天才の復活   作:主義

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最初はコウの視点です。次にオリ主。

コウの過去は捏造です。


憧れ

幼い頃の私は絵を描く事が好きで暇さえあれば書いてた。絵を描く事が楽しくて仕方がなくて何より誰かにうまいねと言われることが嬉しかった。

 

周りの子とかはアイドルとか俳優のファンの子とかも居たけど私はそういうのには全く興味が無かった。

でも、それでいいと思っていた。

 

 

 

 

私が初めて特定の誰かのファンになったのは12歳の時だった。親の付き合いでショッピングモールに来ていて、お母さんが「今日の夕ご飯を買ってくるからそこら辺で暇をつぶして来なさい」と言われたので近くにあった本屋に入った。

 

本屋に入るとひときわ目立つところに何冊も同じ本が積み重ねられていた。どんな本なんだと思い近付いて見るとその本のタイトルは「今、一番輝いているキャラクターデザイナー」と書かれていた。

 

 

 

 

 

私は頭で考えるより先に体が本を手に取り、開いていた。その時の感動を今でも私は憶えている。 

 

こんな綺麗な絵を見た事が無かった。絵がうまいとかそんな言葉では語り切れないほどの凄さがこの本には詰め込まれていた。

一瞬で私はその本に虜になり母親が本屋にいる私に声を掛けるまでずっと夢中になってみていた。どうしてもこの本が欲しかった私はお母さんに我儘を言って本を買ってもらうことに成功したのだった。

 

 

 

それからはその本をずっと見てきた。本に穴が空いてしまうぐらいどのページも見た。私もこの人のような絵を描きたい。そしていつかこの人と一緒に仕事をしたいと思った。彼の事がピックアップされている雑誌とかは絶対に発売初日に買って、ハガキを送ると彼のサインが当たるとか言われると尋常じゃないくらいのハガキを送ったりした。

 

 

 

 

それぐらい私は彼の絵に夢中になった。だから彼と同じ職場で働けるとなった時はとても嬉しかった。だけど現実はそんなに甘くなくて彼は居なかった。はずきさんに聞くと今は自宅で仕事をやっていると言われた。

 

 

残念だったけど彼と同じ職場に勤めている事は変わらないから嬉しかったし、いつかは会えるだろうと思っていたから。

そんな感じで七年という月日が過ぎてしまってもう会えることは無いだろうと思っていた。だけどチャンスは急にやってくるもので今、その時が来てしまった。

 

最初にりんから聞いた時は寝ぼけていたから何を言っているか理解できなかったけど少しずつ意識がはっきりし始めると...理解が出来るようになったけどそれはそれで頭がフリーズしてしまった。だって急に七年間、会えなかった人がこの会社の前にいると言われても信じられない。

 

 

りんは証拠があると言って私に紙を渡してきた。これが何の証拠になるんだと思って裏返して見るとそこにはボールペンで書いてあるサイン……葵さんのサインがあった。葵さんのサインは何度も見ているから私が見間違えるわけがない。

 

 

 

私が一方的に話す事があってもりんからは一度も葵さんの話を聞いた事がない。だったらりんがサインを持っているって事は本当に葵さんがこの会社に……

 

 

 

 

私は急いで会社の下に行こうとする瞬間に入り口のドアが開き、ツインテールの中学生見たいな子が入ってきた。

 

 

「あの...今日からここで働く事になりました!涼風青葉です!」

 

その子は私を見つけると深々と頭を下げて挨拶をしてきた。あ、確かりんから今日から来る新入社員がいると言っていたっけ。すっかり忘れてたわ。

 

 

「あ!その子」

 

 

どうやら私を追ってりんも入り口の方に来ていたようで新入社員の子を指差しながら驚いている。そんなに驚く事があるかな。

 

 

「その子だよ!鯉塚さんと一緒に居た子」

 

この子が……葵さんと一緒に居たって言う子。私は考えるより先に葵さんについて聞いていた。

 

 

「今、会社の前で会った人ってどこに行ったか分かる!?」

 

普段の私では想像できないほど鬼気迫る感じで聞いた。新入社員の子には悪いけど私にとってこんなチャンスはもうないかもしれないから。

 

 

「あ……その人ならこれから応接間で誰かと会うと言っていますけど...」

 

私は新人の子の事を押しのけて急いで応接間に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------

 

あの子はちゃんと着けただろうか。新人の子だったから送ってあげた方が良かったかもしれないな。俺も約束の時間がギリギリだったために道だけ教えてきちゃったんだよな。あの子、緊張してたし案内までしてあげた方が良かったかも……

 

「忘れてたな。しずくはプライベートの約束で時間通りに来た事は無いんだよな」

 

 

俺は今、応接間でいつ来るか分からないしずくの事を待っている。本当にあいつは...時間通りに来させるように花男に後で言っておこう。

 

それにしても新入社員はやる気に満ち溢れている感じだったな。少し気弱な感じではあったけどやる気があればどうにかなるだろう。まあ、最初は叱られる事も多いし、嫌になる事も多いだろうけどそれを乗り越えてゲームの発売日になって並んでいる人達とかを見ると感極まって泣いてしまったり達成感に包まれたりする。

それを知るまで働いていれば辞める事はほとんどない。

 

 

 

あの子は何か分からないけど伸びそうな感じがする。勘とでも言うのだろうか。まあ、その勘も確かではないから分からないけど。

 

 

 

 

その後、考え事をしたり端末をいじって時間を潰していると誰かが廊下を走ってくる音が聞こえてきた。その音がどんどんこちらに近付いて来ていた。

 

やっと来たかと思い端末をポケットにしまい扉が開くのを待っていると......全然、予測しなかった人物が入ってきた。

 

 

 

 

その人物は椅子に座っている俺を見つけると……何故か顔を赤らめてその場に立ち止まってしまった。扉を開けて俺の方を見ながら固まっている...。

 

 

 

これは一体なんなんだ。

どんな状況だ。社員証を首から掛けているからこの会社の社員なのは確かだけど..何故、社員が俺を見て赤らめて固まってしまうのかは分からない。

 

 

その状況が3分ぐらい続き、本当にそろそろこの状況をどうにかして欲しいと思っていると聞き馴染みのある声が聞こえてきた。

 

 

「あ~あ..遅れてご....こんなところで何をやっているんだ?八神」

 

 

しずくもこんなところにこの人がいると思わなかったのか不思議そうに聞いている。

 

 

 

「葵。何かやったの?」

 

 

「いや、何もやっていない。その人は急にここに入ってくるなり俺を見て固まってしまったんだ。自分でも何でこの人が固まってるのか不思議なんだ」

 

 

それを聞いて少し考える素振りを見せたしずくは急ににやけだした。こいつがにやけると何か不気味な感じがしてならないのは昔と変わらないな。

 

 

「ああ~~そう言うことか。八神」

 

しずくはこれでもかと思うぐらい空気を体にため込み始めた。

 

 

 

「...ふぅ..キャラ班遅れてるぞ!」

 

普段のしずくの声とは比べ物にならない声が響き渡った。すると固まっていた人物は氷が解けたように動き出した。

 

 

 

「あ..すいません!すぐに完成させます」

 

 

「冗談だよ!八神がまるで動きそうにないから言っただけだ。それでなんで八神はこんなところにいるんだい?」

 

 

まるで何でここに来たのか分かっているのかのような笑みを浮かべながらしずくは八神と呼ばれている人に聞いている。

 

 

「...あ..葵さんに会いに

 

 

「何だって?」

 

しずくはどうやら聞こえているようだったが聞こえないふりをしながらもう一度聞いた。俺はしずくと違って遠いから本当に聞こえなかった。

 

 

葵さんに会いに来たんです......」

 

 

「何?」

 

 

 

 

 

 

 

だ・か・ら、葵さんに会いに来たんです!!

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