SIDE:伊達航
南杯戸駅を飛び出した俺は、タクシーを捕まえて東都タワーへと到着していた。
運転手に金を払い、タクシーを降りた俺は目の前にそびえ立つ東都タワーを見上げる。
(見た感じでは異常なし、か……)
東都タワーの外観を上から下まで念入りに眺めるも、特に変わった所はない。
これの観光ポスターを見た時、これだ!と感じて駅を飛び出してきたのだが、何も異常な所は見受けられない所を見ると
(……いや、爆破予告までまだ時間はある。犯人がこれから仕掛けに来るって可能性もあるしな)
そう考えた俺は、念のためにタワーの中も確認しておこうとタワー入口へと一歩を踏み出した。――……その時だった。
――ドォォン!!
『……!!?』
小さくも、されどはっきりとした爆発音がその場に響き渡り、俺を含む通行人や観光客などの面々が足を止め、場が騒然となる。
そして、はじかれたように爆発音を聞いた面々が音のした東都タワーを見上げると、先程まで無かった小さな煙がもくもくと東都タワーの特別展望台付近から立ち上っているのが見えたのだ。
「クッソ!『今』かよ!!」
それを視認した瞬間、俺は悪態をついて首の
周囲で女性の悲鳴や呆然と「なんだ?」と呟く声が耳に入ってくる中、俺は茫然と立ち尽くしてタワーを見上げる人込みの中へと割って入り、タワー入口へと飛び込む。
入り口にはタワーのスタッフが何人かいたものの、今し方起こった爆発で呆然としており、俺が入場券無しで中に入って行った事にも気づいていない様子であった。
タワー内に入った俺はすぐさまエレベーターホールを見つけるも、爆発が起こった手前、今それを使うのは危険だと判断し、すぐ横にある非常階段から特別展望台へと全速力で駆け上がって行った。
そうして階段を上っている合間に、俺は携帯で目暮警部へと事の仔細を伝えるために連絡を入れる。
俺の話を聞いた目暮警部は電話の向こうでひどく驚いている様子だったが、俺は「これから状況を確認してきます」と伝えて一方的に通話を切ると、今度は『ゼロ』へと連絡しようとする。
――しかし、いざ『通話ボタン』を押そうとした時、トラブルが起こった。
「……!?」
ガヤガヤと人が騒ぐような音が耳に入り、何事かと音が響いてくる階段の上へと目を向ける。
するとそこには十数人もの観光客らしき人々が、我先にと階段を駆け下りて来る姿が目に入ったのだ――。
「いっ!?」
突然の事に俺は反応が遅れるもすぐさま壁際へと身を寄せ、群衆の波からの直撃回避に成功する。
どうやら先の爆発のせいで特別展望台の下にある大展望台にいた一部の観光客がパニック化してしまったようであった。
冷静さを欠いた目で必死に階段を駆け下りていく人々が俺のすぐ横を通り過ぎて行く。
残念ながらこれだけ多くの人間を俺一人で落ち着かせることは不可能であり、どうすることも出来なかった。
そうやって、階段を下りていく人々を見ている事しか出来ない俺に……更なる不運が舞い込んだ。
――パシッ。
「……へ?」
パニック化した観光客の一人の手が、偶然俺の手に持った携帯に当たってしまい、その衝撃で俺の手から携帯がはじかれてしまったのだ。
突発的な事態に俺は呆けた声を上げて、空中に投げ出された携帯を半ば反射的に目で追った。
俺の手を離れた携帯は空中を漂った後に階段下へと落ちていき、そこにあった踊り場へと乾いた音と共に二、三度跳ねて落ちた。
そしてそこに、ダメ押しとばかりに観光客の一人の脚が当たり、蹴られる形となった携帯は吹っ飛んで壁に当たる。そして今度はその衝撃で反対側にあった階段の内側の手すりの方へと跳ね返ることとなり、結果携帯は、
「えっ!あ、オイ!?」
あまりの急展開に俺は反射的に声を上げて、壁際から内側の手すりの方へと駆け寄ると、そこから身を乗り出して
しかし、視認できる範囲には既に俺の携帯の姿は影も形も無く、どのくらい下へと落下したのか皆目見当もつかなかった。
「――ッ、クッソォ!
以前にも似たような事(杯戸シティホテルでの一件。あの時は事件後に回収できたが)があったのを思い出し、俺はやりきれない苛立ちに自然と声を荒げていた。
しかし今は非常事態だ。今から下に戻って携帯を回収している余裕はないし、この高さから落ちたなら壊れている可能性だってある。
数秒悩んだ俺だったが、結局状況把握と一般人の安全の確保を優先してそのまま上を目指す事に決めた――。
SIDE:高木渉
一晩中、連れまわす形となってしまった少年探偵団の皆を、車で家に送っている最中だった。
東都タワーから小さな煙が上がっているの見つけて駆けつけてみると、場は既に混乱状態にあった。
僕は探偵団の子供たちを車に残し、近くにいた東都タワーのマスコットの着ぐるみを着た人を捕まえて何があったのかを問いただすと、どうやら僕たちが到着する直前に東都タワーの特別展望台付近で小規模の爆発が起きたらしい。
恐らく、爆弾の場所が警察にバレたと思った爆弾犯がリモコンで爆発させたのだろう。
また爆発の際、エレベーターが止まってしまい、小さな女の子がそのエレベーター内に閉じ込められたのだという。
その事を無線で別行動をとっていた佐藤さんに伝えると、「これは犯人の罠だから、貴方はそこで待機してなさい!」と一方的に指示を出されたが……僕はそれを振り切って東都タワーの中へと飛び込んでいた。
それは事前に由美さんから「美和子が無茶するかもしれないから見張ってて」と言われていたのも理由の一つだったが、それ以上に女の子が危険な状況に陥っていると知って、警察官として黙ってはいられなかったのだ。
先の爆発でエレベーターが使えそうにない事を知っていた僕は、その横にあった非常階段を使って階段を駆け上がって行く。
――しかし四つか五つ目の踊り場を通り過ぎようとした時、視界の端で
「あれ?これって……」
そう呟きながら僕はそれを手に取る。
それは携帯電話だった。しかも液晶画面を含むあちこちがひび割れており、もはや使えるのかどうかすら分からないほどボロボロになっていた。
その携帯の破片らしき物がいくつか近くに散乱しているのが確認できたため、恐らく階段のはるか上から落ちてきたものだと思われた。
だがそれ以上に、僕が気になったのは――。
「これって……伊達さんの携帯電話、だよな……?」
――そう、その携帯電話は伊達さんがいつも使っている物にそっくりだったのだ。
まぁ、同じ機種の携帯電話がこの世にごまんとあるのは当然の事ではあるのだが、
「という事は、伊達さんもここに来ているのか?でも何で……?」
首をかしげながら階段の中央の吹き抜けからはるか上の方へと見上げる。
「!」
すると視界に小さいながらも数多くの人間がぞろぞろとこちらに向けて降りて来るのが見えた。
恐らくここのスタッフの避難誘導に従って、特別展望台や大展望台から降りてきた観光客たちだろう。
その人たちを見た僕はいったん先程までの疑問を頭の隅に追いやり、伊達さんの携帯をポケットに入れると、降りてきた観光客たちの波に逆らうようにして再び階段を上り始めた――。
SIDE:伊達航
非常階段から降りて来る群衆をかき分け、全身から滝のような汗を流しながら何とか特別展望台に辿り着いた俺は、息を整えながらそこにいた数人の東都タワースタッフを捕まえて詳しい状況を聞き出していた。
曰く爆発の規模が小規模だったため、今現在まで被害に遭った人は誰もいないという事、爆発でエレベーターが一つ止まる事になったものの、見た限りそれ以外は大した損害になっておらず修理すればすぐに復旧できるレベルだという事、そしてこの一件が意図的なモノなのかそれとも単なる事故なのかは今の所まだ分かっていないという事らしかった。
人的被害が無い事にひとまずホッと胸をなでおろした俺は、爆発が起こった場所を見せてほしいと口を開きかけるも、それよりも前にスタッフの一人が持っていた無線からの報告で方針を変えざるを得なくなった。
「……はい、こちら特別展望台…………なんですって!?大展望台で止まっているエレベーターに女の子が閉じ込められた!?」
「……っ!?」
スタッフからの驚きの報告に、俺は反射的に元来た道を引き返していた。
階段を駆け下り、同じように降りている観光客の群衆を追い抜いて、大展望台のある階層へとやって来る。
すると階段下から見覚えのある顔と鉢合わせする事となった。
「……!高木か!?」
「伊達さん!どうしてここに!?」
「訳は後だ!それよりもこの展望台のエレベーターで女の子が一人閉じ込められているのは知っているか!?」
「え、ええ……僕もそれを聞いてここに来たんです!」
「そうか、なら行くぞ!」
「は、はい!」
俺の言葉に高木が頷いたのを横目に再び動き出す。
そして大展望台にいたスタッフの一人の案内で俺たち二人は止まってしまったエレベーターの前までやって来ていた。
「
現場に到着すると、数人のスタッフとエレベーター前で椅子に乗ってしきりに誰かの名前を呼ぶ女性が目の前に現れる。
同じようにそれを見た高木は、そこにいるスタッフの一人に早速声をかけていた。
「警察ですが、女の子が閉じ込められているというエレベーターはここですね?」
「は、はい。……最上階から降りて来て、ここの大展望台に着く寸前で止まってしまったんです……!」
スタッフの話を聞きながら俺は注意深く現状を見つめる。
その話の通り、エレベーターは出入り口の少し上の方で止まっており、こちらからは僅かに開いた隙間から中の様子をうかがう事しか出来ない状態になっていた。
そうしてこの現状とスタッフの話から、俺はエレベーターの中に取り残された女の子が朱美という名の少女で、今俺たちの目の前で椅子に乗ってエレベーターの隙間からしきりにその子の名前を呼んでいる女性が母親であることを自ずと察することが出来た。
「……乗っていたのは子供一人なのですが、出て来るように母親が言っても怖がっちゃって」
続けざまにスタッフの説明を耳にしながら、俺はフゥムと考える。
エレベーターの隙間は母親の顔がやっと入るくらいの広さしかない。とてもじゃないが大人が入り込むのは不可能であった。
「……この隙間じゃあ、大人が入るのは無理そうですね」
高木も俺と同じ結論に至ったらしくそう呟く。
さてどうしたものかと、高木と二人して首をひねっていると――。
「じゃあ、僕を持ち上げて!」
――唐突に俺たちの足元辺りから、
俺たちが向ける視線の先には、女の子の警戒心を解こうと友好的な口調で話しかける
何の因果か、高木と少年探偵団も一緒に車でここまでやって来た坊主は、他の少年探偵団の面々を車に残し、一人タワーの中に入った高木の後を追って来たのだと言う。
……正直、この場に眼鏡の坊主が来てくれて本当に助かった。
俺たちだけじゃあこのエレベーター内に入れないのはもちろんの事、突然の事態に恐怖心が高まって母親の呼びかけにも動かないほど怯え切っている少女を連れ出すのは至難の業だった。
その点、見た目少女と近しい容姿をしている眼鏡の坊主なら大人である俺たちよりも少女の警戒心を解くことが出来る。
その証拠に今、坊主と一緒に会話している少女の雰囲気が少しずつではあるが明らかに緩和しているのが見て取れた。
少女が持っていたぬいぐるみを使って少女と戯れる眼鏡の坊主を見ながら、俺はこちらの問題は直ぐに解決できそうだと心の底から安堵した。
――やがて、坊主との談笑を経て警戒心が薄れた少女は、坊主に手を引かれてこちらへとやって来た。
エレベーターの隙間から降ろされた少女は母親に抱きかかえられて心から安心したのかワンワンと泣きじゃくる。それは母親の方も同じだった。
まだ何も解決したわけじゃないが、問題が一つ解消されたことに俺はホッとする。
そんな俺の横で高木は少女に続いて坊主もエレベーターから降ろそうとしている所だった。
「さ、コナン君も!」
「うん!」
高木の言葉に坊主が頷き返した――その時だった。
――ゾクリ……!
「――ッ!!?」
突然、俺の背中に悪寒が走る。そして――。
――ドゴォォン!!
『……!!』
その音と振動で反射的に身を固くする俺たち。だが事態は俺たちに余裕を与えてはくれなかった。
直後にエレベーターがガゴン!と下がり、一気に下まで落ち始める。
今の爆発でエレベーターを吊っていたワイヤーが全て切れたのだ。
「――ッ!コナン君!!」
「ッ!ぐ、グゥゥッ……!!」
そうしてまだエレベーターから降ろされる前だった坊主もまた同じように落ち始め、落下の影響でその体はエレベーター内で宙に浮いてしまう。
それを見た高木は坊主の名を呼び、坊主はくぐもった呻き声をあげる。
「――チィィッ!!」
かく言う俺も、突然の事に目を大きく見開くも何とか坊主を助け出そうと落ちていく坊主に向けて半ば無意識に手を伸ばす。
「クソォォォォーーーッ!!!」
奈落の奥底へと落ちるエレベーターの中へと身を投じた瞬間、俺の横で高木の奴も気合を入れるように大きく声を上げながら同じく空中へと身を躍らせ、坊主へと手を伸ばしているのが視界に入った――。
SIDE:降谷零
ようやく飛行機が成田空港に着き、手続きを済ませて空港の出入り口へと向かっている時だった。
荷物を下げながら階段を降り、視界に入った出入り口へと駆け出そうとした、その次の瞬間――。
――ブツッ……!
「ッ!?」
突然、俺の履いていた革靴の靴紐が小さく音を立てて切れたのだ。
それに一瞬遅れて気づいた俺は、唐突に起こったその事態に思わず足を止める。
それと同時に、俺の脳裏で
「伊達……?」
どうして今ここでアイツの顔が思い浮かんだのかは、俺にも分からない。
だが伊達が脳裏に浮かんだ瞬間、俺の胸中を言いようのない不安感が去来したのは……確かだった――。
SIDE:高木渉
『……で?格好つけて出て行ったくせに、伊達さんとコナン君と一緒にエレベーターに閉じ込められちゃったって訳ね』
「す、すみません……」
携帯の電話越しに呆れた口調でそう言う佐藤さんに、僕は申し訳なくそう返す。
エレベーターが落下した拍子に、僕と伊達さんはコナン君を助けようとしてエレベーターの中に転がり込むことになり、結果そのままエレベーターの中で三人一緒に落下する事となってしまったのだ。しかしその直後に、落下防止のための安全装置が作動してエレベーターは途中で止まり、僕たちは何とか事なきを得ることが出来た。
そうして現在、僕が車に残してきた少年探偵団と合流したらしい佐藤さんと電話をしている間、コナン君はエレベーターから脱出するために僕の両肩に足を乗せて立ち、エレベーターの天井にある
『それより……本当にそのエレベーターに爆弾は仕掛けられてないのね?』
「はい……
佐藤さんと問いかけに僕がそう返答している間に、頭上にいるコナン君が救出口の
「坊主、気を付けろよ」と小さく呟く伊達さんの言葉を背に、コナン君は扉を開けるとそろそろと這うようにして天井の向こうへと消えていった。
それを見送る僕の耳に佐藤さんの声が続けて入って来る。
『……それで、今どの辺りにいるか分かる?』
「えぇと、多分……ワイヤーが全て切れて、非常停止装置が作動したので……大展望台と東都タワーの下にあるタワービル屋上の真ん中ぐらいで止まっていると思います」
『そ、そう……』
「これは……僕と伊達さんも天井に上ってレスキュー隊を待つしかなさそうです」
たははと情けない口調で僕が佐藤さんにそう答えた。――その次の瞬間だった。
「ダメだ、天井に上っちゃ……!!『水銀レバー』が作動しちまう……!!!!」
「す、水銀レバー……?」
「何だとッ!!?」
天井から降って来た、切羽詰まった怒声にも似たコナン君のその叫び声に……『水銀レバー』という聞き慣れない単語に僕は呆けた口調でオウム返しにそう聞き返し、反対にコナン君同様、驚愕に目を大きく見開きながら伊達さんがそう大声を上げていた。
何故だか電話の向こうの佐藤さんも、絶句している様子がうかがえる。
事態が呑み込めず、『水銀レバー』が何なのか僕がコナン君にそう尋ねるよりも先に、伊達さんが慌てた様子で僕を押しのけながら、天井の向こうにいるコナン君に向けて声を上げていた。
「おい、坊主!水銀レバーって……まさか、
「そうだよ伊達刑事。……それもこのエレベーターどころか――」
「――東都タワーごと吹っ飛んじまうような、
「ば、爆弾!?」
「――ッ、チックショウがぁっ……!!」
コナン君の言葉にやっと事態を飲み込めた僕は驚きに声を上げ、伊達さんは最悪の事態になったとばかりに悪態をつく。
自分たちが今乗っているエレベーターのすぐ真上に、東都タワーごと破壊できるほどの大きな爆弾が乗っている。
普通なら半ば現実味を帯びないその事態に、僕は驚愕と恐怖と不安で半分放心状態になりながらも、何とか絞り出すようにして声を出していた。
「こ、このエレベーターの天井に……ま、間違いないのか?コナン、君……?」
「うん……僕、これとよく似た爆弾をテレビで見た事があるんだ。二つの液体がセットされていて、片方の液体だけなら何ともないけど……もう片方と混ざるとすごく強い爆弾になるって言ってたよ」
「だ、だったら尚更……レスキュー隊に来てもらった方が……」
そう提案する僕に、否定の言葉を投げてきたのはコナン君ではなく僕の隣に立つ伊達さんだった。
「坊主がさっき言ってただろ?『水銀レバー』があるってな。……恐らく、さっきエレベーターが止まったショックで、スイッチが入りやがったんだ」
「だ、伊達さん。何なんですかその『水銀レバー』って……」
「簡単に言やあ、振動感知器だ。少しでも揺れたら即、作動しちまう起爆装置のスイッチなんだよ」
僕の問いかけに重い口調で伊達さんがそう答える。それを聞いた僕は固唾をのむと、伊達さんの言葉に続けるようにして天井裏のコナン君も口を開いてきた。
「そう……だから、高木刑事たちがこの天井に上ってきたり、ロープで降りてきたレスキュー隊がここに着地したりした時に、ちょっとでも揺れたりしたら……ドカン、だよ」
「そ、そんなに……凄いのかい……?『水銀レバー』って。……だ、だったら、上のエレベーター口からロープを降ろしてもらって、僕たちが登って逃げるしか……」
再びそう僕が提案するも、今度はコナン君の方からそれを却下する言葉が返って来た。
「なーんかそれもダメみたいだよ。……爆弾のそばに、
「じゃあ……どの道、八方塞がりってわけか……」
コナン君の言葉に、僕は打つ手はもう無いと絶望的な気持ちになり、力なくそう呟く。しかし、そこでコナン君から予想外な言葉が飛び出してくる。
「……いや。手はもう一つ残ってるよ」
「はぁ……?」
呆けた声を上げながら僕は顔を上げる。脱出口の向こうにいるコナン君がこちらを向き、二ッと笑いながら口を開いた――。
「――
「…………」
「――ま。それしか方法はねぇわな」
コナン君からのあまりにも予想外な提案にポカンとする僕の隣で、同じようにコナン君を見上げる伊達さんが苦笑を浮かべながらそう呟いていた――。
最新話投稿です。
お盆休みって意外とやる事多いですよねぇ~(遠い目)。