マギレコRTA ワルプルギス撃破ルート脳筋傭兵チャート 作:スパークリング
「……以上よ。これが、星奈百恵の秘密よ」
そう、わたしは締めくくった。
隣に立っているみふゆさんの『マギウス』と『魔法少女の真実』の話の後。
モモちゃんが『マギウス』の手に堕ちてしまった理由の補足説明として、わたしは話をしてしまった。
モモちゃんが急激な老化という、自らの魔法による副作用に蝕まれ弱体化していること。
それに伴って魔法少女として戦う度に症状が悪化していくこと。
そして、その寿命がもう長くないことを。
本当ならまだまだ話していないことは山のようにある。
でもここから先は、モモちゃんが抱えているもうひとつの爆弾。
モモちゃんの過去。
この神浜に来るまでにモモちゃんがなにをやっていたのか、どうして魔法少女になったのか、そしてどうしてあんな願い事をしたのか。その根幹に関わる話。
この話をわたしの口から話すことだけは絶対にできない。
少し覚悟しておくことを推奨するなんてことを言っていたけどとんでもない。モモちゃんの言う覚悟の意味をわたしは履き違えていた。
それくらいの、モモちゃんにとって禁忌に等しいことを、わたしは初めてモモちゃんを調整した時に知ってしまったのよ。
「……そんな、百恵さんが……」
わたしの話を聞き終えてがくりと崩れたのは、胡桃まなかちゃんだった。
彼女はモモちゃんに助けられたことはない。
だけど、仕事を抜きにしてモモちゃんがプライベートで親しくしていた数少ない魔法少女のひとり。
モモちゃんは先生としてまなかちゃんを尊敬していたけど、まなかちゃんもまたモモちゃんを尊敬して恩も感じていたはずよ。
モモちゃんを初めて料理教室に連れて行ったあの日から、モモちゃんはことあるごとにまなかちゃんのお店の宣伝をしていて、まなかちゃんはその恩恵を受けていたのだから。
モモちゃんと料理教室を盛り上げていくうちに、もしかしたらまなかちゃんにとってモモちゃんは、一緒に料理を楽しんでくれる友達のような存在にもなっていたのかもしれない。
先に伝えられた魔法少女の真実と併せて、そんな親しい人に降りかかった不幸にショックを受けていた。
「なるほど……。星奈が『マギウスの翼』に入ったと聞いた時は耳を疑ったが……」
「そういう事情があったのか……」
「まさかそこまで弱っていてしまったとは……」
ずっと前からモモちゃんの身に起きていた異変のこと自体は知っていた十七夜、ひなの、ななかちゃんの三人はまだいい。
一番深刻なのは……。
「先生……それに、アリナ先輩まで……」
いくら強いと言っても、かりんちゃんはまだ中学二年生。
そんな彼女にとっての心の拠り所でもあるふたりの先輩が、揃ってこんな事件を引き起こしている組織に関わっていて、しかもアリナは主犯格でモモちゃんは捕らえられて危険な状態だと知ってしまったらこうもなるでしょう。
今はそっとしておいて、落ち着いたところでフォローを入れるしかないわね。
「ふう……とりあえず、百恵さんのお話は後でたっぷりと聞かせていただきます。今は『マギウス』と魔法少女の解放についてのお話をしましょうか」
今は静かだけど少しずつ波が広がり、混乱が始まろうとしている調整屋。
そんな中で、平静を保てているななかちゃんが少し前に出てやちよさんの方を向いた。
「『マギウス』のやり方に問題があるということは充分に伝わりました。ですが『マギウス』の掲げる解放は、我々魔法少女にとってはそれこそ希望のようなもの。それを否定する以上は、なにか対案があってのことですか?」
「……それは、解放以外の方法で、私たちに抱えている問題を解決する術があるのか……ということかしら?」
「はい」
おそらく、この場にいるすべての魔法少女を代表して聞いたのでしょう。
魔法少女が魔女になる。
知りたくもなかったはずの真実を知って、悲しんでいる魔法少女たちにとって、魔女にならない世界を作ろうとする『マギウス』は希望のように見えたことでしょう。事実、それに縋って大勢の魔法少女たちが『マギウスの翼』に下った。
モモちゃんだって、みんなを助けるためにはこれしかないと判断したから『マギウス』のやり方を一度は飲み込んで受け入れた。
そんな『マギウス』たちを拒絶したからにはそれ以上のいい案はあるのかと、実に第三者視点で客観的な質問をななかちゃんはやちよさんにぶつけた。
「結論から言うと、無いわ。すべてが終わってから、考えるわ」
その答えを聞いたななかちゃんは、深く溜息を吐いて……目を吊り上げた。
「そうですか……。だとしたら、あなたたちがやっていたことは軽率だったのではないですか?」
「軽率ってどういうことかしら?」
「言ってしまえば、今こうして神浜で異変が起こっているのはあなたたちが原因でしょう? 変に関わった結果、このような凶行手段を使わせるところまであなたたちは『マギウス』を刺激してしまった」
「見て見ぬふりをすればよかった、と言いたいのかしら?」
「そうです」
きっぱりとななかちゃんは言い切った。
『マギウス』の邪魔をすべきではなかったと。
「そちらの梓みふゆさんは、百恵さんが『マギウスの翼』のリーダーになってからはしっかりと統率が取れていたとおっしゃっていました。
そのウワサとやらを使って人々を危険な目に遭わせていたとしても、すぐに助けられるように管理して、誰も犠牲が出ないように極めて穏便に計画が進んでいたはずなのに、あなたたちが介入したせいで全てが狂ってしまった。
真っ向から全否定するのではなく、多少譲歩してでも相手の言い分を聞き入れていればこんな事態が起こることはなく、百恵さんも危険な目に遭うことはなかった。
互いにメリットのある話にすることができたのではないでしょうか?」
鋭すぎるななかちゃんの正論にやちよさんが押し黙った。
これはずっと前にわたしがぶつけた言葉と本質は同じ。違うのはその対象がモモちゃんなのか、すべての魔法少女なのかだけ。
緊張が調整屋を支配する。
現状皆から見て、やちよさんたちは『マギウス』の解放に対する具体的な策もなしに喧嘩を売り続けた、この事件のもうひとつの元凶のようなもの。
なにも知らなかった子たちにとっては、二重の意味で余計なことをしてくれているように見える。
「とはいえ、です」
だけど、そんな空気を作り出したななかちゃんは一息ついてさらに続けた。
「それはあくまで表面上の、裏を知らない人間が出す意見。
問題の裏側を見てみますと、結果的に『マギウス』を否定したことは間違いではなかったのかもしれません。
人間、追い詰められた時にその本性を現すと言いますが、それがこのような暴挙だとするなら、この計画は根本的な部分に、人として致命的な問題があった可能性が極めて高いです。
事実、『マギウス』たちの言い分は自分の目的のついでに魔法少女を解放する、という風にも聞き取れました。
『魔法少女の解放』と銘打っているものの、その本質は魔法少女である我々の弱みに付け込んで巧みに利用し、自分たちの欲求を満たそうとしている。
そんな下心を感じ取れます。
もし善意百パーセントの計画で、やむを得ずに無関係の人達を巻き込んでしまっている自覚と罪悪感が少しでもあるのなら、仲間を洗脳してこんな事件を起こしたり、ワルプルギスの夜を神浜に呼ぶなんていうことをする必要はそもそもありません。
もっと堂々と、自分たちは正義で向こうは敵だと我々の前で糾弾してしまえば良かったんです。
その広告塔として最適だったはずの百恵さんもいたのにも関わらず、それをしなかったということは、全てを知られると何か都合の悪いことがあったからなのでしょう」
……なるほど。
言っちゃえばこれは……茶番ね。
「よって、私としましては、『マギウス』たちは道を最初から踏み外していたと結論付けます。
七海やちよさんを支持し、百恵さんを救出し、『マギウス』の計画を止めるということを宣言いたしましょう。私の大切なものを、ワルプルギスの夜によって失うのは御免被りますから。
他の皆さんはいかがですか?」
最初からここに着地するための芝居だった、ということね。
やちよさんと打ち合わせをしたのか、それともななかちゃんが機転を利かせたのかはわからないけど、その効果は覿面だった。
「ななかが言うなら、私はそれに従うだけヨ」
「はい……! もう私は家を失いたくなんかないです!」
「ボクも戦うよ。いくらなんでも……このやり方はおかしいからね!」
まずは彼女のチーム全員が声を上げる。
「……すべて終わってから考える、というところがどうしても引っかかるのだけど、それに関してあなたはどう納得したのかしら?」
「こうして全員が一堂に会した今が良い機会です。バラバラで考えるよりも、魔法少女全体の問題として我々はこの問題について重く受け止め、そして考えるべきだと思います。今は時間がないので先送りにしますが、いつかは解決できる日が来るでしょう。『マギウス』に見つけられて、我々に見つけられない道理はないのですから」
次に声を上げたこのはちゃんは、ななかちゃんの答えを聞いて軽く笑う。
「それはまた随分と綺麗な理想論ね。でも……嫌いじゃないわ。ただ問題を先送りにするわけじゃなくて、それを目標にして
「勿論だよこのは。アタシとしても異論はないね」
「つつじの家がなくなっちゃうなんて、それにあのおばあちゃんに酷いことをしているなんて、あちし絶対許せないもん!」
「というわけで、私たちも七海やちよさんを支持するわ」
ななかちゃんに続いて、このはちゃんのチームも『マギウス』に立ち向かうことを表明。
さらに。
「私たちも戦います!」
「実際に見ちゃったしね! その『マギウス』がやろうとしていたことをさ!」
「あんな酷いやり方は……絶対にないです……!」
れいらちゃん、みとちゃん、せいかちゃんのチームまで加わった。
これで調整屋の防衛戦で大活躍した三つのチームが全てやちよさんたちの味方に付いた。
完全に流れが変わる。
「そうだよみんな! こんなやり方はないよ! あんまりだよ!」
「あたしもそう思うね! あたしたちの先輩も洗脳されてるんだ! 『マギウス』は信用できないよ!」
「チッ、やっぱ操られちまっていたのかよ……。益々気に入らねえな!」
その声を皮切りに、この場にいる全員の方針が決まった。
こうなるように誘導したななかちゃんはかなりのやり手ね。モモちゃんが気に入るだけのことはあるわ。
これでみんなの心がひとつになった。
「みんな……ありがとう。じゃあ早速なのだけど、役割分担をしましょうか」
そしてそのタイミングを見計らって、やちよさんが動く。
今、この場の総責任者はやちよさん。チームみかづき荘としてのリーダーはいろはちゃんだけど、それだとほとんどが西の魔法少女であるみんなは納得しないでしょう。
みんなにとってのリーダーは、ずっとやちよさんだったのだから。
「今からふたつのチームに分かれてもらうわ」
ひとつは、ヘリポートで待機している洗脳された巴マミちゃんと、彼女が率いている羽根たちを相手にするチーム。
そしてもうひとつが『マギウス』の本拠地であるホテルフェントホープに向かい、『マギウス』の計画を阻止すると同時にモモちゃんの救出するチーム。
どちらを選んだとしてもかなりの危険を伴う。だけど、自分の守るべきものを守るために立ち上がったこの子たちはその程度じゃあ怯まない。
最初に作戦から降りる子がいないかをやちよさんがみんなに聞いていたけど、結果は全員参加する意志あり。誰も名乗り出ないから名乗り出ないわけではなくて、みんなのその目には確かな力が宿っていた。
「私たちはヘリポートに行きたいです!」
「はい、巴さんは私たちの手で助け出します……!」
「絶対に連れ戻すんだから!」
まず先に挙手をしたのは見滝原から来たまどかちゃんたちのチーム。
マミちゃんは彼女たちの大切な先輩。だからそちらのチームを希望するのは当然ね。
「アタシも同行させてもらうよ。つまんねぇ洗脳なんかにかけられやがって……ぶん殴ってでも目を覚まさせてやる」
「またまた~。杏子だってマミさんのことが好きなくせに」
「うるせえ! んなもんじゃねえよ! ただアタシが知ってるマミじゃねえのが気に入らねえだけだ!」
「あれ? でも杏子ちゃんってマミさんの考えを否定してたんじゃ……」
「鹿目さん、しっ!」
「テメエら……!」
そこに風見野の一匹狼である佐倉杏子ちゃんが加わった。
とりあえず、この四人はヘリポートで確定した。
……ふぅ。よし。
「わたしは『マギウス』の本拠地に行くわよぉ」
「え? みたま、あなた戦えないんじゃ……」
「一応戦う術はあるのよ。攻撃が苦手なだけでね。それにねやちよさん、わたし動きだけには自信があるのよぉ?」
調整屋さんを広めるために、何度もモモちゃんと一緒に魔女と戦ってはいる。
といっても魔女を倒せたことは一回もないんだけどね。でもね、攻撃を喰らったことも一回もないのよ。
わたしはモモちゃんに、陽動係としての動きを仕込まれている。
戦うことができないわたしが唯一、戦闘で役に立つ役割ということでみっちりと訓練を受けた結果、逃げることと敵を引き寄せることに関しては一級品とモモちゃんに言われるくらいの実力は手に入れられた。だから足手纏いになるつもりもない。
わたしにしかできない攻撃方法だってある。
かなり使い勝手が悪いけど、それはきっと今回の戦いで役に立てる。
それになにより……。
「もう見守るだけなのはうんざりなのよ。いい加減、わたしも自分から動いてモモちゃんに恩返しをしたいの。だからわたしも戦うわ」
「……そう。それなら、力を貸してちょうだい」
「ええ、勿論よ」
この後もどんどんと、それぞれの持ち場を振り分けられていく。
「我々のチームはフェントホープに向かわせていただきます」
「私たちも同行するわ。百恵さんを助けたいもの」
「あー……それじゃあアタシたちはヘリポートに向かうか。ウワサについて知っているやつがいないと大変だしな」
ななかちゃんとこのはちゃんのチームが『マギウス』の本拠地に、ももこのチームと単独で動きがちな子たちがヘリポートに向かうような流れになっている。
「アタシはヘリポートに行こう。本拠地の方に行った方がいいのは承知だが、それでもひとりくらいは年長者がいないとダメだろ?」
「ここぞとばかりに先輩アピールするよね、みゃーこ先輩! でもそこで格好つけていても誰にも見えてないよ?」
「駄目だよエミリー! みゃこ先輩、ちっさいのに必死に背伸びして頑張っているんだから茶々入れないであげようよ!」
「り、梨花ちゃん……!」
「おまえらあぁーっ!」
ということでひなのは自分を慕う後輩たちを連れてヘリポートに向かうことが決まった。
そして、この後が問題だった。
「ええっと、私ってどっちに行けばいいのかな?」
困った様子でおろおろしているのは相野みとちゃんだった。
彼女の固有魔法は、魔法少女に憑依したウワサに対して非常に高い効果を持っている。彼女こそ、この作戦を成功させるためのキーパーソンと言っても過言じゃないわ。
そんなウワサに憑依された魔法少女は、ヘリポートのマミちゃん、フェントホープのモモちゃんのふたりで、別々に行動している上にどちらも非常に強力な魔法少女。
「相野さんはどちらに行きたいのかしら?」
「えっと……出来れば百恵さんを助けに行きたいです。百恵さんには恩がありますから。でも私、その……あんまり強くないですから……」
なるほどね。
確かにモモちゃんを相手にするのは、みとちゃんにとって荷が重すぎる。だから決めきることができなかったのね。
「……それは、ちょっと困ったわね」
「ああ。できれば相野君にはフェントホープに向かってほしかったのだが……」
「でもこればっかりはしょうがないわよねぇ……」
モモちゃんが本当にウワサに取り憑かれてしまっているのなら、みとちゃんの魔法は必須。でも肝心のみとちゃんを守りながら相手できるほどモモちゃんは甘くない。
本人の力量が足りていないのなら無理に連れて行くわけにはいかない。モモちゃんを相手するくらいならまだマミちゃんを相手にする方がマシだもの。
「ならその魔法、あたしに託してくれない?」
「え?」
さてどうしたものかと頭を悩ませているなか、みとちゃんに声をかけたのは帆奈ちゃんだった。
「あたしの魔法は『上書き』の魔法なのさ。だからあんたの魔法を見せてくれたら、あたしはその魔法を使うことができる。扱い方はあんたよりも劣るだろうけどさ、あんたの代わりくらいにはなれるっしょ?」
そうだったわ。
帆奈ちゃんと言えば『暗示』の魔法や、モモちゃんの魔法を思い浮かべるけど、その正体は『上書き』の魔法。だから帆奈ちゃんがいれば、ひとつだけとはいえ同じ魔法を複製できる。
そして、帆奈ちゃんは元々相当の実力者だったのに加え、今の今までモモちゃんの魔法を使っていたから身体能力がさらに上がっている。
モモちゃんに対する切り札として、これほど適切な魔法少女はいない。
「わかった! 私の魔法、更紗さんに託すね! 魔法を使うからとりあえず私と手を繋いでくれるかな?」
「それだけでいいのか?」
「うん、それだけだよ! これが私の魔法の発動条件だからね!」
手を繋いだふたりはゆっくりと瞳を閉じる。
そして次に目を開いた時には、帆奈ちゃんが纏っていたかつてのモモちゃんと同じような静かなオーラが消えた。
「なるほどね、大体わかった。その魔法、受け取ったよ」
「百恵さんをお願いね。絶対に助けてきてよ!」
「……あったりまえだ。あたしだって、まだあいつに何にも返しちゃいねーんだ。こんなつまんねーくたばり方をされてたまるかよ」
これによって帆奈ちゃんはホテルフェントホープに、みとちゃんを始めとする三人組はヘリポートに向かうことになった。
「……わたしも、『マギウス』の所に行くの」
「かりんちゃん、あんまり無理しなくても……」
「先生や先輩なら、泣いているなら他になにかしろって間違いなく言ってくるの。それに……わたしだって、先生と先輩に一言くらい文句を言ってやりたいの! だから、わたしも行くの! それで絶対にふたりを連れ戻すの!」
涙を流していたせいで目元が赤くなっちゃっているかりんちゃんだけど、もう完全に立ち上がれたみたいね。
モモちゃんはともかく、先輩と仰いでいるアリナにもきっと大切にされていたんだろうし、そんな彼女をかりんちゃんは本当に尊敬しているんだと思うわ。
だから文句を言わないと気が済まないんでしょう。
どうして勝手に突き進むんだ、少しでも相談してくれたら良かったのに、って。
分かるわよ、その気持ち。
「まなかも連れて行ってください」
そして、そんな想いを抱いているのはまなかちゃんも同じだったみたい。
「まなかはそんなに強くはないですが、足手纏いになるほど弱くもありませんし、まなかの魔法は必ず役に立てるはずです。だから連れて行ってください。まなかも途中でサボった百恵さんに怒っているんですよ。あれで料理を極めた気にならないでほしい、と」
「……マジか。あれでもまだ駄目なのかよ」
「当たり前です! ちなみにですが帆奈さんの料理は、まなかからしたらまだまだ全然です」
「うへぇ、きっびしいなぁ~」
「帆奈さんと同じでもっと上を目指せるはずなんですよ百恵さんは。ですから、まなかの本気の料理を食べてもらって、目を覚まさせます。なのでお願いです、みたまさん!」
さて、どうしたものかしらぁ?
普通に考えるならまなかちゃんにはヘリポートに向かってもらった方がいい。
まなかちゃんの固有魔法である『伝播』の魔法は自分の攻撃だけに限らず、味方の攻撃までも拡散させる能力を持っているから、大軍相手には非常に有利を取れる魔法少女。
加えてフェントホープはヘリポートよりもはるかに危険な場所だから、かなり腕の立つ魔法少女でなければ生きて帰って来られるかも怪しい。
だから本当なら、まなかちゃんにはヘリポートでみんなのサポートをしてもらった方がいい。
……本当なら、ね。
「いいわぁ。わたしが口添えしてあげる」
「……いいんですか? これはまなかの我儘ですよ?」
「わたしだってサポート型の魔法少女だもの。大丈夫よ、攻撃なんて怖ーいお姉さんたちに任せておいて、わたしたちは皆の手助けをしていればいいのよ」
「誰が怖いお姉さんよ、聞こえているわよ」
新しい魔法に切り替えた帆奈ちゃんの手伝いをしていたやちよさんが戻ってきた。
まなかちゃんの友達の……うーんと? あ、アイデアちゃんだったかしら? とにかくその子も連れて。
「まなかさん! 帆奈さんと一緒に私を差し置いて敵の本陣で目立とうとするなんて許せませんわ!……と、言いたいところですが」
「え?」
「その……あなたは強いですわ。私、いつも助けられていますもの」
「阿見先輩……」
「ですから! 必ず、必ず私の分まで目立って、大活躍をして、そして無事に百恵さんを連れて帰ってくること! よろしいですわね!?」
「……はい! 勿論です。今回ばっかりは、まなかも気合入れていきますよ!」
「その意気ですわ!」
まなかちゃんもいい先輩を持っているわね。
意気込みは良いけどちょっと自信がなかったまなかちゃんも発破を掛けられて、すっかり元気になったわ。
「私はヘリポートで千切っては投げ千切っては投げの大活躍をして目立ってきます。ですから私の後輩をどうか、よろしくお願いしますわ」
「任せてちょうだい。えっと……アザレアさん?」
「ん? 今あちしたち呼ばれた?」
「呼ばれていないからねー」
「あやめ、向こうを見ちゃダメよ」
「うん? はーい」
「阿、見、莉、愛、ですわあぁーっ!」
「胡桃まなかさん、百恵を助けに行きましょう」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「しかもガン無視!? おのれ、七海やちよー!」
こうして時間が過ぎ、メンバーが決まった。
フェントホープに向かう魔法少女は……
『チームみかづき荘』のメンバー五名、
常盤ななかちゃんのチームのメンバー四名、
静海このはちゃんのチームのメンバー三名、
東の長でわたしの親友、和泉十七夜、
モモちゃんの後継者、御園かりんちゃん、
混沌の魔法少女、更紗帆奈ちゃん
『伝播』の魔法の使い手、胡桃まなかちゃん、
『マギウスの翼』のナンバーツー、梓みふゆさん、
そして……わたし、調整屋の八雲みたま。
計18名。
「それでは……案内します。ホテルフェントホープの入り口、『万年桜のウワサ』の元に」
戦いの時が来た。
「待っていてね、モモちゃん」
このメンバーで、必ず助ける。
だから……諦めないで、待っていてね……。
だってまだ、モモちゃんを必要にしていて、そして恩を返そうとしている子たちが、この神浜にはたくさんいるんだから。
以下、今回のガバ回避集
・やっちゃんとななか様の関係が非常に良好である
良好でなかった場合、『マギウス』を頭ごなしに否定していたやっちゃんにななか様が前半の意見をぶつけるだけにとどまり、神浜の魔法少女たちは団結することはありませんでした。
・まどマギ勢が総出でマミさん救出に動く
マミさんと心を通じ合う役割を満たせるのはこの四人だけです。
原作ではやっちゃんが担当していましたが、難易度ハードにつき確定でマミさんに言葉が届くのはまどマギ勢だけ。
マミさん救出成功の確定演出です本当にありがとうございます。
・団地組が動く
原作では団地組は魔法少女の真実を知ってショックのあまり調整屋に残ってしまっていましたが、今回はもうみんな知っているので元気に活躍します。
マミさんのウワサをすぐに剥がせていいゾ~コレ。
・更紗帆奈が生存し、さらに好感度がべらぼうに高い
安定してウワサを剥がすならみとちゃんの魔法は必須ですが、彼女はひとりしかいないため救出は二者択一です。
しかし帆奈ちゃんがいてくれたので、特攻魔法少女が増えた上に帆奈ちゃん自身が強力な魔法少女なので、百恵ちゃんの救出に大きく貢献してくれます。