「どうしようか...」
僕、
それもそのはず、家族との旅行で迷子になったからだ。
旅行先であり今僕がいるのはなんとロンドン。
そう、海外である!
海外に行ったことのない僕はその事に浮かれていた。
否、浮かれ過ぎた。
勝手にホテルから出て街を散策した結果が今の状況だ。
怒られてしまうと焦ってはいたが、状況は決して良くならない。
なぜなら、持っているものは財布のみだからだ。
頼みの綱であるスマホは、充電中ってどれだけ不運なんだと嘆く。
一旦休憩しようと、近くのカフェに入った。
英語はペラペラ話せる訳じゃないけれど、物を頼むくらいなら僕でもいけるはず。
ドアを開けると、空気が変わった。
そこは、昔ながらのオシャレなカフェだった。
紅茶の香りが店全体を包み、女性が弾く凛々しいヴァイオリンの音色が焦る僕を癒してくれる。
まるで違う時代のような場所だ。
僕は紅茶を頼み、定員さんに質問した。
「リッツ・ロンドンというホテルはどこにありますか?」
リッツ・ロンドンとはロンドンの有名なホテルだ。
ロンドンに住む人なら分かるだろうと自信があった。
これで帰れるだろうと思っていたが、
「ごめんなさい。その、私はリッツ・ロンドンという場所を知りませんし、ここの近くにはそのような建物もありません。」
僕は耳を疑った。
観光客だったら、この返答は分かる。
だが、もう一度聞いてもそんなホテルは知らないと言うばかりだ。
違う定員さんにも、カフェのマスターらしき人にも、客の人にも聞いた。
しかし、全員がその建物を知らなかった。
おかしい。何かがおかしい。
そこで僕はあることに気がついた。
僕以外の人の服装が街で見た人たちや僕が着ている服よりも、昔ながらの服に見えた。
しかも、誰1人としてスマホも持っていない。
ある可能性を想定してしまい、定員さんに必死で質問をした。
そして、予想は確信へと変わった。
分かった事はいくつもあるが大事なことは2つ。
1 ここはロンドンではなく、エルランドルという都市であること
2 今は西暦2020年ではなく、1970年であること
3 ここは地球じゃない
これは本格的にやばい。
道に迷ったとか、誘拐されたとか、そんなレベルじゃない。
もう一生家族や友達とは会えないのか...
そうして絶望していると、もう夜になったようだ。
仕方なく、宿屋でも探すため店を出ようとしてお金を払い、ドアを空けようとした。しかし女性の定員さんに、腕を握られた。
「何ですか、この紙切れは? その歳でこんなこと、犯罪にしても悪趣味ですよ。今回のことは見逃しますから、早く400ウェン払って下さい。」
ウェン??
はっ。
しまった。やっぱりここは地球じゃないのか。そうなると言語が通じるのはやはり謎だ。
いや、そんなことより貨幣だ。
おそらくウェンがエルランドルの貨幣なのだろう。これはまずい。お金があるから大丈夫と思っていたが、ポンドが使えないとなると無一文じゃないか!
しかも、僕は最低限の英語しか話せないからうまく状況を伝えられいだろう。
伝えられたところで信じてもらえないと思うけど。
あれ、これひょっとして詰んでる?
「あのー。払えないのですか? 払えないなら憲兵呼びますが、いいんですね!」
本当にピンチだ。何か言わないと...
「あのー。今お金持ってないんでこれを両替してください。」
僕は財布の中身ごと、定員さんに渡した。
「これは... ちょっと待ってて下さい。」
彼女は違う定員さんに事の経緯を話に行ったようだ。
危なかった。このまま順調に交渉すれば、さっきの紅茶を引いてもおつりがあるはずだ。
なんとかなるかもしれない。
おっと、さっきとは違う男の定員さんが来たようだ。
「この高級な財布を両替するのは構いません。見たところ、あなたは旅人ですよね? 明らかにこの国の人じゃない。困っているのなら、助けになりましょう。」
うーん。半分正解だけど、ここはそうしておいた方が楽に切り抜けられるな。
それにしてもこの財布を高級扱いするってここは現代でもないのか。
あと、すごく優しいわ。さっきの女性と比べるとめっちゃ安心。
「そうです。それとウェンについて、詳しく教えてくれませんか?」
「それくらいならいいですよ。立ちながらというのも疲れますし一旦座りましょう。」
よし!この流れで色々詳しく教えてもらおう。
結局、ここを出たのは午後10時頃だった。
まず、ウェンは大体日本の円と価値がそれほど変わらないことがわかった。そして親切な定員さんには地図も貰った上に、宿屋も教えてくれた。
うん、本当に親切すぎるな。しかも両替したら20万ウェルも得た。どうやら現代のブランドの財布はここだと、マジで高級品らしい。
なんか罪悪感出てきたわ。
今はとりあえずそこの宿屋に行くために、街を歩いているところだ。
灯台が多いおかげか、冬の夕方くらいの暗さだ。
星を見ると、やはりここが地球ではないことが分かった。
こうして街を見ると電線すら1本もなく、車もない。
どうりで空気が綺麗なわけだ。
そうして無事、宿屋にたどり着いた僕は異世界の1日目を終えた。
ヴァンパイアを出すタイミングが難しくて、次回に出せるか怪しいです。