鎮守府の不思議 ①《明石-工廠の謎空間》
第六話
鎮守府の不思議
その①《工廠内の隠し扉》
「ねえ提督、私が普段いる工廠に七不思議の一つが有るって知ってました?」
私が青葉とその手の話を集めていると知った明石が執務室へとやってきて話し始めた。
「初耳です……」
青葉も知らない様だった。
「明石さえ問題なければ、話を聞かせてくれ」
青葉がボイスレコーダーの準備をしていた。
「青葉いい?」
明石が青葉に確認した。
「オッケー」
青葉の返事を聞くと明石は話し始めた。
「それじゃはじめます、隠し部屋と思しき場所に気が付いたのは着任してからすぐの頃でした」
明石は一呼吸置くとまた話しだした。
「工廠の事務所と給湯室が2階にあって…そしてその直下は窓も扉も無い壁で囲われた空間という造りに疑問を感じた私は超音波探査装置で空間の内部を調査してみることにしました……結局其処には何も無い空間が有るだけでした……ですが不思議な事に窓や扉と思しき陰影が映し出されていたのでした」
私は明石の調査結果に疑問を感じた。
「……つまり元あった部屋の外周に囲いをして入れないようにしているという事か、だが誰が何の為に…」
「はい……ただ何故そんなようにしているのかは解りません」
明石も解らないようだった。
「昼から執務もないから、探索してみるか……」
私の提案に青葉と明石が同意した。
「そうですね、しましょう」
ーーーーーーーーーー工廠前ーーーー
「提督、こっちです」
私は明石に案内されて問題の場所にやって来た。
「ウ~ン、確かに事務所下は……」
私は工廠の内と外から観察した。
「明石の言う通りの、かなり広い部屋が隠されていてもおかしくない……というか隠されているのか」
私が辺りを探索していると夕張もやって来た。
「提督、やっぱり気になります?」
「まぁな」
私は、悩むのを止めると明石に指示を出した。
「明日、早朝より謎空間の外壁の撤去作業を開始する」
明石と夕張が明日からの準備の為に散っていった。
「青葉、何が出るか分からない……長門と陸奥に近接戦闘装備をさせておいてくれ」
私の追加指示に青葉も動いた。
「装備はM-4にマスターキーでいきます」
そして翌日…明石の用意した重機により外壁が剥がされた……。
「おいおい、かなり広い部屋だな」
私の言葉通り、窓ガラスに飛散防止のテープが貼られた埃の舞う部屋が姿を現した。
ただ問題はそこではなかった……床一面に散らばった深海棲艦の艤装の残骸と血痕に混じった何らかの液体だった。
「この匂いって…」
明石がその何かを見抜いた。
「この匂い……血と…精液?……」
そんな時だった、工廠長妖精がやってきた。
「見つけちまったのか……嬢ちゃん、提督、こうなったら全てを話す」
そう言うと工廠長妖精はポツリポツリと話し出した。
「何だと!」
私はその話の内容に驚いた。
「そんな事が!」
同様に明石、夕張、長門、陸奥も驚きを隠せなかった。
「深海棲艦捕虜の拷問……前任の提督はそんな事を」
そして工廠長妖精が続きを話し出した。
「…深海棲艦とはいえ若い女性だからな、最後は……」
私は工廠長妖精の話に納得がいった、早い話が性的な事を強要し、最後は何処かへ連れ去ったそうだ、そして全ての痕跡を封印した上で私や新しい艦娘達を配属させたのだった。
「深海棲艦の捕虜達のその後は……噂ではまだ生きているらしい、軍上層部のオモチャにされているらしいが…」
オモチャ……恐らくは今も性的な行為をさせられているのだろうが殺された訳では無いらしい事が救いだった。