「長門!憲兵隊からで…笠原提督が亡くなられたって!」
私は長門、提督が行方不明になってから代理を任されている。
「なんだと!そんな…だが…青葉が…いや…そんな」
私の思考は支離滅裂となった。
「でも青葉が逮捕連行されたのだから…」
陸奥も信じられないという顔をしていた。
「長門は居るか」
その時秘書艦娘執務室の扉が開かれ陸軍基地司令がやって来た。
「君達に話さないとならないことがある…放送設備を借りる」
それだけ言うと、大淀を見た、
「此方です」
大淀が機材を起動させるとマイクを司令に渡した。
「私は陸軍基地司令だ、本日は君達に知らせなければならないことがある…昨日笠原提督が硫化水素の中毒により死亡した、提督殺害の犯人として身柄を拘束中の青葉は即日軍法会議に掛けられ即時絞首刑判決が下され執行された…共犯者は現在捜査中だ」
それで言うと基地司令はマイクを大淀に返した。
「嘘だろ…嘘だと言ってくれ司令!」
私は陸軍基地司令に詰め寄った。
「基地司令、この部屋に盗聴器は有りません、及びこの階への艦娘立ち入りを規制しました」
いつの間にかいた川内が報告した。
「大淀、衣笠を呼んでくれ」
「はい」
程なくして衣笠がやって来た。
「お呼びですか?」
陸軍基地司令が着席を促した、
「長門、陸奥、大淀、衣笠…君達4人にだけに話すことがある…これから話すことは口外するな君達だけが知っていれば良い」
陸軍基地司令がそう前置きをした。
「了解だ」
代表して私が答えた。
「笠原提督死亡はブラフだ…当然青葉の絞首刑執行もな…この川内は大本営諜報部の艦娘であり今回の笠原提督暗殺事件の内調を神通と行ってもらっている」
陸軍基地司令は大淀が出したお茶を少し飲むとまた話しを続けた。
「笠原提督と私の推測だが…犯人は口調から判断して鈴谷と熊野…それともう一人設備系の人物が加担しているとみている」
私は陸軍基地司令の話には覚えがあった…何故なら行方不明になる前に提督から会話の録音データを聞かされていた…勿論声は青葉と衣笠だったが、喋り方や口癖は間違いなく鈴谷と熊野だったからだ。
「たがしかし…どうやって自白させるのか」
私は疑問を口にした。
「そこでだ、衣笠も逮捕し軍法会議絞首刑のデマを流し様子をみることにする、普通の神経なら無実の仲間が2人絞首刑になるのだから動揺し始めてボロを出すだろう」
陸軍基地司令の計画を聞いた私は、少し乱暴な気がした、
「長門君の言いたいことはわかるよ、乱暴だと言いたいのだろ…」
どうやら基地司令は私の気持ちを理解していたようだ。
「この事は笠原提督と決めた事だからな…彼も苦渋の決断だったよ…まさか味方からされるとは思ってなかっただからな」
そうしてこの日のうちに衣笠が憲兵に逮捕拘束されていった…そしてその日の夜には軍法会議が開廷し絞首刑が即時執行されたという話が全員に伝えられた。
「陸奥…これで良かったのだろうか…」
「どうかしらね…」
翌朝…誰が見ても動揺し挙動不審となった鈴谷と熊野がいた。
「お前達、どうした?」
声をかける度にビクつき怯えた表情を此方には向けていた。
「なっ…なっ…なんでもないし」
鈴谷は強がってはいるが明らかに動揺しているのが見て取れた。
「それじゃ鈴谷用あるし」
鈴谷が足早に去っていった。
「長門さん…お話しがあります」
昼過ぎ夕張が部屋にやって来ると深刻そうな顔をしていた。
「どうした?」
夕張が決心すると口を開いた、
「提督の部屋に硫化水素を撒いたのは結果的に私です」
「どういう事だ?」
「あの日、シェルタールームの空調設備室の鍵を紛失していました…その後見つかったのですが…多分それが原因なんです」
夕張は其処まで話すと泣き出した。
「心配するなお前も被害者だ…」
聞けば鍵には何処の鍵なのか名前が記載されていたらしい。
「失くなっていたのはどれくらいの時間だ?」
「半日くらいでした…直に明石に話して2人で探しても無くって…そしたら夕方いつの間にか鍵保管棚に戻ってきていました」
「わかった…報告ありがとう、だが夕張気に病むな、お前のせいではない、明石にも言っておけ」
「はい」
夕張が退室していった、来た時よりは幾分マシな顔色にはなっていた。