俺はイーグルジャンプという会社に一応、勤めている。勤めていると言っても最近は会社にはいかず家で仕事をしている。自宅で仕事が出来る良い時代になってくれて俺としては嬉しい限りだ。
だが、俺が自宅で仕事をしているのは一人がいいから。普通の会社だったら一人の我儘が通る訳がないけどイーグルジャンプは少し他の会社と違って通ってしまったりする。これが良い事なのか悪い事なのか分からないけど、俺個人としては助かっている。
態態、仕事場に行って仕事をするよりこっちの方が効率が良いしね。
葉月にも迷惑を掛ける結果になってしまったがこれが一番しっくりくる。
話は変わるけどあるアパートの一部屋に俺は住んでいて勿論、俺以外の人を上げた事は数えられるほどしかない。まず、ここを訪れてくる物好き何て限られているからね。
周りが暗いからより一層、パソコンの光が眩しいけどこれが一番しっくりくる。逆にこれじゃないと仕事がはかどらないとも最近は思う。
今日もいつもと同じように仕事に取りかかっているとメッセがきて中身を確認して見るとそこには『葵くん、ちょっと話したい事があるから今日の午前9時に会社まで来て。しずくより』と書かれていた。
ちょっと待て!午前9時だと...これは打ち間違いじゃないのか。現時刻午前8時でここからどう考えても1時間は掛かる。今、出ないと絶対に間に合わないだろう。だけどもしかしたら打ち間違いという可能性に掛けて俺は葉月にメッセに聞いて見る事にした。すると1分もしないうちに返答が帰って来て今回は経った4文字しか書かれていなかった。
『早く来い』
俺は仕方なく前に葉月が誕生日プレゼントでくれた服を着て冷蔵庫から何秒までエネルギーを得られる食べ物を取り財布を持ち家を出た。久しぶりに出る外は日差しが照っていて部屋の中とは比べるまでも無く最悪だ。一瞬、すっぽかそうかとも思ったけどそれをしたら後で葉月が俺に何をしてくるか分かったもんじゃないしな。
覚悟を決め俺は最寄り駅まで歩いて行くことにした。
そしてやっぱり外の日差しは僕に牙をむく。
これは普段、部屋から出ない俺に取ってはかなりキツイ。だけど体力は底をつくより前に着いて良かった。もし、道端で倒れていたりしたらさすがにまずいだろうからな。
入るかと思った時に俺はある違和感に気づいた。入り口の前で一人の女性がずっと立ち尽くしている。何かあったのかと思い近付いて見ると何かぶつぶつと言っているのが聞こえてくる。
「おい、そこの人」
「....はい!!!」
「どうしたんだ?この会社に何か用でもあるのか?」
見た目は中学生みたいだけど人は案外、見かけによらないからな。見た目だけで人を判断するのは後でかなりの失態をしてしまうかもしれないからな。
「あ....はい!今日からこの会社に勤める事になりました!!!」
まるで体育祭の宣誓のような大きな声だ。緊張でもしているのか....まあ、初出勤なら緊張しない方が無理な話かもしれないな。
でも、そうか。もうそんな季節か。もう俺がこの会社のオフィスで働いていた頃から何年という月日が経ったんだろう。自分の年すら危うくなってきているからな。
「そうか。頑張れよ」
「その.....あなたは先輩だったりしますか?」
怯えたように聞いてきた。もしかして俺の容姿が怖いのか。人から怖いと言われる事はあまりないんだけどな。
「確かに先輩だが」
「せ、先輩でしたか。これからよろしくお願いします!」
俺に深く頭を下げている。俺はここに勤めているけど多分、もうしばらくは会う事は無いだろうに。俺がここに来るのは1年に1度あるかないか。
それに来たとしても1時間もしないうちに帰るから同僚と会う事はほとんどない。そんな俺に頭を下げても何もないのにな。
でも、この子を見ていると自分が新入社員の頃の事を思い出すな。あの頃は両親の反対を押し切ってゲーム関係の仕事に就職してビクビクしていた気がするな。初出勤の日なんて足が震えていた気がする。
「俺に頭を下げる必要はないよ。俺はほとんどここに来る事はないからな」
「でも、先輩は先輩ですから...」
そんな会話をしていると後ろから大きな声が聞こえた。
「こら!」
声のした方向を見てみるとそこには..さっきの子より少し大人っぽい女性が居た。この人は一体、誰なんだろう。もしかして俺の同僚なのかそれとも新入社員か。はたまた、関係のない人か。どれかは全く分からないが一つ確かな事は俺の方を訝し気な目で見ている事だ。
「あなたは不審者ですか?」
大人っぽいと思ったけど、どうやら違ったようだ。俺は不審者では無いし、不審者に不審者ですか?と聞いてそうですと答える奴がいるだろうか。いや、いないだろう。
「違う。ここの社員だ」
「じゃあ、社員書を見せてください」
俺はかなり疑われているようだ。そんなに疑われるほど俺の人相は悪いのだろうか。仕方ないなと思い俺はポケットから社員書を取り出して見せる。
すると何故か、大人っぽい子は驚いたようで何度も何度も社員書を見ている。もしかして何年も前の社員書だから変わったのか。一年前に来た時は普通に入れたんだけどな。
「あの、本当にこの社員書はあなたのですか?」
おい、ついにそこまで疑うようになるか。
「俺のだよ」
「じゃあ、ちょっと...これにサインを書いてくれませんか?」
そう言いながら小さな白紙の紙を取り出してきた。こいつは一体何を考えているんだ。
まあ、別にサインをするぐらいなら出来ない事も無いから良いかと思い、俺は胸ポケットに入っているペンを取り出し白紙の紙に書き渡すとまた固まってしまった。
人にサインを頼んでおいて固まってしまうとはどういう事なんだ。それより何でこいつは俺にサインなんか求めてきたんだ。全くもって分からないな。
そしてそれから何秒もしないうちにその女性は駆け足で会社へと入って行った。
「何だ。さっきの奴は」
新入社員も驚いているようで固まっている。まあ、あれもこの新入社員にとっては一人の先輩だから上手に付き合っていかないといけないと思うと同情してしまうな。
「それじゃ俺たちも入るか。まだ、新入社員なら社員証を発行されていないだろうからな」
「あ、はい。よろしくお願いします」
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