マギレコRTA ワルプルギス撃破ルート脳筋傭兵チャート   作:スパークリング

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Side.胡桃まなか 神浜最強のウワサ

 いつの間にか、まなかの当たり前の中に、あの人が解け込んでいました。

 

 魔法少女になってすっかり変わったまなかの日常。

 そして、立地と時代が悪いだけで、中身は一級品のはずなのにすっかり閑古鳥が鳴くお店になってしまっていたウォールナッツ。

 

 まなかが魔法少女になってから仕事は増えたものの中々ウォールナッツにお客様が直接いらっしゃることはなく、まなかが本当に叶えたかった願いは依然として叶わないまま。

 それでも、まなかは嬉しかったんです。

 

 まなかが魔法少女にならなければ、ウォールナッツは間違いなく、潰れてしまっていました。

 

 誰にもその味を味わってもらうことも、広げていくことも、伝わっていくことさえなく、潰れてしまったことすらも知られないまま、消えてしまっていたことでしょう。

 

 でも、魔法少女になって、少なくともそれはなくなりました。

 

 ウォールナッツというお店が死んだままでも、ウォールナッツという味が生き返ってくれたのなら、ずっと守って磨いてきたこの料理たちを世界に広めることができます。

 

 お父さんが、まなかが作る料理で、たくさんの人を笑顔にすることができるのなら、料理人としてこんなに嬉しいことはありません。

 

 「頂きます」と「ご馳走様」の言葉を聞いて、そして空っぽになった食器たちを見る。

 それだけでまなかは満足なんです。

 そこに「美味しかった」の感想が添えられていたなら、とんだ幸せ者です。

 

 ですから、魔法少女が魔女になるという話を聞いても、まなかは後悔をしませんでした。

 

 まなかが魔女になったとしても、ウォールナッツは残ってくれる。

 ウォールナッツさえ残ってくれれば、料理という形でまなかは生き続けていくことができる。

 だから魔女になるかもしれないという恐怖がほんの少し感じたとしても、魔法少女になった後悔はしませんでした。

 

 ですが……その後の話は、まなかにとってとても受け入れられない話でした。

 

 星奈百恵さんの命が尽きようとしている。

 それを聞いた時、頭が真っ白になりました。

 

 『神浜最強』の肩書きを持ち、神浜の魔法少女全員から尊敬されるような、一介の魔法少女であるまなかにとってはまさしく雲の上の存在。

 まなかは百恵さんを傭兵として雇ったことは一回もないので、彼女の戦いぶりは全部人伝であまり実感は湧きませんでしたが、それでも凄い人であるということだけは分かっていました。

 

 そんな百恵さんは、初めてウォールナッツにご来店されてからずっと贔屓にしてくれました。

 事あるごとに魔法少女の皆さんを連れてきてくれていましたし、傭兵として活動している際に宣伝までしてくれました。

 

 その結果……まなかの願いが本当の意味で叶ったんです。

 

 少しずつ、本当に少しずつですが客足が伸びてきたんです。

 

 ほとんどが百恵さんに宣伝されてやってきた魔法少女の皆さんでしたが、ご家族の皆さんと一緒にご来店されたお客様もいましたし、魔法少女でない普通の学生のグループの皆さんだって来ていただけました。

 ひとりで来店されて勉強しながらたまに注文して(くつろ)ぐ学生さんや、リピーターになってくれるお客様もいました。

 

 そして、お父さんやまなかが腕に()りを掛けて作った料理たちを笑顔で召し上がってくれて、そして空になった食器だけが机に残る。

 ずっと、ずっとまなかが見たかった夢の景色がそこにあったんです。

 嬉しすぎて十分くらい泣いてしまうくらいに、幸せな光景でした。

 上手く行ったらいいな程度の浅はかなまなかの打算を、百恵さんは現実のものにしてくれました。

 

「私は別に大したことはしていないぞ? ほんのちょっと、おしゃべりしただけじゃ。チャンスをものにして、夢を叶えたのは先生自身の力じゃよ」

 

 ある日の料理教室でまなかが改めて百恵さんに感謝の気持ちを伝えた時に、返ってきたこの言葉を聞いて、完全にまなかは百恵さんに頭が上がらなくなってしまいました。

 

 なんとしてでも、まなか自身の力を使ってウォールナッツを立て直す。

 そう決めていたまなかは、チャンスを作ってもらうようにだけキュゥべえにお願いをして魔法少女になりました。魔法の力で夢を叶えるのは違うと思ったからです。

 ですから……百恵さんのその言葉は、まなかがずっと誰かに認めてほしくて、言ってほしかった言葉だったんです。

 

 なにか恩返しをしたい。

 ですが、まなかには料理しかありません。

 

 だったらまなかが持っている全部の料理の知識を、技術を百恵さんに渡したいと思いました。

 毎回毎回、課題料理の内容を変えていたのは、少しずつ百恵さんにまなかの技を身につけてもらいたかったからなんです。

 内容自体は料理教室向けの簡単で基本的なものばかりでしたが、その基本さえできればあとは応用するだけです。そしてその基本が奥深いのが料理の面白いところ。

 ですからまなかが教える基本が全部できるようになったということは、まなかの技術を全部取得したのと同義。

 

 百恵さんは恩を売ることはあってもそれをせがむことはしない人でしたので、それとなく、ひっそりと恩返しするのに、この方法はぴったりでした。

 

 幸い百恵さんは料理をすることが大好きらしく、料理教室を開く度に当たり前のように出席して楽しそうに料理をしてくれました。分からないところがあれば積極的に質問してくれましたし、細かい確認も怠らない、料理人顔負けの熱心さで取り組んでいただいていました。

 

 あと一回。

 あともう一回で、まなかの知識が、技術が、全部百恵さんのものになる。

 そうしたら改めて感謝の気持ちを伝えよう。

 

 そう思って……まだまだ続くとはいえ、まなかにとってはある意味最後の料理教室の日、百恵さんは初めて欠席しました。

 

 またその次も、その次も……百恵さんは料理教室に来ることはありませんでした。電話にも出ていただけなく、ウォールナッツを訪ねてきた七海やちよさんも目の色を変えて探していたことから、失踪してしまったことがわかりました。

 

 それでも、留守番電話にメッセージを残して、百恵さん専用の踏み台も用意して待っていましたが、来ることはありませんでした。

 

「百恵先生……どうしちゃったのかしらね」

 

 百恵さんと並んで料理教室の常連になった静海このはさんも寂しそうに、誰も使われていない調理台を見つめていました。

 本当にどこに行ってしまったのか……。

 

 あと少しでまなかの恩返しが完成するというタイミングで消えてしまった百恵さんが、まさか死にかけているなんて夢にも思っていませんでした。

 

 みたまさんから聞いた百恵さんの身に起こっている不幸。

 残り僅かな寿命を削ってまで、成し遂げようとしていた魔法少女の解放。

 でもそこで考えの違いが起きた結果、囚われてもはや兵器のような扱いを受けていること。

 

 もう頭がキャパオーバーしそうになりましたよ。

 

「まなかさん……」

「ごめんなさい、阿見先輩。少し、ひとりにさせていただけませんか?」

「……私でよろしければ、いつでも声をかけてくださいね」

 

 がくりと崩れ落ちて、ショックで泣きました。

 阿見先輩も気を遣ってくれて、帆奈さんと一緒に他の偉い人たちの所に行ってくれました。

 

「私としましては、彼女たちは道を最初から踏み外していたと結論付けます。七海やちよさんを支持し、百恵さんを救出し、『マギウス』の計画を止めるということを宣言いたしましょう。私の大切なものを、ワルプルギスの夜によって失うのは御免被りますから」

「というわけで、私たちも七海やちよさんを支持するわ」

 

 前に出て、おそらく魔法少女の真実を聞いてショックを受けている皆さんの代表をしていた常盤ななかさんと、そんな彼女に続いたこのはさんが揃って七海やちよさんを支持し始めたのは少し経ってからでした。

 この時にはある程度落ちつけて、彼女たちの話を聞けていました。

 

 強力なチームを率いているふたりが立ち上がったことで調整屋の空気は一変、今起こっている事件を解決し、百恵さんを助けようと皆さんが奮起しています。

 そんな皆さんを見て、そして冷静に今起こっている事件を思い返して、まなかの中にも悲しみ以上の感情が芽生えてきました。

 

 それは怒り。

 

 百恵さんを酷い目に遭わせて、利用しようとしている『マギウス』とかいう組織。そして……まなかからの恩返しを寸前で受け取らずに死のうとしている百恵さんに向けて。

 

「あたしだって、まだあいつに何にも返しちゃいねーんだ。こんなつまんねーくたばり方をされてたまるかよ」

「わたしだって、先生と先輩に一言くらい文句を言ってやりたいの!」

 

 すぐ近くで聞こえてきた帆奈さんと、百恵さんの弟子の御園さんの言葉がまんま、まなかが言いたかったことを代弁してくれている。

 

「まなかも連れて行ってください」

 

 まなかとひとつしか違わないような子たちが百恵さんを助けるべく動こうとしているのを見て、まなかも我慢が出来なくなってしまいました。

 本当なら、まなかは戦力的にも能力的にも、ヘリポートに向かった方がいいのは重々承知です。ですがそれ以上に、まなかだって百恵さんを助けたいんです。一言言ってやりたいんです。

 

「いいわぁ。わたしが口添えしてあげる」

 

 まなかの我儘を聞いて一瞬困った顔をして何かを考えていた様子のみたまさんですが、その口から出てきたのは色よい返事でした。

 

 そのすぐ後には一応この場の総責任者のような扱いのやちよさんと、その後ろから相変わらずやちよさんに対抗心を燃やしている阿見先輩が来ました。

 

「あなたは強いですわ。私、いつも助けられていますもの……ですから! 必ず、必ず私の分まで目立って、大活躍をして、そして無事に百恵さんを連れて帰ってくること! よろしいですわね!?」

 

 いつもはお笑い芸人みたいなオーバーなノリなのに、いざってときは面倒見が良くて、こうして気遣ってくれる、優しい先輩のらしい激励をもらってもう完全に吹っ切れました。

 実力の差なんて、知ったことありません。まなかだって、たまには阿見先輩や帆奈さんのようにまなかのやりたいように振舞いたいんです。

 だから百恵さんを助けに行きます。

 

「それでは……案内します。ホテルフェントホープの入り口、『万年桜のウワサ』の元に」

 

 チーム分けが終わって、そして戦場に向かう時がやってきました。

 

 まなかの住む北養区の山の中にある『万年桜のウワサ』という、説明の中にあった『マギウス』が生み出した怪物がそのまま本拠地に繋がるワープポイントになっているらしいです。

 

「雫さん、転移を」

「はい。気をつけて……」

 

 梓みふゆさんとは違う形で『マギウス』から脱走して逃げてきた保澄雫さんは、一度行ったことのある場所の空間を繋げることができる『空間結合』の魔法の使い手。

 それでも『マギウス』の本拠地にはその『万年桜のウワサ』を経由しないと行くことができないらしいので、入り口である『万年桜のウワサ』までメンバー全員を送り届けてくれました。

 

「ここが……」

 

 もうすっかり日が沈み切っているというのに青空が続く、一面に広がる草原。そこに一本だけある枯れた桜の大木には花はおろか、葉っぱすら一枚も生えていません。にもかかわらず、桜の花びらのような桃色の花弁は延々と降り続けています。

 

 これがウワサ、ですか。

 初めて見ましたが、これだけ見ればどこにも危険があるようには思えませんね。

 

|待っていた|

 

 ここにいる誰のものでもない声が聞こえました。

 

 それぞれ武器を構えて警戒していますと、大きな桜の木の元にワンピースの女性が佇んでいました。

 一見すると普通の人間に見えますが、人間のものではない耳がちょこんとついています。

 

「もしかして、あなたが……」

|はい。私が『万年桜のウワサ』。ずっと会いたかったわ、いろは|

 

 環さんを見て嬉しそうに笑う彼女はやはりウワサでした。

 そういえば二葉さんと長い間一緒にいたウワサは意思疎通が可能なタイプだったらしいですし、それと同系統のウワサなのでしょう。

 

|時間がないから用件だけを伝えに来た。これを|

「これって……」

|私の枝。今はまだ蕾だけど、四人が揃った時に花を咲かせる|

「……どうしてこれを?」

|昨日、ねむが新しく生み出したウワサから連絡が来た。……ういが危ない|

「えっ!?」

 

 環さんの顔から血の気が引いていきました。

 うい……というのは確か、行方不明になったという環さんの妹さんでしたね。

 

「少し訊いてもいいかしら?」

|なに?|

「新しいウワサってなに? 詳細は分かるのかしら?」

|知っている。聞いたから|

「誰に?」

|そのウワサのもうひとりの生みの親……『マギウス』のひとり、アリナ・グレイ|

「アリナ先輩が!?」

 

 その人は確か、話を聞く限り百恵さんに加担していた唯一の『マギウス』でしたね。

 かなりクセの強い性格をしているらしく、味方なのか敵なのかがわからないグレーゾーンの要注意人物。

 

「……そのウワサの詳細を教えてほしいわ」

|いいよ|

 

 

 

 

 

 アラもう聞いた? 誰から聞いた?

 神浜最強のそのウワサ。

 

 絶対無敵の正義の味方、魔法少女のためならなんでもしちゃう希望の星!

 

 助けがいるならお任せあれ!

 あなたの元にひとっ飛び! どんな敵もスパッと一撃! 邪魔するやつは命の業火で焼き尽くす!

 

 でもでも拒んだりするのは絶対ダメ!

 寂しがって、助けるまで絶対に帰ってくれないとっても困ったかまってちゃん!

 どんな手段を使っても必ず自分が役に立って魔法少女を救うって、星奈百恵の間ではもっぱらのウワサ!

 

 アリガタメイワクー!

 

 

 

 

 

「ふっざけないでください!」

 

 思わず、声を出して悪態を吐いてしまいました。

 

 あまりにも、あまりにもピンポイント過ぎて、そして明らかに百恵さんを馬鹿にしている皮肉で溢れたふざけた内容のそのウワサを聞いて我慢が出来なくなってしまったからです。

 

「まなかさん、落ち着いてください」

 

 まなかの背中に手を添えて窘めてくれているななかさんですが、そう言うあなただって能面のような顔をしているじゃないですか。

 理性的な人ほど怒れば怒るほど無表情に近づくと聞いたことはありますが、それは本当だったみたいです。だって今のななかさん、ずっとウワサの方を見たままぴくりとも顔のパーツが動いていませんから。

 

「……わかっています。だから今叫んだんです」

「それは英断ですね」

「ななかさんも少しは発散させたらどうです?」

「そうですね。それもいいかもしれませんが、今はやめておきましょう。あとでたっぷりと、ぶつけることにします」

 

 そう言ってにこっと笑ったと同時に猛烈な寒気がして鳥肌が立ちました。

 

 決してまなかに向いたわけじゃないのに、震え上がってしまうほどのこの静かすぎる怒気……。

 分かってはいましたが、この人は絶対に、絶対に怒らせてはいけない類の人です。

 この人の本気の殺意をその身で浴びたらしい帆奈さんはよく五体満足で生きて帰ってくることができましたね。

 

「……まあいいわ。じゃあ次に、それにどうしてあなたとそのウワサは連絡が取り合えるの?」

|全てのウワサは繋がっている。距離が近ければ意思疎通もやろうと思えばできる。彼女は消される寸前で、私に連絡をくれた|

 

 ちょっと待ってください? 今なんて言いました?

 消された……ですって!?

 

「待ちなさい! そのウワサは百恵に憑依しているんでしょう!? 百恵は無事なの!?」

|それは知らない。けど、消されたときは生み出された直後だった。だからその時点では、その百恵という子は無事だと思う|

 

 それなら……良くはないですね。

 でもそれでも、百恵さんもろとも消されたわけではないようなのでまだ良かった方ですか。

 

「でもどうして生み出した瞬間に消したりしたのかしらぁ?」

「確かに妙ね。わざわざ作っておいて……なにがあったのかわかる?」

|詳しくは知らない。けれど、彼女は激しい怒りを露わにしていた。たぶん『マギウス』の誰かが、生み出して早々にそのウワサのルールを破った|

 

 ウワサは定められたルールを破った時、攻撃的になる性質を持っていたんでしたっけ?

 ということは……さっきの忌々しいウワサが持つルールと、それに反する内容を考えないといけないということですね。

 

 皮肉だらけでしたが、『神浜最強のウワサ』の性質は非常に百恵さんに近しいものでした。

 

 魔法少女を救うためには何でもして、拒むものや邪魔するものには容赦はしない。

 そんなウワサのルールを破るということは、ウワサの助けを拒んだか……ウワサの目の前で他の魔法少女を傷付けるような真似をしたのかの二択です。

 そして先程のこの万年桜のウワサさんの話からして……。

 

「そんな……灯花ちゃんたちがういを……」

 

 その答えを悟った環さんがショックを受けていました。

 

 まぁ、そうなるでしょうね。環さんの妹さんが『マギウス』に酷いことをされていると言われたようなものですから。

 なぜか環さんだけが覚えている環さんの妹さんは、『マギウス』のふたりと親しい間柄だったみたいですし、そのふたりに忘れられたばかりか、あんまりな仕打ちをされていると知ってしまって心が痛まないはずがありません。

 第三者のまなかだって物凄く嫌な気持ちになっているんです。環さんの悲しみはかなり深いものだったことでしょう。

 

「色んな意味で時間が無くなってきたわ。とにかく本拠地に向かいましょう。みふゆ、案内して!」

「わかりました!」

 

 聞き出せることを全て聞き出したまなかたちは万年桜のウワサさんを通り抜けて、桜の近くにある広間に足を踏み入れました。

 そして、次の瞬間には景色が変わりました。

 

 辺り一面、薄い霧に包まれた不気味な世界。そしてその先にあるのは巨大な建物。

 この建物こそ『マギウス』の本拠地、ホテル『フェントホープ』なのでしょう……って!

 

 微かな音が聞こえたので反射的に反応して真横に飛ぶと、さっきまでまなかがいたところに大砲の弾のようなものが通過し、後方で激しい爆発を起こしました。

 あっぶないですね!

 

 さすがは本拠地です、入った瞬間から戦いが始まっていたということでしょう。いつの間にか、まなかたちを囲うようにちらほらと羽根が集結してきていました。

 

 その中でローブを着ていないふたりの魔法少女がいました。

 

 ひとりはメイド服のような服装をした箒を構えている人。もうひとりはバズーカ砲のようなものを構えている人。きっとあの人がさっきの攻撃をしてきた人なのでしょう。

 

「ググ……ガァ……」

「グギギ……」

 

 目の焦点が合っていませんし、明らかに様子がおかしいです。

 あのふたりも外で暴れている羽根たち同様、操られてしまっているようです。

 

「そんな……郁美さんに令さん……!」

「知り合いのようね」

「はい、ワタシに情報をくれた協力者です。多分、ここにいる子たちもみんな……」

 

 最初のお出迎えが洗脳したみふゆさんの協力者とは……本当にいい性格をしていますね。

 

「仕方がない。こいつらの相手は自分がしよう」

 

 前に出たのは和泉十七夜さんでした。

 

「こいつらのほとんどが東の魔法少女たちだ。勝手に自分の下から離れて行ったことに仕置きをしてやろう」

「ですがおひとりでは厳しいでしょう。……あきらさん、かこさん、お願いできますか?」

「いいよ! 任せておいて!」

「はい! 回復は任せてください!」

 

 それに続くようにななかさんのチームから志伸あきらさんと夏目かこさんが。

 

「かこが残るならオレも残るぜ!」

「わたしも残るよ!」

「あちしも残る!」

「あ、あやめ!? あやめが残るなら……」

「ダメだよ! このはと葉月は行って! あちしは大丈夫だから! フェリシアとかこと、みんなで道を作るからね!」

 

 さらに深月フェリシアさん由比鶴乃さん、三栗あやめさんが残ることを決意。

 あやめさんがかこさんを守るように位置取り、フェリシアさんが前に出て巨大なハンマーを構え、鶴乃さんはフェリシアさんとは逆の方向にいる羽根たちに向けて構えています。

 

「ここは自分たちで受け持つ。だから早く行け!」

「……っ。行きましょう、みんな!」

 

 やちよさんに続き、残ると決意した六人を除いた全員が駆け出す。

 

 当然この先へ行かせまいと洗脳された羽根たちが立ちはだかりますが。

 

「ちゃーらぁーっ!」

 

 鶴乃さんが次々と飛ばしてくる炎を受けて、まともにまなかたちに近づくことができません。

 

「オラァ! ズガーン!」

 

 その隙にフェリシアさんが豪快な一振りで多くの羽根たちを吹き飛ばし、

 

「はい! これでオッケーだね!」

「うむ。深月君たちのおかげでこちらは楽ができるな」

 

 あきらさんと十七夜さんが仕留めそこなった羽根を着実に倒していきます。

 

「怪我をしたら来てください! 治療します!」

「あちしが守るから安心してよね!」

 

 どうやらかこさんは回復要員だったらしいです。

 そういうことですか。だからあやめさんが彼女を守るように陣取っているんですね、この戦いにおいてかこさんは生命線のようなものですから。

 

 鶴乃さんが器用に立ち回って翻弄して、フェリシアさんが必殺級の攻撃を繰り出して、あきらさんと十七夜さんがフェリシアさんを補助、かこさんが皆さんを回復させて、そのかこさんをあやめさんが守る。

 

 とても即席で作ったとは思えないチームワークを発揮した六人によって道は開かれ……まなかたちはフェントホープ内に足を踏み入れました。

 

 

 

 

 

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