「隊長………」
明石と夕張がやってきた。
「何か解ったか」
俺は二人に聞いた、
「先ず此処を見てください、一階の階段室なのですが不自然な造りになっています」
そう言うと、明石が現場写真を示した。
「本来なら一階で終わっている場合、踊り場はこうなりますが、この施設のそれは明らかに地下が有るような造りです、それと此処の部分は図面との相違がありました」
「此処の司令に聞いてみるか、神通呼んできてくれ」
俺は神通に司令を呼ぶように指示した。
「了解です」
神通が部屋から出ていくと、程なくして司令を連れて戻って来た。
「何か分かりましたか?」
「はい、司令この図面と写真を確認してください」
俺は明石に先程の階段室の件を説明させた。
「隠し階段があるということですか!」
司令は驚きを隠せなかった。
「現地調査の結果にもよりますが、何らかの地下施設があると考えられます、また何か分かりましたらお呼びしますので執務室にて待機していてください」
「そんな………わかりました」
司令が退席すると、夕張が寄ってきた。
「隊長、階段室の件ですが…地中探査装置での探査の結果、この基地敷地外迄地下通路が延びています、現在ドローンに探査装置を取り付けて出口の捜索を行っています」
俺は夕張からの報告を聞くと、
「外部からの侵入…誘拐事件なのか」
俺は考えを口にした。
「あとはその隠し通路使っての脱走…ただ此処の司令の業務を見る限りだと艦娘に対する不当な扱いは無いようなので………」
「阿賀野と矢矧の性格から考えても脱走は考えにくいな…」
「確かに………やはり誘拐」
俺と夕張、神通が等と考えていると、
「隊長、隠し階段の入口及び、地下通路の出口を見つけました」
現地調査をしていた明石が戻って来た。
「見つけたか!」
俺は、直ぐに全員を集めると、
「これより地下通路の探査に向かう、先鋒は川内、神通、本隊は明石、夕張とし後衛は天龍、龍田とする、青葉は俺と本隊と同行、衣笠は間宮と此処に残り通信を担当以上!」
「了解!」
全員が速やかに行動を起こした。
俺は基地司令に現時点で判明していることを総て説明すると、通信指揮車での待機を伝えた。
「わかりました、阿賀野と矢矧をお願いします………」
司令が力なく応じた。
「隊長、こちらです」
明石が階段室の壁の一部を押し込んだ。
「そんな所に隠しスイッチがあったのか」
明石がスイッチを押すと、床の一部が開いた。
「川内………」
「了解」
川内と神通が警戒しながら階段を降りた。
「クリアー」
俺達は川内達に続いて地下通路へと降りた。
「隊長、ゴルフカートがあります」
「使わせてもらうか、全員搭乗!」
俺達は数台あるゴルフカートから3台を選ぶと装備を載せて地下通路を進むことにした。
「敷地外迄延びているので距離があるので置いてあったのでしょう」
明石がタブレットに地図を表示させて地下通路の詳細地図を作製しながらそう言った。
「隊長そろそろ出口です」
先頭の神通から報告が入った。
「各員警戒を怠るな」
俺達はゴルフカートから降りると、地上へとむかうてあろう階段を駆け上がった。
「室内に人の気配は有りません」
サーマルサイトを付けたMP7A1を構えた川内から報告があった。
「警戒を怠るな、突入」
神通がそっと扉を開き室内へと侵入した。
「ルームクリア………阿賀野型の制服を発見、状況から無理矢理着替えさせられた可能性大」
川内から報告が入った。
「隊長、こちらに接近する車両あり!」
ドローンを操作する夕張が声をあげた、
「2階に!」
俺達は2階にある事務室と思しき小部屋に身を隠した。
「あれは!」
倉庫の扉が開くと1台のワゴン車が入ってきた。
「次は駆逐艦だってよ、如月、文月、初霜の3人だそうだ」
車から降りた男が部下に指示を出していた。
「隊長、車内にあと2名の熱源あり、車外と合わせて5名」
「5名か、川内、車内にスタングレネード、天龍達は車外の3名を確保!」
「了解」
俺が指示を出すと、川内がワゴン車の車内にスタングレネードを投げ込んだ。
大音響と閃光が車内を襲った。
「なんだ!」
車外の3人が振り向くより早く俺と天龍と龍田が制圧した。
「とっとと歩け!」
5人を拘束すると2階の小部屋に連行した。
「隊長、全捜査員こちらに向かってます」
「了解した」
俺はMP7A1を構えると、リーダーであろう男に近付いた。
「阿賀野と矢矧を何処へ連れて行った」
「知るかよ」
あくまでも反抗的な態度のリーダー格の男に、俺は銃床で殴り付けた。
「もう一度聞く………」
「………」
「明石」
「了解です」
明石が注射器を手に戻って来た、
「やめてくれ、答えるから………」
リーダー格の男は注射器を見ると怯えるように答え始めた。
「代議士の星谷に売った………」
俺は直ぐに猿渡警視に星谷代議士宅への家宅捜索令状を請求した。
「隊長、家宅捜索令状出ました」
夕張が近隣の裁判所に受領に向かった。
「さて、貴様らにはこれから家宅捜索令状が届くまでの間に色々喋ってもらおうか」
K警備基地は今の司令になる前から、艦娘の行方不明事案が度々発生していて、星谷代議士が総て絡んでいることが判明した。
「成る程、貴様らが総て攫ってきたと………全部で6名、阿賀野、矢矧、浜風、潮、愛宕、高雄で間違いないな」
「はい、間違いまりません」
リーダー格の男が素直に認めた。
「隊長、間違い無いようです、過去の行方不明事件と合致します」
無線で間宮が報告してきた。
「隊長戻りました」
夕張が家宅捜索令状を手に戻って来た。
「それでは、これより星谷代議士宅への家宅捜索を開始する」
実行犯5名を憲兵に引き渡すと、俺達は憲兵の用意した車両で星谷代議士宅へと向かった。
「特捜だっ!全員その場を動くな!」
俺は家宅捜索令状を提示すると星谷代議士宅へと突入した。
「なにごとじゃ!」
でっぷりとした70歳近い男が殆ど裸で出てきた。
「代議士まずは服を着てこい」
俺達は代議士の静止を振り切ると邸宅内の家宅捜索を開始した。
「隊長、阿賀野発見!」
俺は天龍の報告に現場へと向かった、そこには全裸で首輪をつけられた阿賀野がいた。
俺は龍田が持ってきたバスタオルを掛けると、
「阿賀野確保!」
無線で全員に伝えた、その後も行方不明艦娘の確保の報告が次々と入った。
「全員………全裸に首輪とは、悪趣味以外何物でもないな」
俺はそうつぶやくと、明石からの報告を待った。
「隊長、全員から違法薬物の反応と…阿賀野、矢矧を除く全員から…その複数からされたであろうレイプ反応がありました」
俺は明石の検査報告書を付けて憲兵隊に星谷代議士と邸宅内いた全員も同様に取調べ後引き渡した。
「胸糞悪い終わり方だったな………薬で自由を奪ってから複数でレイプしてそれをネタに脅していたとは………」
「ドッグに入れば体の傷は消えますが………心までは」
明石と夕張が目を伏せた。
「そういえば阿賀野と矢矧は?」
「カウンセリングと治療の後原隊復帰するそうです」
「そうか………」
「その矢矧はあそこの警備基地司令の婚約者だそうです………」
俺はその話を聞くと…あの司令に何処まで話すか頭を悩ませた、ただ救いだったのは阿賀野と矢矧はまだ薬物だけで済んでいた事だった。
「総員、撤収!」
俺達は警備基地へと戻ることにした。
「司令、阿賀野と矢矧の身柄を確保しました…こちらが報告書です」
俺は一連の事件内容を纏めた報告書を司令に手渡した。
「ありがとうございます」
司令は報告書を受け取ると読み始めた。
「あの代議士が…」
司令の目に怒りの色が出ていた。
「過去にもやっていたようで、拷問の付録付きで今頃は憲兵の取り調べを受けているでしょう」
司令が報告書を最後まで読むと、
「阿賀野と矢矧は薬だけで済んでいましたか…よかった」
司令の目に光るものがあった。
「それでは、我々はこれで」
俺達は豊洲分庁舎への帰路に着いた。
後に憲兵から回ってきた報告書に星谷代議士はあの6名以外にも多数の艦娘誘拐事件に関与していたらしく、死刑宣告がされたそうだ、勿論あの時に邸宅内にいた全員も関与していたので………同様に死刑となった。
「ふぅ………」
俺は、報告書を机に投げ出すと、溜息をついた。
特捜 東雲警部班で使用される火器について。
個人装備
H&k MP7A1(4.6☓30mm)サプレッサー、スコープ、40発マガジン
H&K HK53(5.56x45mm NATO)前衛の神通と川内、天龍、龍田のみ試験的に装備。
分隊装備
M249PARA(5.56x45mm NATO)
M14EBR-R(I7.62x51mm NATO)
※分隊装備については殆ど使用することはなく個人装備のMP7A1を2丁持ち及びH&K HK53で対応する事が殆ど。