「あれから何度メールしても返信は返ってこなくなった…の」
私は心配に押し潰された。
「嫌な予感がする」
長門が軍令部に問い合わせたが、何も教えてもらえなかった。
「あれから1週間何も…」
だが話は思わぬ所で動いていた。
「笠原提督は居るか?」
裏手の陸軍の基地司令が訪ねてきた。
「それが…1週間近く姿をみていません」
当然陸軍司令からは厳しく抗議された。
「何故だ!何故自分達の上官なのに…そんなに放置できるのだ!」
大淀が私の代わりに答えた。
「軍令部には直に報告をしましたが…何もするなと釘を差されて…その軍令部も動いていない感じでして」
それを聞いた陸軍司令が、
「そうか…それは済まなかった、だが軍令部は何か知っていそうだな…此方側でも調べみよう」
そう言って帰っていった。
「でも何故陸軍が?」
私の疑問が湧いてきた。
「確かに不思議ですね、いくら近くの部隊とはいえ」
ーーーー数日後、陸軍基地内ーーーー
「これより鎮守府隠し通路内の捜索を行う」
基地司令指揮のもと捜索部隊が極秘通路内に入っていった。
「総員警戒を怠るな!」
部隊は慎重に通路内を進んで行った。
「ん?この匂いは…まずい!総員防護面装着!」
先頭を進んでいた兵がガスマスクの装着を伝えた。
「硫化水素が発生しているのか!」
卵が腐ったような匂いが微かながら漂っていた。
「隊長!前方に人影!」
退避中に力尽きた笠原提督が倒れていた。
「救護班を!」
提督自室迄行っていた部隊が戻ってきた。
「硫化水素濃度700ppm!危険濃度です、ただ発生源は発見できず」
報告を受けた隊長が呟いた、
「一体誰が…」
幸い笠原提督は陸軍基地の医務室で意識を取り戻した。
「笠原提督どうかね」
陸軍基地司令が見舞った、
「助かりました」
「一体何があった」
「私にも…ただ卵の腐ったような臭気がしてきたと思ったら息が苦しくなって…」
「そうか…君の部屋には硫化水素が充満していた、私の部下が今除染作業をしている」
「ありがとうございます」
陸軍基地司令が話を続けた。
「一体何があった…いや誰が」
「実は…これを聞いてください」
笠原提督が音声データを再生させた。
「この声の主は?」
「はい、青葉と衣笠…の声に聞こえますが、口調から判断して鈴谷と熊野と思っています」
「そうか…」
陸軍基地司令が短く答えた。
「しかし1艦娘ができることか?」
基地司令の疑問はもっともだ。
「恐らくは設備員も絡んでいるかと…私の基地ですと工廠担当の明石か夕張…両方」
「君が意識を取り戻した事は暫くの間伏せておく、艦娘達の誰が敵で味方なのか分からないからな」
「そうですね」
笠原提督は疲れた様子で眠りに就いた。