「やっと……やっと終わった」
長く続いた深海棲艦との戦争はようやく終結を迎えた。
「扶桑、私と結婚してほしい」
私は仮カッコではあるが結婚した扶桑に本当の意味での結婚を申し込んだ。
「勿論です、私なんかで宜しければ」
扶桑が結婚を承諾してもらえた、残るは妹の山城の説得だ。
「私は扶桑姉さまが良いといえば問題ありません」
私は肩透かしを食らった気がしたが兎も角婚姻届けを役所に提出した。
「さてと、これで本当の夫婦となり、山城は義妹になった訳だが…これからもよろしく」
何だかしまらない挨拶を交わすと、私は先祖から受け継いだ郊外にある家へと向った。
「あなた、3人で住める程広いのですか」
扶桑が家の事を聞いてきた。
「ああ、八畳間だけでも十部屋、四畳半に至っては七部屋もあるからな…広すぎて掃除が大変だよ」
等と家の事を話しているうちに私達は郊外の家に着いた。
「……」
山城があまりの大きさの家に言葉を失っていた。
「先に言っておくな、開かずの間や夜中に変な音何て事は一切ないから期待するなよ」
私は少しだけ茶化した。
「当たり前です、お兄様」
そうこの時迄は唯の冗談話で済んでいたのだ…
この祖先由来の家の改築工事中に借りる事となる家に問題があったのだった。
その日私と扶桑は半年間の仮住まいを探して不動産屋をまわっていた。
「なかなかないな…家財道具はレンタル倉庫でなんとかなるが」
そんな不動産巡りをしていたある日の事だった。
「この家良くないですか」
やましが一軒の家を見つけてきた。
『最寄り駅迄徒歩5分、敷金礼金無し、5LDK、リフォーム済み、家賃4万円』
私は何か引っかかるものがあったが、他に無かったのでこの家の内覧をする事にした。
「こちらが鍵で御座います」
不動産屋から鍵を受け取るとその家へと向った。
「まだ新しい家じゃないか!」
私の眼の前に建つ家はまだ築2年ないし3年の物件だった。
「あなた……私……この家…何か…わたくしは入りたくありません…」
扶桑が何かの気配を感じたようだった。
「そうか、私には何も感じないが」
そうこの時までは私も気楽に考えていたのだった、そして現実は家に入り2階に上がった瞬間に姿を現した。
「何だ……2階だけやけに…暗い…それに寒いな」
そう窓から陽の光は入って来ているのだが、何というか底冷えが堪らない感じなのだ。
「おっおっお兄様、これは」
山城が扉の影に盛り塩を見つけてしまった。
「この家何かあるぞ、すぐに出よう」
私達はすぐに家を出ると、その足で不動産屋を訪ねた。
「あの家について何か隠してないか!」
私は家の中で撮影したあの盛り塩の写真を不動産屋に突き付けた。
「何でしょうな、あの家が瑕疵物件とでも言うのですかな、言い掛かりですぞ!」
不動産屋は頑として認めなかった。
私は扶桑と山城をビジネスホテルに泊まらせると、あの家へと一旦戻った。
「何が何でも証拠を!」
私は2階の上がり口や風呂場等に定点カメラを設置すると庭先に停めた車へと向った。
「あんた、この家に越してきたんかい」
隣の住人と思しきご老人が声を掛けてきた。
「内覧しただけですが……」
「そうか、ここはやめたほうがええぞ、この家はの…住んだ人間に不幸が訪れる呪われた家じゃ…」
私はご老人の忠告を受け入れ、扶桑達が泊まるビジネスホテルへと戻る事にした。
そして翌日、家の各所に設置したカメラを回収すると、画像を確認することにした。
「この家は……」
私は背筋が寒くなり映像を途中で観ることを辞めた。
そして、その映像を不動産屋に突き付けた。
「これでもシラをきるつもりか!」
不動産屋もその映像を初めて見た様子でガタガタと震えていた。
「この事はどうかご内密に…その代わり此方で最高の物件をご提供いたします」
そう言うと、不動産屋は恐らくはタワマンの一室を提供してきた。
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結局あの家で何があったのか、私があのご老人から聞いたのは、不動産屋が無理やり墓を潰して宅地とした為にその地に眠る御霊が怒り出てきたのだという事だった。
私が感じたのは2階だけであったが、実際は家中至る所で霊障が起きていたそうだ。