〇〇鎮守府士官候補生暴行事件 ①
「東雲警部、私の部屋まで来てくれ」
日頃この豊洲分庁舎に居ることの無い猿渡警視から呼び出された。
「東雲、参りました」
俺は扉をノックすると室内に入った。
「わざわざ呼び出して済まない、この書類を見てくれ」
猿渡警視は機密と書かれた書類の束を俺によこした。
「…………これは!」
内容は酷いものだった。
「この鎮守府に過去に16人士官候補生を配属させたのだが、その全てが辞めてしまった」
猿渡警視が補足した。
「全員が?どう云う事ですか」
「私にも解らん、皆口を閉ざしているか、この世におらんから……」
俺は少し考えると、
「わかりました、部下を事前に配属させます、その後に自分も名前と素性を隠して候補生として着任します」
「潜入捜査しかないか…」
警視もまた同じ考えに至った。
「書類はこちらで用意しよう、話は以上だ」
俺は猿渡警視の部屋を出た。
「さてと…」
俺は自分の部屋に戻ると、明石、青葉、衣笠、天龍、龍田の5人を呼び出した。
「明石以下7名集合しました」
「任務だ」
俺は全員にその鎮守府について説明した。
「……鎮守府についてだが、過去に16人の士官候補生が辞めている…理由は誰も語らないそうだ」
俺はここまで話すと、明石を見た。
「士官候補生の医療記録を取り寄せました、それによりますと体中に痣や打撲痕、軽い骨折の跡が確認されています…それと内8名が自ら命を……」
明石が現在迄に分かったことを説明した。
「俺は明日から生存して居る士官候補生とそれ以外の家族から事情聴取を行う、その後に鎮守府に新任の士官候補生として身分を隠して着任する、君達は指定日迄に対象鎮守府の該当艦娘の身柄を拘束し入れ替わる様に」
明石達は敬礼すると部屋から出ていった。
俺はすぐに遺族や士官候補生本人に事情聴取を始めた。
俺が軍特捜部から調査の為に来たと言うと、事実を語りだしてくれた。
「提督については何故か皆一様に良い人か……何か引っ掛かるな、後の為にと書類仕事も手伝わせていた……ほぼ深夜までか徹夜は当たり前……極めつけは艦娘達からの暴行……秘書艦娘ならば何か知っている可能性あるな……」
俺は事情聴取から得た情報を明石達にも話した。
「その提督、執務を士官候補生に丸投げしてるみたいね…秘書艦娘を早急に押さえる〜?」
龍田が確認してきた。
「まだだ、今は泳がせておけ」
そして、二週間後。
「お世話になります、士官候補生 立脇です」
俺は警部の身分隠して鎮守府へと着任の報告を行った。
「頑張り給え、後の事は秘書艦から聞くように」
それだけいうと提督は私室に消えた。
「そ、それではこちらへ」
秘書艦の羽黒が何かに怯えるような挙動をしながら案内をした。
《……やはり秘書艦も何か知っているな》
俺は暫く様子を見る事にした。
《証言によると、艦娘からの暴行や嫌がらせはだいたい2日ないしは3日後位から始まるみたいだし》
俺は提督の出方を見守ることにした。
タイトルと設定を変更しています。
階級は軍のものではなく警察官に準じたものとなっています。
ですので上官は猿渡警視、主人公
東雲特務大尉から東雲警部、明石は警部補、その他艦娘は巡査部長、一般隊員は巡査とします。