艦これ《思い付くままに……》   作:屋根裏散歩

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艦娘寮の怪

 

 

「なぁ、提督……なんだ……その…」

 

いつになく天龍の歯切れが悪かった。

 

「なんだよ、天龍何が言いたい?」

「天龍ちゃん、館内巡視怖いのよね」

 

龍田があっさりとばらしてしまった、執務室には私と大淀、青葉しか居なかった為、駆逐艦達に聞かれることはなく天龍のメンツはなんとか首の皮一枚で保たれた。

 

「何が怖いんだよ」

 

私は、天龍に聞いてみた。

 

「……笑うなよ…何か……他の階と違う気配がすんだよ」

 

その場にいた天龍以外の全員が固まった。

 

「違う気配……?」

「何ていうか……其処の階だけ時間の進みが遅いっていうか」

 

天龍が俯きながら歯切れの悪い状態で話していた。

 

「時間の進みが遅い?どういうことだ、天龍その話をもう少し詳しく」

 

私の問に天龍がポツリポツリと答えだした。

 

「寮の5階なんだけどよ……4階から5階に上がるエレベーターも階段も何か変な感じなんだよ……その間だけ倍の時間が掛かるっていうか……」

 

天龍から話を聞いて調査する必要を私は感じた。

 

「倍の時間が掛かるって何かおかしくないですか……調査してみる必要があるかと、提督1度確認しほうが」

 

青葉が天龍達の巡視に同行する事を提案した。

 

「提督頼むよ……」

「分かった、今晩の巡視に同行しよう」

 

私が同行すると聞いても天龍にとっては怖いらしい。

 

ーーーー《同日二十二時》ーーーー

 

「それじゃ、先ずはエレベーターで4階から5階に上がるぜ」

 

私と青葉は各階への上昇に掛かる時間を計っていた。

 

「確かに天龍の言う通り、ほぼ倍の時間が掛かる……階段も一階分余計だったしな……隠し部屋ならぬ隠し階でもあるのか」

 

この予感は後日現実の物となるのだった。

 

 

ーーーー《翌日》ーーーー

 

私は天龍との巡視の結果について明石に相談した。

 

「つまり、本来の5階が隠されていると??」

「ああそうとしか考えられない」

 

明石は計測結果を見て首を傾げていた。

 

「誰が何の為に……確かに寮の高さから見ても一階分合わないのは確かですが……」

 

私はある手段を取ることにした。

 

「明石、全エレベーターを4階で停止後にエレベーターの電源を落としてくれ」

「わかりました、何をするつもりですか?」

「籠内の点検口から本来の5階に上がる」

 

明石がその手があったと云う顔をしていた。

その後は明石が手早く準備を始めた。

 

「提督、全エレベーター4階での停止を確認、これより電源を落とします」

 

明石による寮内へのエレベーター使用禁止の放送が流れ、エレベーターの電源が落とされた。

 

「提督、必要なものはこのバッグに入れておきました」

 

私は明石からそれを受け取ると、籠内の点検口から籠の天井によじ登った。

明石と長門が私に続いて登ってきた。

 

「それじゃ開くぞ」

 

私は五と書かれたホール側の扉を開いた。

 

「空調は効いているのか……」

 

長い間封鎖されていた割にはかび臭くなかった。

 

「しかし一体全体何の為に……」

 

長門が周囲を確認しながら聞いてきた。

 

「わからん……しかしこの大量の木箱は一体、取り敢えず開けてみるか」

 

私は手近にあったバール(何故あるのかはこのとき誰も気にしていなかった)で蓋をこじ開けた。

 

「嘘だろ……」

「!」 

「何よ!これ」

 

木箱の中身は金塊と現金……そして各種資材だった。

 

「そういうことか…ここは前任者の不正の証拠部屋……確かに寮内は男子禁制で部外者は入れないからな、隠すにはもってこいという訳か」

 

その後の明石の調査で、隠された地下2階のエレベーターホールと搬入用出入り口が発見された。

 

「それと、天龍が感じた違和感は空調操作で気圧を変化させていた様です」

「やれやれ、幽霊の正体見たり枯尾花……か」

 

天龍も調査結果を聞いて安堵していた。

 

「チゲぇよ、怖くねぇし……」

 

強がってはいたが。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー《心霊ver》ーーーーーーーーーー

 

「ここが問題の本来の5階…それじゃ開けるぞ」

 

私はホール側の扉を開いた。

 

「何だ普通のエレベーターホールじゃないか」

 

長門がやれやれといった感じで壁に寄りかかった。

 

「提督、隠し扉です」

 

明石が既に開けていた。

 

私はその中を覗いた。

 

「何だこの臭いと温度は!」

 

その部屋は異常なまでの低温となんとも言えない何かが腐った様な臭いを放っていた。

 

「この壁一面の扉は…」

 

長門がそう言いながら扉の一つを開いた。   

 

「!」

 

其処には白い袋状の物が入れられていた。

 

「……死体袋」

 

明石がボソリと呟いた。

私は扉を注意深く確認した。

 

「ヲ級 第○号……どういう事だ?」  

 

私は首を傾げた。

 

「提督、こっちはタ級○号とあるぞ!」 

 

長門もまた首を傾げていた。

 

「……」

 

明石が何かを考えているのか黙ったままだった。

 

「しかし遺体の損傷が酷いな」

 

私は遺体袋の一つを開いて中身を確認していた。

 

「提督、ここにある遺体は……その言い難いのですが性的な暴行を受けた形跡が見受けられます」

 

明石がここに来て検視結果を語った。

 

「……このままこの階は封印する、尚寮については新たに建設とする」 

 

数日後、妖精達が突貫工事で寮を新築した。

 

「明石、全員の引っ越しが完了次第、5階にある遺体を極秘裏に搬出する、その後は丁重に弔ってやろう」

 

 

結果、彼女たちは自分達の存在を知らせたくて色々とやっていたみたいだ(天龍以外は、残念ながら気が付かなかったようだ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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