また、視点もコロコロと変化しますのでご注意を。
ちなみに、サブタイトルの『?』マークはこの長編が終わり次第、明かす予定です。
SIDE:カエル顔の医者(冥土帰し)
とある昼下がりの米花私立病院の医院長室にて、私はデスクに座りながら今日出たばかりの新聞の広告欄に目を止めていた――。
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イベント(特)情報
「昭和の頃…
ほとんどの日本人が持っていた大切な物…
貴方はまだお持ちですか?」
――現在、完全に姿を消しつつあるその貴重な品物を
――持参された方、先着10名様を
――小笠原イルカツアーに無料御招待!(二泊三日)
日時 10月9日17時
場所 堤無津港
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――だが私は、別に旅行に行きたくてそれを見ていたわけでは無かった。
私の目を釘付けにしていたのは、そのツアーを企画したという人物の名前であった。
「
静かな医院長室に私の声が静かに響き渡った――。
SIDE:江戸川コナン
とっておいた旧紙幣の一万円札を使い、見事『小笠原イルカツアー』の参加を手に入れた俺、蘭、おっちゃんの三人は、意気揚々とその船旅で使われる豪華クルーザーへと乗り込んでいた――。
ホテルのロビーのような受付でチェックインを済ませると、唐突に俺たちに向けて声がかかる。
そこには俺たちより先に乗船していた、おっちゃんのかつての上司で今は定年退職した元捜査一課の警視である
久しぶりの再会に花を咲かせるおっちゃんと鮫崎さんと蘭。
その後、とある乗客のハンコを俺と蘭が拾ってあげた直後、俺たちは意外な人物と出会う事になる。
「……あれ?ねぇ、お父さん。あれってカエル先生じゃない?」
蘭のその言葉におっちゃんだけじゃなく俺も驚き、振り返る。
すると先程俺たちが入って来た船の出入り口から見知ったカエルのような顔の男性が荷物を抱えて入って来るのが見えた。
そのカエル先生も、俺たちがいるのに気づくと少し驚き、こちらにやって来る。
「おや、毛利君たちじゃないか。……キミたちもこのツアーに参加したのかい?」
「いや、驚きました。カエル先生もこのツアーに?てっきり先生はこう言ったツアーにはあまり興味は無いものかと……」
おっちゃんのその言葉に、俺も内心同意していた。
基本、カエル先生は仕事人間でどうしても出なければいけないパーティーや表彰式とか以外は、いつもあの病院で医師の仕事をやっている。
法律とか関係なく休暇も取らず患者を治す事を第一に考え、心血を注いでいる人なのだから。
そのため、そんなカエル先生がこのツアーに参加したのがとても意外に思えて仕方なかった。
「……あはは。いや、なに。たまにはガス抜きも必要だからね?このツアーの事を新聞で見つけて丁度いいとばかりに休暇を取って参加してみたんだよ」
照れ笑いを浮かべながらそう説明するカエル先生。
すると、今まで俺たちの後ろにいた鮫崎さんが、不思議そうな顔でカエル先生に声をかけてきた。
「ちょっとあんた。もしかして――」
「――ん?……ああ!
「……!やっぱり
「そうですか、それは良かった」
深々と頭を下げてそう言う鮫崎さんに、カエル先生は嬉しそうにうんうんと頷く。
それを見て俺は、鮫崎さんもカエル先生に助けられた一人なのだと察する。
すると今度は受付からカエル先生を呼ぶ声が。
「お客様。申し訳ないのですが、そろそろチェックインの方を……」
「おっと、すまないね。……それじゃあ話の続きはまた後でね?」
そう言ってカエル先生は軽く手を振るとそのまま受付へと向かって行った――。
SIDE:カエル顔の医者(冥土帰し)
(……いやはや、まさかこんな所で新一君たちに会うとはねぇ)
受付に向かう途中、私は内心この船で彼らと会った事に心底驚いていた。
恐らく、あの新聞の広告に書かれたこの船のツアー参加資格の条件を見つけたのは新一君だと思うが……。たぶんかれらは、私みたいに
(だが……)
私は肩越しにチラリと振り返りながら、毛利君の隣に立つあの刑事さんに視線を向ける。
(……あの刑事さんがこの船に乗っているということは……。もしや彼も、
そんな事を考えているうちに受付の前に着いた私は、早々にチェックインを済ませようと思考を切り替える。
「お客様、お一人様でいらっしゃいますか?」
「はい」
受付の問いかけに私は素直に頷く。
すると、私のそばに立っていた乗務員が乗客のチェック表を見ながら受付の女性に声をかけてきた。
「……あの眼鏡の坊やを除けば、この人がちょうど十人目。最後だよ」
「それじゃあ、もう船を出してもいいわね。予定の時間も過ぎてるし……」
「うん、
チェック表を持った乗務員のその言葉に、女性と一緒に受付の中にいたもう一人の男性が頷く。
「そうだな。それじゃあこれで締め切りということで、残念だけど集まっている他の皆さんは――」
「あ、はい!行ってきます!」
そう言ってチェック表を持った乗務員は頷くと、船の出入り口へと走り去って行った。
そうして残った私は、受付の女性から客室の鍵を受け取る。
「ではお客様、107号室へ」
「ありがとう」
そうして、私と新一君たちを乗せたこの船――シンフォニー号は、大海原へと出港したのであった――。
SIDE:???
――何故だ?……一体、どうしてこんな事に……?
出港したシンフォニー号という名の船の中で、『俺』は自問自答を繰り返していた。
俺はこれから、
もし、神という存在がこの世にいるのであれば問いかけたい。
――一体、何故俺の邪魔をする?
――何故……どうして……。
――どうして、
SIDE:江戸川コナン
カエル先生との船での思わぬ遭遇の後、船首での蘭の某有名映画の名台詞の再現、そして同じ乗客である
この場には俺たちの他にも、このツアーに参加した
もちろん、カエル先生も俺たちのすぐ隣のテーブルで夕食を黙々と食べていた。
それぞれが思い思いに会話、食事を楽しむ中――同じ乗客の
「お注ぎ、いたしましょうか?」
「ああ、すまんな」
鮫崎さんの了承を得て、彼のグラスにワインを注ぐウェイター。そこへおっちゃんがウェイターに声をかけた。
「……しかし、こんな大きな船に客がたったこれだけとは、ちょっぴり寂しいっすなぁ」
「ええ、そうでございますね。……まだお部屋で休まれてるお二方を加えても、11名様ですから」
ウェイターのその言葉に俺はさり気なく「僕を入れればね」と付け加える。
そこへ蘭もウェイターへと質問を投げかけてきた。
「その二人って……お父さんと同じ探偵さんとおじいさん、ですよね?」
「ええ。
(探偵、ね。……一体どんな奴なんだか)
ウェイターの返答に俺がそんな事を思っていると、何故か鯨井さんが怪訝な顔でウェイターを見つめているのに気が付いた。
おっちゃんもそれに気づいたようで鯨井さんに声をかける。
「鯨井さん、どうかなされましたか?」
「……え?あ、いえ、私もその老人を廊下ですれ違いましたものでね……。無口な人のようでしたが、何をなさっている方なんですか?」
鯨井さんのその質問に、ウェイターは答え始める。
「はい……何でも海洋研究家だそうで……」
そう言ってウェイターは懐から一枚のメモ用紙を取り出す。どうやら今回乗船した乗客の名前が書かれているらしいそのメモから、ウェイターはその人物の名前を探し出し、読み上げる――。
「えぇっと……お名前は――」
「――
「か、叶才三!!?」
『!?』
ウェイターが読み上げたその名前に、鮫崎さんが驚きに声を上げ、俺、蘭、おっちゃん
――そう、俺たちのそばで静かに食事をとっていたカエル先生も、その名前を聞いて顔を上げ、ウェイターに向けて驚きに目を見開いていたのを、俺は見逃さなかった。
今回、軽いキャラ説明はありません。
それはこの長編の最後の方で書く予定です。