マギレコRTA ワルプルギス撃破ルート脳筋傭兵チャート   作:スパークリング

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Interlude.嵐の前の

 あの日、完全中立が傾いた。

 

 これはちょうど一ヶ月前の出来事。

 9月の第二週目のある日の休日。調整屋でわたしこと八雲みたまは物憂げに溜息を吐いた。

 

 今は午前7時半。調整屋が開店するまで大分余裕がある。だけど今日は、これくらい早い時間じゃないと調整することができない人が来る日。だからわたしはこうして営業時間外で出勤して準備をしていた。

 

 さっきの溜息だけど、わたしは決してこのことを憂鬱にしているわけじゃない。なにせその人はわたしにとっての第二の恩師であり、十七夜と同じくらい大切に思っている親友なのだから。

 かつては毎日顔を合わせるような間柄だったけど、あの日(・・・)を境にほとんど会うことができなくなってしまった、そんな大切な人が会いに来る。それは本当は喜ばしいこと。久しぶりに会えたことを喜び合って世間話を楽しみたい……ところなのだけど。

 

「おはようなのじゃ。久しいのう、みたま」

 

 約束の時間である8時丁度にその人――神浜最強の魔法少女、星奈百恵ことモモちゃんが来店した。

 

 そう、今日はモモちゃんの定期検診の日。これが親友に会えるにもかかわらず晴れやかな気分になれない理由だった。

 

 5月以降、力の成長が止まってしまって弱体化の予兆が見え始めたモモちゃんが心身共に健康な状態なのかを一ヶ月に一回、決まって第二週の日曜日にソウルジェムを通して診察をする必要があった。営業時間外に診察する理由は、神浜最強の魔法少女の不調というとんでもない情報が漏洩することを防ぐため。

 

 最初こそ遠慮して渋っていたモモちゃんだったけど、なんとかわたしが説き伏せてこうして診察することになった……わけなのだけど。わたしから言い出したことなのにいつしか、この日が来ることが憂鬱になってしまっていた。知らない方が幸せだけど、後で知ると物凄く後悔する。この日が近づく度に、わたしはその二律背反に苦しまされる。

 

 見た目に反して大人びた現実主義者(リアリスト)気質だったモモちゃんだったから最初こそ僅かで気にならないような変化だったけど……精神面でのモモちゃんの異常は日に日に大きくなっていることが発覚した。そしてそれは一ヶ月、さらに一ヶ月と、時が過ぎていくにつれより顕著になっていく。

 

 誰かとの繋がりを求めて色々なところに出かけるようになった。それだけならいい。だけど積極的に自分の連絡先を教えたと聞いた時のは驚いたわ。

 モモちゃんは公平性を出すために、仕事を受け付けるときは必ず仲介役としてわたしややちよさんたちが間に入るように徹底していた。だからモモちゃんは自分から連絡先を教えることはなかったし、勝手に他人に自分の連絡先を教えることも固く禁止していた。少なからず神浜に影響力を持つ魔法少女と、モモちゃんが気に入った一部の子たちしか、モモちゃんは連絡先を教えようとしなかった。

 なのにもかかわらず、更紗帆奈ちゃんが起こした事件の時にモモちゃんは自分から連絡先を遊佐葉月ちゃんに教えていたらしいわ。事件が発生しているから緊急連絡として教えたらしいけど、これまでのモモちゃんなら絶対にしなかったことよ。でもモモちゃんは当たり前のように連絡先を教えたという。多分無意識のうちに他人と関わり合いたいと思っちゃったのね。

 

 仕事が減って、浅く広い関係でしか友達を作らず、数少ない親友しかいなかったモモちゃんにとって、『老化』という弱体化は致命的だった。飄々と振舞っていたけど、内心はきっと寂しくて仕方がなかったのでしょうね。かつて自分を必要としてくれていた子たちが沢山いたからこそ余計に。

 

 だから……遂にあの日(・・・)、モモちゃんは自分から完全中立を破ってしまった。

 

 どの組織にも属さないと宣言していたあのモモちゃんが『マギウスの翼』のリーダーになると連絡をくれたとき、わたしは特に驚かなかったわ。「ああ、やっぱりね」って逆に納得しちゃったもの。

 奇しくもあの日(・・・)は、帆奈ちゃんの監視が丁度終わった日。聞けば帆奈ちゃんはその日の内にモモちゃんの元から去っていったらしいわ。

 

「立派になった。私がいなくてももう大丈夫じゃ」

 

 なんてモモちゃんは喜んでいたけど……その後の笑顔がとても寂しそうだった。きっと帆奈ちゃんとの生活はとても楽しかったのでしょうね。だからこそ……その反動が来ちゃったのね。帆奈ちゃんに代わって『マギウスの翼』の子たちが自分を頼ってきてくれたことが嬉しかったんだと思うわ。

 だから……あっさりとモモちゃんは中立を破った。そしてそれが意味することは、もうそこまでモモちゃんの精神状態が不安定になってしまっているということだった。

 

 そして今日……そんな状態のモモちゃんをわたしが診ないといけない。だからわたしは憂鬱だった。わたしを助けてくれた大きな傭兵が、弱りきって小さくなってしまっているだなんて信じたくなかったんだから。

 

 それに、モモちゃんを精神的にここまで追い詰めてしまったの要因のひとつはわたしにある。だってモモちゃんの仕事がなくなったのは、わたしが意図して受け付けないようにしていたからだもの。

 モモちゃんを必要としていた子たちは確かにいた。でもわたしはその子たちを全員かりんちゃんの方に流した。理由はある。

 

 ソウルジェムを通して、ずっとモモちゃんの体を診てきたからわかった。わかってしまった。表に出ていないとはいえ、モモちゃんが魔法少女として戦う度に肉体にダメージが蓄積されていっていることに。

 モモちゃんが抱えている最凶にして最悪の爆弾は、肉体の老朽化。それを食い止めるためにあれこれ模索していたわたしにとって、その事実は許容できるものじゃなかった。

 ちなみにこのことはモモちゃんを含めて誰にも教えていない。教えられるわけがなかった。

 

 ただでさえ、モモちゃんは誰かに必要とされたくて精神が不安定になっているのに、そんなモモちゃんから戦いまで取り上げるなんてことはわたしにはできなかった。だからこのことは胸にしまって、わたしからモモちゃんに渡す仕事だけを制限することでモモちゃんを戦いから遠ざけていた。だけどそれで肉体的なダメージを抑えても、精神的にモモちゃんを弱らせてしまうのだから本当に皮肉としか言いようがない。

 

「いらっしゃ~い♪ 待っていたわよ〜、モモちゃ……っ」

 

 そんな荒れている内心を押し殺して、いつものように笑顔で迎えようと振り返ったわたしは、モモちゃんの姿を見て絶句した。

 

 心なしか、モモちゃんが小さく見えてしまった。元々小さかったけどさらに小さく、細くなってしまったかのような……ほんの一ヶ月前と比べて随分と痩せてしまっているように見えてしまった。

 そしてもうひとつ、気付いてしまったことがある。

 

「モモちゃん、それを取って見せてくれる?」

 

 モモちゃんの長袖の服の下にある、手の甲まで隠れているタイプの白いアームカバーをわたしは指摘した。

 寒い季節に入ってきた今、それを着けている人がいても特別おかしくはない。だけどわたしは、モモちゃんがそんなものを着けているところを一回も見たことがない。今年に入って着けるようになったと考えることもできるけど……なんとなく、なんとなくだけどそれを見た瞬間に鳥肌が立った。嫌な予感がした。

 

「やはりバレてしまうかの。全く参った。お主に隠し事は出来ぬな」

 

 諦めたように笑うモモちゃんは右手を使って左腕のアームカバーを引っ張る。

 正直その下は見たくない。でも見ないといけない。気付いてしまった以上は、そしてモモちゃんの診察をする義務があるわたしはそれを見ないといけない。

 覚悟を決めて……モモちゃんの左腕を見た。

 

「っ! ぁ……あ……。……っ。…………」

 

 叫びたくなった、気が狂いそうになった。目の前にある現実に頭が追い付かない。受け入れたくないし信じたくもない。でも……受け入れるしかない。

 

 モモちゃんの左腕の皮膚は張りが失って少し垂れ下がり……掌はしわくちゃになってしまっていた。この間まで綺麗で柔らかみを感じられた手が、まるで老人のような状態になってしまっていた。

 

「症状は左腕だけじゃし、二の腕はまだ平気なのじゃが参ってしまうのう」

 

 だけどまた諦めたように笑うモモちゃんを見てわたしの頭が一気に冷え込んでいき、ふつふつと怒りが沸いてきた。そしてその感情のまま、わたしはモモちゃんの両肩を掴む。

 どうして? ねぇ、どうしてこんな状況で笑っていられるの?

 

「なにを暢気なことを言っているのよ……。どうしてッ! こんなになるまで放っておいたのッ!?」

「仕方なかろう。まさかこんなに早く時が来てしまうとは思いもせんかったのじゃから。全くキュゥべえの言うことは本当に当てにならぬな。はっはっは」

「ふざけないでッ! 笑っている場合じゃないでしょうバカ! バカモモちゃん!」

 

 きっと笑って誤魔化そうとしていたんだと思う。心配かけないように気遣ってくれていたんだと思う。だけどそれはあまりにも悲しくて、ただただ空しい。

 もし笑って誤魔化せると本気で思っているのなら絶対に許せない。わたしのことを馬鹿にしているとしか考えられない。こっちは本気で心配しているというのに冗談じゃないわ。

 

「……すまん。悪かった。許してほしい」

 

 一拍置いて、モモちゃんが謝ってきた。

 少し俯いているから表情は分からない。けど、間違いなく笑ってはいない。偽りの……あの悲しすぎる笑顔はない。それどころか、ちょっとだけ早口になっていて必死な様子だった。少し震えているし、どこか怖がっているみたいな……。

 ……いけないわ。

 

「ごめんなさい、モモちゃん。強く言い過ぎちゃったわね」

「なぜみたまが謝るのじゃ……。悪いのは私じゃよ。本当に申し訳なかった。決してバカにしているわけじゃなかったのじゃ。じゃから……」

「もう怒っていないし、そんなことは分かりきっているわよ。それに、こんなことでわたしがモモちゃんを嫌いになるわけないじゃないの」

 

 肩を掴んでいた手を背中に回して抱きしめ、できるだけ声を柔らかくして答える。

 

 今のモモちゃんは非常にデリケートな状態。普通に仲が良い人相手には昔と同じように振舞えるけど、相手が親密であればあるほど嫌われることを恐れて弱くなってしまう。

 こんなことでわたしがモモちゃんを嫌うはずがないということはきっと分かってくれている。でも頭で分かっていても、どうしても不安になっちゃうんだと思うわ。

 

 さて……これまでの流れではっきりしたわね。

 

 来年のモモちゃんの誕生日なんてそんな悠長なことは言っていられない。きっと精神的にも肉体的にもモモちゃんの寿命はすぐそばまで迫ってきている。だけどわたしが知っている神浜の魔法少女たちの中に、モモちゃんを助けられるような魔法少女はいない。だったら……!

 

「落ち着いたかしら?」

「……ああ。すまん、取り乱してしもうた」

「いいのよ、そんなこと。……ねぇ、モモちゃん。モモちゃんは『マギウス』に協力しているのよね? 全ての魔法少女(・・・・・・・)を助けるために」

「……ああ、そうじゃ。残りの私の全てを懸けて、助けたいと思っておる」

「そう……」

 

 ねぇ、モモちゃん。

 わたしが言った『全ての魔法少女』の中に……モモちゃん自身は入っているの? きっと入っていないんでしょう? でもそんなのはわたしが許さないわ。

 

「わたし、決めたわ」

 

 『マギウス』がどんな方法で魔法少女たちを解放しようとしているのかはわからない。ただひとつわかっていることはある。

 それは、現状神浜で魔女化する心配がないということ。なぜならソウルジェムに溜まった穢れはドッペルなんていうモノに変わるから。

 リスクはあるのでしょうけど魔女になられるよりかはずっといい。そしてそのシステムがある限り、たとえモモちゃんの体が衰弱して戦えなくなってしまったとしても、とりあえず生きていくことはできる。だったら……それに賭けるしかない。

 

 モモちゃんの体は現状どうにもできない。だけど生命を維持できるのならまだ手はある。

 戦うことができなくなったとき魔女になる前に命を絶とうとしているモモちゃんだけど、魔女にならないのなら自殺する必要はない。解放されたのち、世界中を巡ってモモちゃんをどうにかできる魔法少女を探し当てる。幸いわたしには世界中を旅することができる魔法少女に当てがある。だから……。

 

「ねぇ、わたしにも協力させて」

「……バカを言うな。お主まで中立を傾けては――」

「わたしはモモちゃんに協力するの」

 

 『マギウス』に協力するわけじゃない。ただ利用するだけ。だからなにも問題はない。

 

「そうか……そうか。ならば、私も利用させてもらおうかのう」

「ええ」

 

 これからはモモちゃんにわたしが知り得た情報を流す。そしてなんとしてでも計画を成就させる。モモちゃんは全ての魔法少女を助けられる。わたしはモモちゃんを助けるための時間を稼げる。利害は一致している。

 そう考えたとき、ひとりの魔法少女の顔が頭に(よぎ)った。わたしよりもモモちゃんと付き合いが長い神浜最年長の魔法少女の顔が。

 

 悪いわね、やちよさん。どうやらわたしはあなたの味方ではなくなるわ。

 良くも悪くもまっすぐで責任感の強いあなたは、絶対にこのやり方は認めないでしょう? きっと『マギウス』がやろうとしていることを知ったら許さないに決まっているわ。

 だけどね、これしかないのよ。他にやり方があるのかもしれない、なんて優等生みたいなことはわたしには言えない。これしか、モモちゃんを助けられる可能性のある方法をわたしは知らないのだから。

 

「さてと……そろそろ来る頃かしら」

 

 そして今現在。10月の第二週の日曜日、モモちゃんの検診する日だ。

 さて、モモちゃんは一体どんなこと聞いてくるのかしらぁ。現在の神浜の情勢に加えて、最近は面白い子が神浜に出入りしているから、おしゃべりするネタ(・・・・・・・・・)はたくさんある。

 言っておくけどこれは決して情報漏洩しているわけじゃないわよ? ただ親友と世間話をするだけ。それだけだもの。しかもその親友が完全中立(・・・・)のモモちゃんなんだから何も問題はないわ。同じ中立同士(・・・・)情報を共有しないとね。中立の味方は中立。ねぇ、そうでしょう?

 

 この日(・・・)、完全中立が傾いた。

 

 

 

 

 

 

「また出ない、か」

 

 繋がらない携帯のコールを待っていて、あたし――更紗帆奈は溜息を吐いた。

 

 8月の終わりにあたしは晴れて自由の身になった。

 久しぶりに帰った自分ちを綺麗に掃除して、学校に復学して、それなりに友達作ってさ、魔法少女の仲間も増えていって、多分今、あたしは自分の人生で初めて普通の女の子の生活ってやつを楽しんでいると思うんだ。

 

 ここまで来るのに色々あったけどさ、はっきり言って今のあたしはとても幸せさ。とても充実している。この先の自分の運命……魔女になるってことも分かっているはずなのにさ、不思議と全然怖くないんだわ。不幸だなんて思わないんだわ。

 ただただつまらなくって毒にも薬にもなりやしなかったどうしようもねー人生を歩んできたからか、『今を生きている』そう思うだけで楽しくってしょうがない。

 

 この先の未来の心配なんて……そうだなぁ。苦手な教科のテストが近くなった時くらいか? まぁ、そんないい意味でしょーもねーことくらいしかここ最近心配したことないんだわあたし。

 

 そんな充実した生活を送り始めてからしばらくして。

 あたしはまた、あの家の前に戻ってきた。新西区のとあるマンションの一室、『星奈』と表札が書かれた部屋の前に。

 

 この部屋の主である星奈百恵ことセーナはあたしにとって……なんつーかなぁ。親みたいなもん? あたしの両親って揃いも揃って碌なやつらじゃなかったからさぁ、正直まともな親ってやつがどんなもんなのかなんて知りもしないんだけどさ。

 

 一方的な逆恨みをして、どうしようもなかったあたしを受け入れてくれて、色々世話を焼いてくれて、ただただ温かい空間を作ってくれた、ちみっこいけどとっても大きな存在。それがあたしにとってのセーナなんだよねぇ。

 ここに来た理由もなんとなく会いたくなったからだし、ここに来た時はどこか安心感のようなものを抱いたし……うん、やっぱ親だわ親。

 

 で、そんな大恩人のセーナん()に来たんだけど、生憎と留守だった。休日の昼間なんだからいるかなって思ったんだけどな。

 少し残念に思いつつ、夕方まで時間を潰して……そしてもう一回来てみたけど部屋の明かりが点いていなかった。そこであたしは嫌な予感がした。

 

 セーナは基本的に生活習慣がきっちりしている。同じ時間に寝て起きるし、毎日のルーティンもある程度一定だ。二ヶ月もあいつと同じ屋根の下にいたし、それ以前もストーカーみたいに様子を見に来ていたあたしだから、間違いなくいると確信していた時間に来てもセーナがいないことに違和感を抱いた。

 

 すぐに電話をした。

 今何をしているのか、どこにいるのか、色々聞きたいことはあったけど、それ以上にセーナの声が聞きたかったから。でも。一向に出る気配がなかった。スピーカーから発信中の呼出音が、規則正しく響くだけだった。

 

 一抹の不安を抱きつつ、その日は家に帰った。

 そして次の日、もう一回セーナの家に行ってみた。だけど結果は昨日と同じ。携帯も繋がらない。

 

 さらにそのまた次の日、学校帰りにセーナの家に向かった。電話もした。だけど、結果は変わらない。三日連続で、セーナは電話に出ず、家にも帰ってきていなかった。

 ……仕方ない、奥の手だ。

 

「……おっじゃましま~す」

 

 驚かせてやろうとこっそり作っておいた合鍵を使ってセーナん()に上がり込んだ。

 

 部屋の中は当然のように電気が点いちゃいないから真っ暗。暖房器具なんて動いちゃいないから肌寒いし、気味が悪いと感じる程に静まり返っていて当然人の気配もない。そこまで認識した時、チクリと胸が痛んだ。

 

 あたし、この家に二ヶ月住んでいたけど今日ほど寂しいと感じたことは一回もない。いつも温かくて明るかったはずのこの家は、今はすっかり冷え込んでしまっていた。

 

 悲しい気持ちになりつつも、とりあえず電気を点けてリビングに向かう。

 リビングはしっかりと片付けられていて特に散らかっていない。というか、片付けられすぎていてまるで生活感がない。掃除もまめにしていたはずなのに、テレビの上に埃がうっすらと載っかっている。

 冷蔵庫の中もあたしが最後に見たあの時と特に変わっていなかった。もしかしたら背が伸びるかもしれないと期待して好んで飲んでいた牛乳の消費期限が切れちまっている。

 

 これはもう、セーナがいなくなって三日四日の話じゃない。あたしが出ていって間もなくして、セーナもこの家から出ていったんだ。そして今日に至るまで一回も帰ってきていない。

 

「どこに行っちまったんだよ、セーナ……」

 

 ちょっといい素材でできていると自慢していたソファに力なく座り込んだ。

 

 なんにも言わずに、家すらもほっぽり投げてどっかに行っちまった、携帯にも出てくれないあたしの大切な人。きっとかつての瀬奈の時と同じ状態だったら間違いなく発狂していただろうね。でも今のあたしは至って冷静だった。そんなあたしにしてくれたのは他の誰でもない、セーナだった。

 

 ふと、あたしはここで生活していた時に時折見せていた暗い顔のセーナの顔を思い出す。

 いっつも笑っていたけどさ、たまに寂しそうな、なにかを諦めているような悲しい笑顔を浮かべることがあったんだ。

 その時は決まって、なにかの理由であたしがセーナの家から出ていこうとしている時だったっけかな。買い物だったり遊びに行くときだったり、一瞬だけだったけど顔を曇らせていたっけ。

 

「……ああ、そうか」

 

 そこまで考えて、あたしは理解した。納得した。

 

 きっとセーナは……どこか賑やかなところに行ってしまったんだろうと。このちょっと広すぎる家よりも楽しくて、寂しさを紛らわすことができる、そんなところに。

 

 親しい人と一緒にいるのか、はたまた仕事に打ち込んでいるのか、どっちかは分からないけど……でもきっと仕事しているんじゃないかなってあたしは思う。

 セーナは神浜のほとんどの魔法少女から頼られているし、電話に出ないのも仕事が忙しくて出る余裕がないと考えれば一応納得はできる。もしかしたら、以前からちらほらと見かけていたあの怪しい連中の……? まぁ、どこでもいいか。

 ただ願わくば、そこに少しでも気を許せる人がいてくれたらいいなって思う。どうせなら仕事は楽しくやってほしいって、そう思うから。

 

 じゃあ、そんなセーナに対して今のあたしができることは……。

 

「……よし、決めた」

 

 ソファに(うず)めていた体を起き上がらせたあたしはすぐに家に帰って荷物を纏め、それを持って翌日セーナの家に戻ってきた。

 

 そして……まずは掃除を始めた。もう何日も掃除していないせいであちこちにある埃を全部叩いて掃除機をかけて拭き取った。

 冷蔵庫にあるものを仕分けてあたしの家から持ってきた食べ物を突っ込む。あたしが使っていた部屋もそのままだったから、そこにあたしの荷物を置いて……。

 

 それから部屋に飾ってあった少し萎れてしまっている花たちに水をやって、その隣にあたしが春名このみからもらったエゾギクの鉢植えを置く。これで少しは寂しくなくなったっしょ。

 

「……ずっと、ここで待ってるからさ。いつでもいい。だけどできるなら、ちょっとでも早く帰ってきてくれよな……セーナ」

 

 あとは、ここの家主を待つだけだ。

 仕事が終わったら、セーナはきっとこの家に帰ってくる。その時にあたしが温かく迎え入れよう。かつてセーナが、あたしにしてくれたみたいにさ。

 

 セーナはこの寂しい家のことがあまり好きじゃないかもしれない。けど、あたしにとってもはやこの家は実家のようなものなんだ。大好きな人が住んでいる大好きな家なんだ。

 

 引っ越しが一段落して、ベランダに出て星たちが輝く雲一つない夜空を眺める。団地の屋上から見る夜景も好きだったけどさ、ここから見る満天の夜空も同じくらい好きなんだよね。

 

 だから……あたしはこの家で待とう。待ち続けよう。大好きなこの家で。仕事が終わってきっと疲れて帰ってくるセーナを癒してあげよう、労ってあげよう。寂しさなんて感じさせないような家をあたしが作り上げよう。

 

 それが今のあたしに出来る、セーナへの恩返しなんだから、さ。

 

 

 

 

 

 

 9月に入って夏休みが明けた初日の大学。

 私こと七海やちよは、キャンパス内のカフェでガイダンスのしおりの内容に目を通していた。しおりには色々と書いてあるけど、一番重要なのは曜日ごとに受けることができる授業の日程表でしょう。

 

 必修科目はともかく、好きな授業を好きなだけ選ぶことができる大学の仕組みが私は気に入っていた。

 興味のあることを知ることができるから勉強に精が出るし、試しに受けてみた授業から新しい発見や学びを見つけることができるから。前期は堅実に単位を取るために必要最低限の授業しかとらなかったけど、後期は少しだけ欲張ってみようかなんて思う。

 

 さて……時刻は10時を回った。

 私は携帯電話を取り出す。学部は違うけど同じ大学でちょくちょく同じ授業を受けて、一緒に勉強をしていた私の親友……星奈百恵に電話をするために。

 

 前期も自由選択の授業をふたりであーだこーだ言い合いながら決めたし、後期も色々と話し合ってそれぞれ受ける授業を決めようと思った。

 一緒の授業を受けることになったら嬉しいし、違う授業を受けることになったら、その感想を基に今後の授業選択の参考にすればいい。教科書の貸し借りができれば経費を抑えることができるし、いいことしかない。加えて私は、最近の神浜に起こっている問題について話し合いをしたいと思っていた。

 

 だから私は百恵に連絡をかけた。10時を回っていれば自由時間でしょうし、大丈夫だと思ったから。

 でも……百恵は電話に出なかった。

 

 この時は少し残念に思うだけだった。少し時間が経ってお昼時、もう一回私は百恵に電話をした。だけどその時も、電話に出てくれなかった。そして……おかしいと、違和感を抱き始めた。

 

 百恵が電話に出ないことは意外とある。

 仕事や立場、そして日常生活で多忙な身の百恵は、電話に出られないことがちょくちょくあるのよ。といっても、その後に折り返しの電話をくれたりメールをくれたりとフォローはしっかりする子だった。

 だけど、今回はそうじゃない。折り返しの電話もメールもない。まるで私からの連絡を無視しているみたいだった。

 

「まさか、ね」

 

 無視するなんてとんでもない。百恵はそんな子じゃない。きっと手が離せない状況にあって、連絡を寄越す余裕がないだけだ。そう思って今日はもう、百恵に電話することをやめた。

 ……結局この日、百恵からの折り返しの連絡はなかった。

 

 翌日の朝、もう一度電話をしてみた。だけど百恵は電話に出ない。

 この時間で電話に出ないのは流石におかしすぎる。今のガイダンス期間中は朝からしっかり来ないと受けたい授業が受けられなくなる恐れがあるのだから。

 しかも今は、仮に百恵がまだ家にいたとしても少し余裕を持って大学に来れる時間帯。真面目な性格の百恵に至って、後期開始早々寝坊するなんて考えられない。

 だったらどうして……電話に出てくれないの?

 

 嫌な予感がした私は学生課に足を運ぶ。そしてそこで百恵の所属している学部に問い合わせてみた。すると……衝撃の回答が返ってきた。

 後期に入って、大学を辞めてしまった、と。

 

「……ありえない」

 

 呆然としながら学生課から出てきた私の第一声がその五文字だった。

 

 大学を辞める……のは、百歩譲っていい。弱体化の影響で老化が進んでしまっている百恵にとって、大学という環境が合わないのかもしれないとは前々から感じていたことだったから。でも、私になにも言わずに辞めた、ということは認められなかった。

 

 あの子と出会ってもう四年の付き合いだけど、私は百恵と親友と呼べる間柄になっていると思っていた。それなのに……百恵は私になにも相談もせずに大学を辞めてしまった。そして私から距離を置いているかのように、電話にも出てくれない。

 

 嫌な予感は膨らんでいく。

 

 大学のことなんてどうでも良くなった私は急いで百恵の家に向かった。だけど……百恵が出てくることはなかった。だから次は百恵が行きそうなところを片っ端から当たった。

 うちの大学は始業が少し早い代わりに次の休みが五日間の大型連休になっている。だから神浜の他の学校はまだ夏休み。つまり魔法少女の知り合いはまだ、昼過ぎでも町中にいる。

 

 高校を卒業してから百恵が頻繁に通っていた水徳商店街に向かった。でも、どこを探してもいないし、知り合いに聞いても最近は見ないと口を揃える。

 百恵が尊敬する料理人がいる北養区のレストランにも行った。でもその子も百恵を見ていない。料理教室があるから誘おうとしているのに電話に出てくれないと困っていたわね。

 一応鶴乃の実家である万々歳にも行ってみた。今でも百恵の手解きを度々受けている鶴乃なら知っているかもしれないと思ったから。でもやっぱり、結果は空振りだった。

 

 あと探していないところは……もうひとつしかない。

 

「いらっしゃ~い♪ あら、どうしたのぉやちよさん。そんなに怖い顔しちゃって」

 

 調整屋の店主の八雲みたまはいつもと変わらない態度で私を迎える。

 どうして私が来たのか本当にわからない、と言いたげな表情だけどどこか白々しい。

 ……これは一筋縄ではいかなさそうね。

 

「ねぇ、真面目な話だから(とぼ)けないで答えてほしいんだけど……いいかしら?」

「……なにかしらぁ?」

 

 少し棘を含ませた私の言葉を聞いて、みたまの顔つきが変わった。やっぱり。みたまはなにかを隠している。そしてそこに必ず百恵がいる。

 

「単刀直入に聞くわ。百恵がどこに行ったのか、知らない?」

「さぁ、知らないわよ」

 

 ストレートかつ百恵が行方不明だという情報を織り交ぜた私の質問に、みたまは目を吊り上げて否定した。……絶対に嘘だ。

 

 みたまは百恵のことを慕っている。そして今、百恵は精神的にかなり危険な状態にある。そんな状況下で、みたまが百恵が行方不明なことを知って冷静でいられるはずがない。ましてや、今みたいに素っ気なく返すなんてありえない。

 

「嘘を言わないでちょうだい」

「あら、決めつけは良くないわぁ。それに……仮にわたしがモモちゃんの所在を知っているとして、あなたに教える必要はあるのかしら?」

「神浜の大物魔法少女である百恵が失踪しているのよ。一応西の顔である私は、事情を知る権利はあると思うわ」

 

 極めて事務的、しかしながら正論でもある理屈を突き付けてみる。だけどみたまはどこ吹く風だった。

 

「大物魔法少女が失踪したから、ねぇ? でもそれ、モモちゃんに限った話じゃないでしょう?」

「…………」

 

 痛いところを突かれた。

 そう、百恵の他にももうひとり、神浜の大物魔法少女がすでに失踪している。

 

 梓みふゆ。

 六年間、私とチームを組んで共に西の魔法少女を率いていたもうひとりの親友が、一年前の夏――魔法少女の真実を知って以降、姿を晦ませている。

 

 つまりみたまはこう言いたいのだ。みふゆの時は騒がなかったのに、なんで百恵の時ではこんなに騒ぐのか、と。

 

「……みふゆの時だって騒ぎはしたのよ。でも結局見つからないまま……」

「そうだったの知らなかったわ。こうしてわたしのところにまで殴り込みに来てくれなかったから。それに騒いだ割には大して取り乱していなかったみたいじゃない」

「それは……」

 

 それは他でもない、百恵がいてくれたからなのよ。

 

 自分から距離を置いたとはいえ、仲が良かった人たちが離れていって心が痛まないわけがないじゃない。でもそれでも潰れなかったのは……近すぎず、遠すぎない絶妙な立ち位置をキープしてくれる親友がいたから。そしてその親友こそ、百恵だったのよ。

 それに……。

 

「少し時間を置いたら戻ってくる、そう思ったからよ。それにチームは解散したから、わざわざ顔を合わす必要もなくなったし」

「モモちゃんだって、あなたとチームを組んでいるわけじゃないんだから毎日顔を合わせる必要はないでしょう? それに不思議なんだけど、どうしてモモちゃんは時間を置いても戻ってこないって決めつけているの?」

「大学を辞めているのよ!?」

「そう。それは初耳だけどそれがなに? 大学を辞めたからって永遠に会えなくなるわけじゃないじゃないの」

 

 ああ言えばこう言う。しかもほぼ全面的にわかりやすく毒を含ませて。でもみたまの言うことは一理あるから詰め切れない。

 

「ひとつ言っておくわ。わたしはあくまで調整屋。顧客情報はきっちり管理する必要があるの。だからいくらやちよさんでも、顧客の情報を素直に明け渡すことはできないわ」

「……そう」

 

 これはもう、駄目ね。この状態に入ったみたまはなにをどうしても絶対に口を開くことはない。いつにも増して攻撃的になっているし、これ以上(・・・・)は百恵について教えてくれないでしょう。本格的にみたまが機嫌を悪くする前に引くことにしましょう。

 

「わかったわ、邪魔したわね」

「……せっかくだし、調整していかない? お代はいらないわ」

「そうね。でも駄賃は払うわ。なんなら奮発してあげるわよ。情報料も込みでね(・・・・・・・・)

「そう……」

 

 さっきまでの()慳貪(けんどん)な態度はどこへやら、いつもの読めない笑顔に戻ったみたまはクスリと笑う。

 

 みたまは百恵の居場所については教えてはくれなかった。だけど全てを隠す気はなかった。明らかに嘘を吐いていることがわかる態度を取ったのがその証拠。

 みたまが本気で百恵の全てを隠そうとするなら、きっと取り乱すような演技をして有耶無耶にしようとするはず。本当なのか嘘なのかが判断できなければもうお終いなのだから。だけど、みたまはそれをしなかった。そのおかげで……ひとつはっきりしたことがある。

 

 間違いなく百恵は、みたまの目が届くところにいるということ。つまり……百恵は無事だということだった。

 なにをやっているのかはわからないけど、百恵の安否が確認できただけでも心が軽くなった。

 

 今の百恵は非常に危険な状態。

 老化がどれくらい進んでいるのかはわからないけど、少しでも目を離したらどこかに行ってしまったきり帰ってこなさそうな気がして怖いのよ。

 もし目が届かないところで弱り切ってしまっていたら? 今の百恵の体を治す手段を模索している最中に、肝心の百恵の状態がわからなくなってしまったらお終いだ。

 でも……悔しいことに一番百恵のことを知っているみたまがしっかりと管理してくれているのなら安心できる。ただ心が軽くなったとはいえ、ずっと胸の中に抱いている嫌な予感は拭うことはできない。

 調整を終えた私は、今後のことについて考える。

 

 最近の神浜はどこかおかしい。

 

 変な噂話が横行しているし、その噂話に関連した怪奇現象が各地で起こっているという話が私の耳に入って来ている。

 もし、それが真実で、魔女が関わっているなら見過ごすことはできない。これは本格的に調べる必要がありそうね。

 

 加えて魔女の数も例年に比べて増加傾向にある。

 まるでなにかに吸い寄せられているかのように、数多くの魔女が神浜に蔓延っている。しかも揃いも揃ってかなり強い。

 低く見積もっても中堅レベル、使い魔から成長したての魔女なんか比ではなく、弱い魔法少女では単騎で倒すことが困難を極めるような魔女が跋扈(ばっこ)しているのだ。

 

 弱い魔法少女が生き残りにくい環境になっている今のこの神浜には、星奈百恵(神浜最強)という切り札はない。相談に乗ってほしかったけど、どこにいるかわからない以上どうしようもない。だからひとりで考えなければいけない。

 

 なぜかは知らないけど最近キュゥべえが神浜のどこにも現れないおかげで新しい魔法少女が生まれることはない。……代わりに何か知らないけど、小さいキュゥべえは見かけたけど。

 そいつが異変に関わっていると感じた私は追いかけてはいるのだけれど、一向に捕まえられないのよね。基本出てこないし、見つけてもすぐに逃げちゃうし。

 

 ……話が逸れたわね。

 

 とにかく普通のキュゥべえがいない以上、神浜で魔法少女が誕生することはない。かりんもいるし、今は百恵のおかげで独り立ちしている子も多いから、神浜市内の魔法少女はなんとかなる。

 だけど外から来た魔法少女は話が別。

 もしそんなに強くない魔法少女が神浜でばったり魔女と遭遇してしまったら、最悪死んでしまう可能性がある。各地を回る流浪の魔法少女だって、この世の中に存在している。

 

 本当ならそこまで私がケアする必要はない。でも、神浜で余計な血が流れることを黙って見過ごせるほど冷徹な人間にはなれない。

 もし見かけない魔法少女がいて、その子が苦戦しているようなら力尽くでも追い出そう。それがその子のためだし、それでも言うことを聞かないで戦死するならそれはもはや自業自得。私の知ったことではない。

 

「……やることが多すぎるわね」

 

 ぼそっと愚痴をこぼした。

 こんな時に百恵がいてくれたらどんなに楽だったか。本当に、どこに行っちゃったのよ百恵……。親友がいないという現実を再認識して、また少し気が沈んだ。

 

 そして……一ヶ月が経った。

 10月の半ばに入っても百恵は姿を消したまま。怪しげな噂話が集まるもののまだまだ全然情報が足りない。でも、怪奇現象の報告例は増えていく一方。魔女もどんどん増えていっているし、どうなっているのよもう……。

 

 と、そんな憂鬱な気分になっている時、あるひとりの女の子が視界に入った。

 

 桃色の髪の毛の中学生くらいの子。手元を見ながら……魔女のいる方へと歩いて行っている。ということは魔法少女。

 

 魔女は先に見つけた者勝ち、それが神浜のルール。だから別にあの子が探している魔女を横取りする気なんてない。

 

 だけど……あの子、見ない子ね。もしかしたら外から来た子? だったら、見極める必要がある。

 

 まるで待ち受けていたかのようにその子を取り込んだ結界に私もこっそりと侵入して戦いを見守る。そして……ああ、これは駄目だと確信した。

 大量にいるとはいえ、使い魔ごときに苦戦しているようではこの神浜で生きてはいけない。頑張ってはいるけど、戦い方が未熟すぎる。

 

「あっ……ゥアアッ!!」

 

 ああ、言わんこっちゃない。

 こんなに使い魔がいっぱいいるときにご丁寧に一匹ずつ相手しているからこうなる。……頃合いね。

 

 隠れるのをやめた私は周囲の使い魔を一掃して、攻撃を受けて気を失ったその子を抱えて結界から抜け出した。

 

「ここは、あなたが居ていい町じゃないわ」

 

 どうせ聞こえていないでしょうけど敢えて口に出した。全く、私もお人好しね。

 とにかくこのまま市外の適当な公園にでも寝かせておきましょう。それでもう神浜に近づかないことを願いましょう。

 

 これが私と、桃色髪の少女……環いろはとのファーストコンタクトだった。

 

 

 

 

 

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