督は、、、。こりゃ重症っすね。はぁー、、、。僕からはねぇ、、、。悪いけど芹沢さんらを擁護する言葉はありませんわ。だから、土方さんらにだけ言の葉を送らせてもらいますわ、、、。向こうが悪や、こっちが正義や。戦争なんて始めた瞬間から、、、。どっちもでしょうが。そのを僕ら人間に代わって請け負ってくれてるのが艦娘でしょうが。だから、貴方達がここで争えば海で戦ってるあの子達のに意味が無くなります。戦いなんですよ。負ければ死ぬんです。死なないために死ぬ程準備するんです。あの子達も人も深海棲艦もみんなやってるんことでしょう。もし戦いで死んだとして、最後に守りたいものを守れれば御の字ってもんですよ。そして、残されたものが死んでいったものに最後にやってあげれることは弔ってあげることっすよ。

それだけ言って喜助は会議室を出ようとする。

喜助「あっ!忘れたっす!今、救護班がこっちに向かってきてるんで。あと、吉田元帥と近藤元帥からで会議はこれにて閉廷。夜になってから八幡提督は近藤元帥の執務室に来るように。」

そう言って会議室から出ていた。

 

……

………

…………

………………

 

桜子「先ほど八幡さんは執務室に向かいましたが、、、。やはり皆さん八幡さんが心配なんですね。でも、何でここに先ほどの会議にいなかった。[西郷(さいごう)さん]に[坂本(さかもと)さん]。それに、[岡田(おかだ)さん]まで、、、。どうしてですか?」

健介「そりゃ、わしらはあの子を抑えるのに必死やったんや。」

龍ノ助「そうですよ。こっちは五人で戦艦を抑えてたんですから。」

鬼蔵「そうやぞ!マジで死ぬかと思った!」

桜子「やっぱり大和さんが暴れたんですね。」

龍ノ助「そうだよ。しかも、会議室に盗聴器仕掛けてたみたいであの会話全てを聞いちゃってたよ。」

十次郎「マジかよ、、、。で、土方はどこに?」

進「会議室を出てからは見てないね。」

雨牙「俺も見てません。それよりも、誰か姉貴をどうにかしてくれないか?」

雪花「ガルルルル………」

十次郎「何々!こんなところに狂犬がいるんですけど!!」

雨牙「姉貴はぶちギレて収まらねぇとマジで手に負えねぇんだよ!」

?「あらあら、こんなところに犬がいるのね。」

十次郎「ん?てめぇ、何者だ?」

いつの間にかその場には似つかわしくない紅いドレスを纏った少女がいた。

雪花「侵入者!ぶち殺す!!」

雪花が少女に殴りかかるが、、、。

?「やれやれ、、、。駄犬はそこで寝てなさい。」

少女が雪花の首に手刀を当てる。すると、雪花は気絶してしまった。

十次郎「おいおい、マジかよ!狂犬状態の雪花を一撃かよ!」

?「はぁー、まったく敵ではないのにいきなり襲いかからないでほしいわ。それとも犬は犬らしく発情でもしたのかしら?」

雨牙「てめぇ、、、。姉貴の事を馬鹿にするのはそこまでにしろ。」 

?「あら?次は貴方が相手になるのかしら?貴方は犬より狼ね。」

雨牙「うるせぇ。」

雨牙が少女に殴りかかろうとするが、、、。

桜子「待ってください!!」

桜子が止めに入る。

?「あら、良いところに止めに入るなんてね。」

桜子「別に味方同士で争う必要がないと思ったからです。」

健介「おん?沖田はその娘の事を知っとんのか?」

桜子「えぇ、、、。貴女は土方さんの[サーヴァント]ですね?」

龍ノ助「えっ!![サーヴァント]だって!!でも、[サーヴァント]を召喚するにはとてつもない魔力が必要なはずだよ!土方君は普通の人間。とても[サーヴァント]を召喚する魔力なんて「魔力なんて要らないんですよね?」えっ?」

?「フフフ、流石ね。確かに彼は魔力を使わず私を召喚した。本来は魔力が必要なのだけど、、、。何処で狂ったのかしらね。今は[後悔、信念、怨恨、憤怒、覚悟、欲望]この6つのものが必要ね。まぁ、どれか一つで十分だけどね。彼は私を己の覚悟で召喚したわ。」

桜子「土方さんの覚悟ですか。」

?「そうよ。彼の覚悟は相当なもの。だから私を召喚することが出来た。ちなみにだけどこの大本営に怨恨だけで召喚に成功した者がいるみたいよ。」

その言葉に皆が驚く。

進「それは誰か分かりますか?」

?「うーん、、、。そうね。私が分かる範囲でいくと二人ね。一人は、、、。何て言ったら良いのかしら?傘?みたいなのと大きな主砲が見えるわね。」

雨牙「傘みたいなのと大きな主砲、、、。西郷さん、坂本さん、岡田さん。一緒に来てくれ。あと、姉貴はそろそろ起きてくれよ。」

雪花「分かってるわよ。さて、行きましょ。」

鬼蔵「なんや、二人は分かったんかい。なら行くか。」

健介「生きて帰れるかな?」

龍ノ助「さあね?」

雨牙達が何処かへと向かう。

?「もう一人は、、、。あらあら。大変ね暴走しかけてるわ。何て言えば良いのやら。この世の全てに絶望してるわね。」

桜子「絶望、、、。そう言うことですか!!」

桜子は何処かへと向かおうとする。

?「ん?どうしたのよ。」

突然少女が誰かと話し始める。

よく見ると襟元に小型マイクがついている。

?「えっ、、、。[咲夜(さくや)]、冗談よね?」

少女は困惑しているようだ。

?「、、、。そう、、、。分かったわ。」

少女はマイクのスイッチをOFFにする。

桜子「どうかしたのですか?」

?「、、、。義正が何者かに撃たれたのよ。」

桜子「えっ!!」

十次郎「そんな、、、。」

進「、、、。それだけですか?」

?「いいえ。もう一人、、、。勝喜助も撃たれた。」

桜子「嘘でしょ、、、。」

十次郎「一体誰が、、、。」

進「、、、。二人は彼を止めてきてください。」

桜子「え?」

進「勝さんの仇は僕が取ります。」

十次郎「おいおい、犯人が誰が分かってんのか?」

進「えぇ。おそらく彼でしょう。」

十次郎「そうかい、、、。」

桜子「、、、。貴女も行くんですか?土方さんを撃った犯人を探しに。」

?「えぇ。行くわ。私も犯人が分かったわ。」

桜子「そうですか、、、。最後に貴女のクラスと名前を教えてください。」

?「そうね、、、。私は[紅魔のランサー レミリア・スカーレット]よ。」

名を告げてレミリアはその場を後にした。

桜子「、、、。[レミリア・スカーレット]、、、。貴女は、、、。まっ、いいですか。行きましょう!斎藤さん!彼を、、、。八幡さんを止めに!!」

 

 


 

 

現在 車内

 

信勝「はぁー、、、。二人共寝ちゃったな。」

CEO「仕方ないさ。吹雪はお前が鎮守府に着任する以前からずっと睡眠時間は一時間程だったからな。」

信勝「はぁ?睡眠時間が一時間程だって?そんなことしたら体が持たないだろ!」

CEO「あぁ、私としても睡眠はちゃんと取らないといけないのは十分に知っている。だが、それを知らない阿保もいる。現に鎮守府にいる大淀なんて30分しか寝てなかったぞ。まぁ、前任の時よりはましになったがな。」

信勝「貴女は前任がいた時の鎮守府を知ってるのですか?」

CEO「あぁ、知っているさ。何度あの常識も礼儀もないクズを殺そうかと思ったか、、、。だが、殺せなかったことに悔いはない。吹雪の命令ではなく私の判断だが、全ての艦娘守ったさ。私が召喚されてからずっと。」

信勝「大変だったんだな。なら、一つ聞くけど、、、。あの男のことは今どう思ってるんだ?」

CEO「のことか。、、、。前ほど恨んではいないさ。この腐った人間を見ればあんなことすぐに忘れそうになった。だから私は思ったんだ。あの怒りは小さかった。に対しての怒りなんてあの子達からしてみればちっぽけなものさ。」

信勝「ふーん、、、。なら、もう争わないんだな。」

CEO「そうだな。もう戦う理由がないからな。さて、そろそろ東京に着くんじゃないか?」

信勝「そうだな。まぁ、先に次のサービスエリアで休憩するけどな。」

二人はそんな他愛もない会話を続けるのであった。

彼らが見る空は雲一つ無い晴天。しかし、その空には止まぬ恨みの雨が降りしきっていたのであった




キャラクター紹介

名前 平清正(たいらきよまさ)

階級 大将

詳細 芹沢派に付く大湊鎮守府の提督。艦娘を兵器とも見ず物としか見ないゴミ野郎。


名前 芹沢宗次郎(せりざわそうじろう)

階級 元帥

詳細 三人いる元帥の内の一人であり艦娘を兵器としてみる過激派の大元。


名前 斎藤十次郎(さいとうじゅうじろう)

階級 大将

詳細 呉鎮守府の提督であり[髑髏のアヴェンジャー]の召喚者。ふざけることが多い問題児だがキレると瞳孔が開きっぱなしになって怖い。


名前 山南進(やまなみすすむ)

階級 大将

詳細 佐世保鎮守府の提督であり[水色のアーチャー]の召喚者。艦隊の運営は基本後方支援で運営している。剣の腕前は沖田並みだが前線で戦うより後方支援に徹する。

名前 土方義正(ひじかたよしまさ)

階級 大将

詳細 横須賀鎮守府の提督であり[紅魔のランサー]の召喚者。科学者に作ってもらった靴を履き艦娘と共に出撃する変わった提督。人類の武器では深海棲艦にダメージを与えられないがそこは気合いでカバーし深海棲艦をぶった斬る。その姿から[鬼神の土方]なんて呼ばれることもある。梅干しが大好物。


名前 レミリア・スカーレット

クラス ランサー

呼び名 紅魔のランサー

召喚者 土方義正

詳細 土方義正が召喚したランサーのサーヴァント。種族は吸血鬼らしく日光、ニンニクなどに弱いが大体はちょっと痒くなるぐらいで済むらしい。極東にあると言われる[忘れられた者達の楽園]にある紅い館の主らしい。紅茶と納豆が大好物だとか。
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