マギレコRTA ワルプルギス撃破ルート脳筋傭兵チャート 作:スパークリング
メイドラゴンのOPに今更ドハマりしました。ちょろゴンズvrの方が個人的に好きです。
神浜に戻ってきてから、アタシたちは変わった。
「このはと葉月は行って! あちしは大丈夫だから! フェリシアとかこと、みんなで道を作るからね!」
あやめは友達ができた。
ずっとずっと、アタシたちの後ろをついてくるのでいっぱいいっぱいだったあのあやめが、自分だけの力で友達を作った。
「おう、あやめ! かこは任せた! 前はオレに任せとけ!」
「うん! あちしに任せておいて!」
「怪我をしたらすぐに戻ってきてくださいね!」
「おうよ! オラァ! ズガーン!」
「うひょー、ドッ派手ぇー! って、こっちにくんなし! かこには指一本触れさせないもんね!」
その友達と力を合わせて、うまく連携を取ってしっかりと戦っている。
ずっと前ならアタシたちについてきていたはずなのに、あやめは自分の意思でアタシたちと別れて、友達たちと一緒に戦う決断をした。迷いなんてなくて生き生きと、そして的確に状況を見極めて自分の役割を全うしている。
こんな勇ましいあやめを見られるなんて、神浜に来るまでは思いもしなかった。
「葉月、行きましょう!」
そしてこのはがアタシと先に進む。
ずっと前なら、このははあやめを置いて行こうとはしなかった。無理矢理にでもあやめを連れて行こうとしていたと思う。
あやめをひとりにするのが心配なのもそうだし、なによりこのははアタシたち以外に心を開こうとしていなかったから。
でもこのははあの事件以降ガラッと変わった。
「ただ問題を先送りにするわけじゃなくて、それを目標にして私たちが進むべき道とその姿勢を見せてくれた」
ななかさんの答えに対するこのはのこの言葉が、まさにその証とも言える。
ずっと前なら、このはの言う「私たち」はこのはを除くとアタシとあやめのふたりだけだった。
でも今は違う。
あの時調整屋にいたすべての神浜の魔法少女と、そんな彼女たちやアタシたちを今まで守ってきたあの人をみんなひっくるめて、このはは「私たち」と言ったとすぐにわかった。
誰も信じられなくて、周りの変化に消極的で、アタシとあやめしかいない小さな世界を必死で守ろうとしていたあのこのはが、この神浜という街を守ろうと積極的に自分から立ち上がって介入することを決めた。
あやめを置いていく決断ができたのも、強く成長したあやめだけじゃなくて、あやめの友達や他に残って戦ってくれているみんなを信じることができたからに違いない。
「私は……私はただ、あなたとあやめと……!
三人で……いつも三人で、三人だけで!
ただ、それだけで! それだけで、いいのに……。
院長先生もいなくなって、つつじの家からも出て!
もう私には、あなたたちしかいないのに!」
更紗さんが起こした事件の時にこんなことを言っていたこのはが、ここまで変わることができたのは凄いことだと思う。
「うん! 行こう、このは!」
そんなことを言っているアタシだって変わったんだ。
社交的に見えるかもしれないけど、それは上っ面だけ。本当は臆病な性格のアタシ。
だけどアタシが言うのもアレだけど頭の回転はそこそこ良かったし、世渡りも昔色々あったせいで上手くなっている自信もあったから、このはたちにも悟られることはなかった。
そんなアタシだからさ、最初はこのはとほとんど同じ考えだったんだ。
このはとあやめがいればそれでいい。
このふたりを守ることを考えるためだけに頭を使うし、有利になるような交渉だって受け持とうってね。
でも、それは神浜に来てから変わった。
さっきも言ったけどアタシは世渡り上手だからさ、自然と自分がどう動けば一番良い結果になるのかは分かるんだよ。
本当はアタシだって、このはと同じで周りの人達と深く接するのは怖かった。だけどそれ以上に、たくさんの人たちがアタシたちの味方に付いてくれたことが嬉しかった。
だからアタシは思い出すことができたんだ。
しっかり周りを見れば、アタシたちを受け入れてくれる人たちがたくさんいることを。そんな人たちが与えてくれる温もりを。
それを思い出させてくれたのは、三人の大物魔法少女。
真っ先にアタシたちに接触してきて、あの事件以降もよく交流させてもらって情報共有をしてくれているチームのリーダー、常盤ななかさん。
アタシたちの無実をあっさりと証明してくれて、その後始末からフォローまでしてくれた西のリーダー、七海やちよさん。
そして……最後のひとり。
アタシたちを神浜に受け入れるための下準備をしてくれた、神浜最強の魔法少女、星奈百恵さん。
彼女たちのうち誰かひとりでも欠けていたら、アタシたちはここまで前向きに変わることはできなかった。ここまで積極的に神浜の魔法少女たちに関わることはなかったと思う。
だから本当にこの人たちには感謝しているし、いつかは恩を返そうと思っていた。
そしてそのいつかが、今。
調整屋で話を聞いていて、まあ色々と言いたいことはあったよ。
でもアタシのやることは何も変わらない。
確かに『マギウス』が掲げる魔法少女の解放は魅力的だった。
アタシも真実を知った時は、後悔はしなかったけれど暗い気持ちにはなった。落ち込みもした。
でも落ち込んでばかりじゃ何も解決しないから、少しでも魔女になる運命から逃れるには戦い続けてずっと魔法少女として生きていくしかないと思ったから、今日まで頑張ってこれた。
だから……そんな戦いの中でしか生きられないアタシたち魔法少女を、その残酷な運命から解放することができる『マギウス』の計画は確かに魅力的ではあった。
でも、それ以上に譲れないものがアタシにはあった。
ひとつは『つつじの家』。
アタシたち三人が魔法少女になってまでして守りたかった、かつての居場所。
アタシたちが魔法少女の運命から解放されても、肝心の『つつじの家』がワルプルギスの夜に滅茶苦茶にされたら本末転倒。それだけはなにがなんでも阻止しなければいけない。
そしてもうひとつは、百恵さんだ。
ずっとずっとアタシたちに手を差し伸べ続けてくれた、あの優しい百恵さんが囚われたと聞いた瞬間、もうアタシの中で『マギウス』は明確な敵になった。魔法少女の解放なんかどうでも良くなった。
ななかさんとやちよさんにはある程度の恩返しは出来ている。
ななかさんとは協力関係にあるし、やちよさんからくる協力要請もすべて応じている。だから少しずつだけど、返しているつもりはある。
でも百恵さんには何も返していない。
だって百恵さんはアタシたちを特に頼りにしてくれたことがないから。
要領がいいから大抵のことはひとりで
だからアタシは、ここで立ち上がると決めた。
アタシたちに良くしてくれているこの神浜と言う名の『つつじの家』をワルプルギスの夜から守って、百恵さんを助け出して少しでも恩を返すために。
ななかさんがやちよさんたちの行動に対して否定的な意見を述べていたけど、すぐに狙ってわざとやっていることに気が付いた。
百恵さんを交えて人狼やらトランプやらで言葉遊びをしている仲だし、何よりななかさんが百恵さんを助けないという選択肢を取るはずがない。
だから結論は既に決まっていて、調整屋に集まっているみんなを団結するように上手く運んでいこうとしているのがわかった。
そこからは流れるようなこのはの援護射撃があって、無事に全員が『マギウス』と戦う覚悟を決めてくれた。
それでもダメそうだったらアタシもワンプッシュするつもりだったけど、ななかさんのお芝居がうまかったのもさることながら、アタシたちに続いてれいらちゃんたちのチームも立ち上がってくれたおかげで出しゃばらずに済んだ。
正直に言ってあのタイミングでアタシが出るのはちょっと変だったから、出る幕がなくて本当に良かったと思う。
さて、こうして行動を始めて、あやめたちの奮闘もあってアタシたちは敵の本拠地であるホテルフェントホープの潜入に成功した。
「こっちです! おそらく『マギウス』たちは地下聖堂……イブの所にいます!」
百恵さんの副官をしていた梓みふゆさんにアタシたちは続く。
彼女は百恵さん以上にこのフェントホープに精通しているから、ここに入る際の注意事項から敵の居場所まですべて把握していた。
このフェントホープを破壊すること、そして破壊を
もし彼女がいなかったらアタシたちはこの広大な敷地内で迷い続けていただろうし、最終手段としてホテルを破壊しようと動いていた可能性がある。そうなったらもっと大変だったね。
これで黒幕である『マギウス』のところまですぐに行ける……と、思ったんだけどさ。
「いたぞ!」
「やっぱりあの裏切り者たちじゃ、ダメだったみたいだ」
まぁ、こうなるよねぇ……。
アタシたちの行く手を羽根たちが阻んでくる。後ろからも騒ぎを聞きつけた羽根たちが来ている。あっらら、囲まれちゃったね。
それにしてもこの羽根たちは操られていないみたいだね。
『裏切り者』……って言っていたけど、それって今あやめたちが相手している外で暴れている羽根たちのことかな?
梓さんの協力者や、百恵さんを支持していた羽根たちが軒並み洗脳されていて、そんな羽根たちを裏切り者って
百恵さんに黒い感情を持っていて、そして『マギウス』に百恵さんを売った……。
「みふゆさん、あなたまで……どうして」
「ずっと一緒に、解放を目指していたじゃないですか……!」
「……確かに、ワタシはずっと自分が助かりたいと思っていました。今だって、この魔法少女の運命から解放されたいと思っていますよ」
「だったら……!」
「ですが! このやり方を許容するかは話が別です!
ワタシはあくまでも、みんなで一緒に解放されて幸せになることを目標に頑張ってきました。
あなたたちに真実を伝えて、半ば脅しに近いやり方をしてでも協力してもらうように迫って、モエちゃんをも巻き込んで、ワタシは『マギウスの翼』という組織を大きくしてきました。
ですからワタシには、巻き込んでしまったあなたたち全員に対する責任があるんです!
羽根のみんなを洗脳して、魔法少女同士で殺し合いをさせて、ワルプルギスの夜を呼んで神浜を滅茶苦茶にするなんてことは、決して許すわけにはいかないんです! あなたたちを大勢の人を不幸にし、命を奪うこの計画に加担させるわけにはいかないんです! あなたたちを人殺しにするわけにはいかないんです!
最後の一線だけは絶対に越させません!」
なるほど、それが梓さんの本音か。
百恵さんを巻き込んだ張本人だからあんまり良い感情は持っていなかったけど、今の話を聞いて認識を改めないといけないね。
長い間やちよさんと一緒に西を支えてきただけあって、思った以上に責任感の強い人間みたいだった。
だから百恵さんも、梓さんを信じて『マギウスの翼』のリーダーになって、梓さんと一緒に解放に尽力し続けてきたんだろうね。
そうじゃなかったら、いくら弱ってしまっていたとしても百恵さんは『マギウスの翼』に入るはずがない。あの人はそういう人だから。
「私たちを巻き込んでおいて今更そんなことを言うんですか……!」
「自分から誘っておいて、私たちを裏切るんですか!?」
「どう思っていただいても結構です。恨み辛みは聞きます、気が済むなら殴ってくれても構いません。ですがなんとしてでも、この計画は止めます。
これは『マギウスの翼』のリーダーであるモエちゃんの意思であり、その副官であるワタシの意思であり、『マギウスの翼』全体の決定事項です。
よってワタシは、ワタシの仕事を全うします。
そしてあなたたちはあくまで『マギウスの翼』の構成員です。
どうすればいいのか、わかってもらえますね?」
さて、ここで梓さんの言うことを聞いてくれるなら話は早い……というか本来なら梓さんの言うことは聞かないといけないはずだね。
だって百恵さんに仕事を依頼した時の対価は『マギウスの翼』の構成員全員の忠誠だったはずだから。
百恵さんの意思をそのまま口に出している梓さんの言うことを聞くのは、『マギウスの翼』の構成員として当然のこと。
だけど……。
「……甘くなりましたね、みふゆさん。あなたは星奈百恵に毒されすぎた」
「あの女が『マギウスの翼』に来てから確かに現場の環境は改善されました。ええ、本当に。仕事が減って楽になりましたよ」
「ですが肝心の『マギウス』に嫌われてしまった。解放には『マギウス』が必要不可欠だというのに」
「『マギウス』のご機嫌を取らないと救われないのに、本当に余計なことしかしない……!」
「だから私たちは『マギウス』に忠誠を誓ったんですよ」
「そもそも、星奈百恵との契約はみふゆさんの独断でしょう? 私たちの意思じゃないし、受け入れるつもりもない。だから従う必要なんかない!」
あー……やっぱりこうなっちゃうよねぇ。
わかっていたよ、うん。わかっていたんだ。
万人に好かれるような人はいない。だから善意の塊みたいな百恵さんにだって、多少なりとも嫌う人がいるだろうなって思ってはいたんだ。
更紗さんだって今は百恵さんに懐いているけど、昔はまぁ色々あって嫌いだったらしいしね。
百恵さんを嫌う人の気持ちも、一応わからないこともない。
神浜全域が狩場というかなり特殊な立ち位置にいる人だし、仕事の都合上他人様の縄張りにいる魔女をなんの断りもなく狩ることが許されているから、特定の縄張りという制限がある普通の魔法少女にとってそりゃあ面白くはないだろうね。
でもそれで百恵さんを恨むのはお門違い。
文句があるならそれを許しているやちよさんたちに直接言うべきであって、百恵さんに向けるものじゃあない。百恵さんは別にルールを守っていないわけじゃないんだから。
まあ、やちよさんたちに直談判したところで門前払いされるだけだろうけどさ。
それに百恵さんはしっかりとそのデリケートな問題も考慮して、狩る魔女の数にも制限を設け、それを超えるようなら別の場所に向かうようにしていたはず。
仕事以外で偶然居合わせた魔法少女には、困っているようなら無償でグリーフシードを渡しているって話も聞いたことがある。
だから百恵さんは魔女を狩りつくすこともしていなければ、グリーフシードを独占しているわけでもなかったはずだよ。
もしも百恵さんに鍛えられて一人前になった魔法少女が自分の縄張りで活動することについて不満に思っているなら、それはもう当人たちの問題。百恵さんは関係ない。
協力するなり、アタシたちやななかさんのチームのようにルールを作るなりすればあっさりと解決できるはずの問題。
神浜には魔女が多いんだから、誰かが乱獲しない限りは魔女がいなくなるなんてことも少ないし、困ったらその時こそ百恵さんやかりんちゃんに助けを求めればいい。彼女たちは絶対に拒むことはないんだから。
魔法少女を鍛えていることを『余計なこと』と言うのなら、それはとんでもない身勝手な話。弱い魔法少女は黙って死ねと言っていることを知っている上で言っているのならさらに質が悪い。
「そうですか……。残念です」
この梓さんの言葉がトリガーになった。
(まなか先生、行くよ)
(まっかせてください!)
アタシの固有魔法は『体のスキャニング』。
敵さんの弱点を探ったり、電子機械を操作したりするのが主な使い方だけど、それを応用するとこうして電撃として攻撃することができる。
常人から逸脱した存在である魔法少女といえども、あくまでベースになっているのは人体。つまり電撃は通りさえすれば絶大な効力を発揮する。
アタシはそれをアタシたちの周りを囲うように発生させて、まなか先生の『伝播』の魔法で拡散させたんだ。
アタシたちを取り囲んでいた羽根たちも少し距離を取っていたから安全だと思っていたんだろうね。でも残念、こっちにはまなか先生っていう攻撃の出力と効果を増幅させる優秀なサポーターがいるんだよ。
まなか先生とはここに来る前にアタシと手を組んでもらえるようにお願いしておいた。アタシの攻撃と相性が最高だったからね。
為す術なく、アタシたちを囲んでいた全ての羽根たちが感電して戦闘不能になった。
弱い、弱すぎる。不意打ちではあったけどさ、アタシとまなか先生だけで制圧されるなんて無防備にもほどがあるでしょ。百恵さんが見たら呆れちゃうよ。
これなら表で正気をなくしている子たちの方が厄介だよ。アタシたちを襲うことしか考えてないから動きに乱れはないし、ダメージを受けても怯まずに襲い掛かってくるしで面倒くさいから。
「上手く行ったね、まなか先生」
「はい!」
「「いえーい!!」」
「あなたたち……」
「言葉が通じなさそうだったしさ、梓さんがいるから案内もいらないし、問題はないですよね?」
「……あなたは手より先に口が動くタイプじゃなかったかしら?」
あっはは、違いないね。
でもさ、アタシだって怒るときは怒るんだよ。だからつい先に手が動いちゃった。
にしても初めてかもしれないね、こんな風に先制攻撃を仕掛けたのはさ。思った以上に決まると気持ちが良いものだね。
「まぁいいわ。早く行きましょう」
アタシたちは再びフェントホープを駆けだす。
向かってくる羽根たちは戸惑うことなくアタシとまなか先生のコンビが蹴散らす。交渉不能だから話すだけ無駄だし、まなか先生のおかげで今のアタシの攻撃は全体攻撃になっているから倒しちゃう方が早いんだよね。
相手は魔法少女だからソウルジェムにさえ当てなければ丸焦げにしても致命傷にならないし、ソウルジェムの位置もアタシのスキャニングで把握できるから簡単に無力化することができる。
なんか途中でこの事件の黒幕の『マギウス』が出てきたけど、すぐに鏡の魔女の使い魔だってわかったから瞬殺しちゃった。だってスキャンしたら体の構造が使い魔のそれだったからね。
鏡の魔女の使い魔かどうかの判定なんて一発でできる。
いやぁ、我ながら手際が良くてびっくりしてるよ。
なんていうかな、頭が冴えているんだよね。『神浜最強のウワサ』の内容を聞いた時から妙に。
「葉月、ひとついいかしら?」
「なに、このは」
「その……笑いながら攻撃するのは止めて。怖いわ」
「えっ」
アタシ笑ってたの?
そういえば口元が吊り上がっているような……。やっば……そりゃあこのはもドン引きするわけだよ。
どうも怒りすぎて笑うしかなくなっちゃったから、そのまま表情が固まっちゃっていたみたい。
うっわ、こっわ! 自分でも引くわ!
あやめがいなくて良かったよ。こんな顔見せたくないもん。
「ここです! この先にきっと『マギウス』がいます」
すぐにキリッとし顔を作っているうちに目的地に辿り着けたみたいだった。
廊下を曲がって直進して……えっと?
梓さんはこの先って言ったよね? でもなぜかアタシたちの前にあるのは行き止まり。壁が一面に広がっていてこの先に進めそうもない。
まさか、袋小路にアタシたちを追い詰めるための罠? 最初から梓さんは演技していた?
「おかしいです……確かに、この先に階段が」
でも梓さんは困惑した様子で壁を触っている。
さっきの羽根たちへの言葉といいこのリアクションといい、演技しているとは思えない。
それに冷静に考えてみれば、ここに近くにつれて控えていた羽根たちが増えていったし『マギウス』をコピーした使い魔だっていた。罠にしては手が込みすぎている。
そもそも罠なら妨害しないで、ここまであたしたちが来るまで待ってから背後から襲い掛かってくればいいはず。無駄に戦力を削ぐメリットはほとんどない。
ということは梓さんの言う通り、本来のこの場所には地下に続く階段があったに違いない。
それなのに閉ざされたということは……なにかの魔法がかけられている可能性が高いね。
「葉月」
「うん、やってみるよ」
念のために壁全体にスキャニングを開始。
このホテル自体もウワサらしいけど、もし違う形式の魔法が後からかけられているのだとしたら、ここだけ反応が違うはず。
さて、結果は……。…………!
「ビンゴ。ここだけ周囲の壁と違う形式の魔法がかけられているよ」
「ということは、この先にいるようですね。……『マギウス』が」
ななかさんの言う通り、ここが『マギウス』に繋がる鬼門と見て間違いない。
後はどうやってこの魔法を解除するか……。
「私の魔法を試してみるカ?」
えっと、たしか美雨さんの固有魔法って……『偽装』だったよね?
近くにいる人間に嘘の情報を現実として認識させる魔法だったはずだけど……壁に対して効果はあるのかな。壁は無機物だけど……って、違う。
この壁はただの壁じゃない!
「! 離れるネ!」
なにかを感じ取った美雨さんの言う通りに壁から距離を取ると……辺り一面の景色が変わっていく。まるで魔女の結界のように。
|フッフフフフ|
そしてさっきまで壁があった場所には、ゴテゴテに飾り付けられた聖女のような衣装を身に纏った赤い人型が立っていた。明らかに人間じゃないし、魔法少女でも魔女でもない。
ということはアレが『ウワサ』ってやつだろうね。
やっぱりあの壁は魔法によって生み出されたウワサという怪物。生き物だったから美雨さんの魔法が効いて、それで姿を現したんだ。
つまりこいつを倒せば先に進める!
|フッフフフ……フ……フ……|
戦いは呆気なく終わり、アタシたちの前に立ち塞がっていた壁が消えて道ができた。
こっちは12人もいるし、ウワサもウワサで弱すぎた。
本当にこの先に続く道を隠すためだけに作られたような感じだった。
階段を下っていく。
果てが見えず、まるで闇に吸い込まれていくような感覚に鳥肌が立つ。
しかもこの階段……降りれば降りるほど、瘴気が強くなっていく。ということは……この瘴気の元であるなにかがこの先にいるということ。そしてそれが、『マギウス』の計画の要であるエンブリオ・イブっていう半魔女なんだろうね。
こんな風にアタシたちに隠すということは、本当に計画に必要不可欠で、そして絶対に見られたくないものなんだろう。もし見られても平気なものなら、ななかさんが言ったように堂々と見せればいいんだし。
「来たわ……」
「来ましたね……」
ん?
「このは? まなか先生? なんか言った?」
「い、いいえ?」
「何も言ってないわよ」
ふたりはそう言うけど、今のは明らかにこのふたりの声だった。
ということは……そうか。まだ、いたんだね。
「あっは! みんな混乱しているみたいじゃん!」
「情けないわねぇ~」
「ほんと、自分の仲間だと思うと、見ていて情けなくなるわ。ね、いろは」
「はい、こんなの私たちらしくないです。みんな自分を忘れてしまってます」
ああ、本当に趣味が悪いね。
仲間を洗脳して、ワルプルギスの夜を呼んで、自分たちの偽物を作って罠に嵌めようとして……遂には……!
「リーダーとして、みんなにお願いしてもいいですか?」
「ええ、構いませんよ。ここは私もあなたに従いましょう」
「私も異論はないわ」
「じゃあこの人たちに自分が何者か、教えてあげましょう」
忌々しいことに……
「や。随分と甘くなったね……
アタシたちの目の前に立ちはだかったのは、アタシたちの偽物だった。
今回のガバ回避&RTA集
・いろはやみふゆが捕らえられていない
単独行動をやっちゃんが食い止め、百恵ちゃんが逃がしたのでこのふたりはフリーだったので大幅にタイムを圧縮。
兵隊グマのウワサ? 知らない子ですね。
・案内人としてみふゆさんがいる
タイムをさらに大幅圧縮。
『マギウス』の元へ直行しました。
働きグマのウワサ? 知らない子ですね。
・遊佐葉月と胡桃まなかのタッグ
ヒャッハー! 羽根は消毒だ~!
鬼畜コンボにより羽根たちは目視確認された瞬間黒焦げにされました。
鏡の魔女の手下? 一発で見抜かれて会話すらできずにご臨終です。
・純美雨が同行している
固有魔法がチート過ぎる魔法少女。
本来マミさんじゃないと解除できない行き止まりが偽装によって書き換えられそうになったため、反応してウワサが出現。倒されて解除されました。
神浜聖女のウワサ? 12人に勝てるわけないだろ!
個人的に葉月ちゃんは怒ったらガチでヤバいキャラだと思います。めっちゃ怖そう。