「提督よ、鎮守府入り口の石碑について知っていたら教えてくれ」
長門が何やら血相を変えて執務室にやってくるなり開口一番に聞いてきた。
「入り口の石碑…ああっあれか」
私はすぐに解った。
「長門、あれなんだと思う?」
隣の陸奥がクスクスと笑っていた。
「なにかの記念碑か?」
丁度執務室に戻ってきた大淀が空気を読まずにネタバラシをしてしまった。
「長門さん、あれ……記念碑じゃなくて慰霊碑ですけど」
大淀の何気ない一言が長門を恐怖のどん底に叩き落とした。
「慰霊碑…だと!」
長門の顔色が段々青ざめていった。
「この鎮守府を造る時にな…正門から工廠にかけての地下から大量の人骨とか刀、鎧兜が出てきたんだ…地元の人もこの地の謂われとかはなにもない筈と首を傾げていたんだよ、まぁ兎に角人骨が出てきたからにはと慰霊碑を建てたという次第さ」
長門は耳を塞いで聞きたくない聞きたくないとうずくまって呟いていた、いつも凛とした長門がこの時は凄く可愛く見えた。
ーーーー数日後ーーーー
私は長門に巻き込まれそれを見る羽目になってしまったのだった。
其れはある日付が替わって少し経った日の事だった。
「提督、済まない工廠に忘れ物をしてしまった……取りに行くの付き合って欲しい……」
長門が執務室にやってきた、聞くと艤装をメンテしていてその際に工廠にスマホを忘れて来たので回収に行くから一緒に行って欲しいらしい。
「仕方ないな、あの話聞いたあとだからな」
長門は「ぴゃ!」とかかわいい悲鳴をあげた。
「へー長門、なんかかわいい声出さなかった」
無言で長門からつねられた、のだがその手は心なしか震えていて私から離れなかった。
「夜の工廠は確かに怖いからな…」
そりぁ、照明はついていても無人の自動搬送装置だけが動いている工廠は誰だって怖い…と思う。
「うん、もうこんな時間か」
私は腕時計を見た、時計は2時を少し過ぎた時間を指し示していた。
「長門、スマホ何処に忘れたんだよ」
「艤装分解整備室だ」
私はその場所を聞くと少し何かを感じた。
『艤装分解整備室』扉にそう書かれた部屋の前に到着した、丁度その時だった。
「自動搬送装置か」
床にはられた銀色のテープの上を其れは色々な部品を載せたカートを牽引しながら走行してきた。
そして私達の手前で止まると警告音を発した、あたかも障害物を検知したかの様に。
その次の瞬間、押しボタン式の艤装分解整備室の自動ドアが私も長門も触れていないのに勝手に開いたのだった、勿論私は立場上逃げるわけにも行かず内部点検をすることにした。
「と、と、兎に角だ、室内点検は異常はなかった…ほら長門のスマホ…」
私と長門は何も喋らずにスマホを何とか回収するとその場から逃げ出した。
翌日、私は明石に聞いてみた所、明石や夕張達工廠関係者は以前から知っていて深夜の工廠には近付かないようにしていたそうだ……とはいえ誰も実体と云うか霊体は見ていないそうだ…見たくないぞ!