幻想今昔譚~the old stories 作:冬の大三角形
それでは、スタートは紅魔郷前から。最初なので多少短めですが、幻想今昔譚~the old storiesをどうぞお楽しみください!
平和
「幻想」の住まう不思議な土地、幻想郷。八雲紫により作り出され、今日まで世界と隔離されているもう1つの世界___その創立に大きく関わったもう1人の人物をご存知だろうか?
「なあ霊夢~、お前最近もてなしが雑じゃないか?韮茶って...」
「良いものあったら出してるわよ」
「それくらい買って来いよ、客人に対して礼儀がなってないぜ」
「毎日のように勝手に上がり込んでぐーたらしてるだけの何が客人よ...そもそもそんな立派なもの買う余裕が何処に」
「お前の腋の下」
バキィ!
「いってえ!?」
そんな平和(物理)な会話を眺め、改めて思う。平和だな、と。
ん?私か?ただのしがない妖怪、名は...はて、忘れてしまった。名前で呼ばれることなどほとんど無い。まあ、数万年...いや、数十万かも知れない。それほどの時を生きた者としては別に珍しくもないさ、紫なら覚えてくれているだろうか。
さて、そんな大雑把な私は結局何者なのか、それは私にも分からない。気づけば意識と体を持ち、荒野に突っ立っていた。訳が分からない。ただはっきりしているのは、生物学的に女だということだけ。子を生したことは無いが、身体的特徴は正に女性のソレである。後は...生まれて此の方容姿が変わっていないことくらいか。成長の概念は存在せず、当時から20代ほどの体を保っている。どう言う事やら。真実は神のみぞ知る...神様すら知っているのか危うい。閑話休題。
しっかし暇である。今のところ寿命の概念も無く、そもそも「死ぬ」という現象が起こるのかすら定かではない。試そうとは思わない。それ以前にその辺の野良程度ならちょっと指振れば
暇である。時間は有り余っているが、それの暇潰しが圧倒的に足りていない。悶え死ぬ。やばい私悶え死ぬ。そればっかりは勘弁していただきたいところだ。平和なのはいいことだが、少々刺激が無さ過ぎる。
「久しぶりに異変でも起こそうか...」
「そんな面倒なことは嫌よ、やめて頂戴」
「何だ、聞いていたのか」
「そんな物騒なワード、巫女の私が聞き逃すと思った?」
「思ってたな」
「あんたね...そもそも何なのよ、上がる訳でもなく用事がある訳でもなく...気持ち悪い」
「中々言ってくれるな、今すぐこの神社を吹っ飛ばすこともできるのに」
「そんなことしないでしょ」
「まあな。それとも試してみるか?」
「木っ端微塵にされたいのかしら?」
「やれるものならな」
「もう嫌だこいつ...」
ひたすらに平和である。こんな日には...何をすれば良いのだろうか。