艦これ《思い付くままに……》   作:屋根裏散歩

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初任地…某警備基地
初異動…警備基地近郊の鎮守府
現在…今の鎮守府(隣県にある鎮守府)
夕張は総て提督と一緒に異動しています(提督に永久就職の約束済み)



事故物件…曰く付きの場所

「私が最初に配属勤務していた警備基地での話だが」

 

私は最初の勤務地で起きた、あの話を青葉に話すことにした。

 

「提督から記事の匂いが!」

 

青葉が喰い付いた。

 

「提督どうぞ」

 

大淀がお茶とお茶菓子を用意すると青葉の隣に座った。

 

「あれは私が提督になって直ぐの初任地での話だ…もう8年前になるかな…今でも其処は現役の警備基地なので詳しい場所の表現は避けるが…」

 

私はあの時の事を思い出すように、少し間を置いた。

 

「提督としての研修が終わって直ぐに私はとある警備基地の隊長として着任が決まって…浮かれていたある日の事だった…軍令部で再会した同期から不穏な話を聞かされたんだ、お前の行く警備基地は曰く付き物件だぞとか事故物件だぞとかな、その時は気にもしていなかったんだが…あれは今でも詳しく聞いておけば良かったと後悔している」

 

私は其処まで話すと、お茶に手を付けた。

 

「で、で何があったんですか?」

 

青葉が興味津々で聞いてきた。

 

「その警備基地はとある打ち捨てられた漁港の片隅にあったのだが…着任早々に近隣住民からも、彼処は出るとか色々言われて…出会う市民達から同じ事を言われてな、気になったので調べたら、某事故物件サイトにしっかりと記載されていて、過去に大量に死者を出した事故現場に建てられたらしくて…」

 

私はまたお茶を一口飲むと、少し間を置いた。

 

「兎に角命令が出ている以上、私には着任するしか選択肢はなくて、基地に足を踏み入れたのだが………」

「でどうなったのですか?」

 

大淀も気になるらしく、話の続きを急かしてきた。

 

「事前に受け取っていた資料では艦娘が14名配属となっていたのだが、人っ子一人居なかったんだ」

「どういう事です?」

 

青葉が疑問を口にした、

 

「不思議に思いながら、私は執務室があるプレハブの中に入ったのだが…室内は綺麗なのだが、人がいる気配がしなくてな…なんというか重苦しい空気感が漂ってきたんだ、一通りプレハブ内を見て廻って、居住用のプレハブをみることにしたのだが…」

 

私は一呼吸置くと、お茶を飲んだ。

 

「なんというか…」

 

青葉と大淀が互いに顔を見合わせていた。

 

「居住用のプレハブは隣にあったのだが…こっちは清掃がされていないと言うか、放置されていると言ったほうが正解な感じだった、私は2階建て2棟総ての部屋を見たのだが何もない空き部屋だった、荷物も何もなくてな14名の生活感が全く無かったのだ」

 

「えっ?!」

 

青葉と大淀見事にハモった。

 

「私は兎も角、一度司令部に相談しようと携帯を取り出した時に、吹雪が外を歩いているのに気がついたのだ…」

「ゴク…」

 

青葉が唾を飲み込む音がした。

 

「吹雪の話では日中の業務時間内は全員工廠事務所に詰めていて、夜間時間外は近隣のアパートに部屋を借りているとの事だった………私の部屋は事務所棟の一番奥にあるので大丈夫だと吹雪が言っていたが」

 

その晩は仕方なく充てがわれた部屋に泊まることにした、

 

「何故宿舎があるのに外に部屋を借りるなんて事してるんだ?」

 

私は吹雪にその事を聞いた。

 

「司令官…夜になれば解ります、出来れば…いえ夜間は絶対に部屋からでないでください…出来れば司令官も外に部屋を借りたほうが身の為ですけど…」

 

 

吹雪が特に夜間の部屋からの外出を意味ありげに止めた。

 

「皆さん揃ったので紹介します『千歳』『隼鷹』『青葉』『衣笠』『川内』『神通』『夕張』『大淀』『白雪』『初雪』『深雪』『浦波』『磯波』それと私『吹雪』の14名です」

 

その日の業務は漁港周辺海域のパトロールだったので、18時迄には総て完了し、吹雪達は街にある自分達の家へと帰っていった為に私は1人残される形となった。

 

「いったいなにが…」

 

私は気になり、まだ夕方だから大丈夫だろうと高を括って外に出ようと扉に手をかけた時計も見ずに………。

 

「あれは………!!」

 

私が扉のガラス越しに見たそれは、葬送行列とでも言うべきなのか的確な表現が思いつかないが、水を滴らせた不気味な集団がこちらへと向かってくるのが見えてしまった。

 

「!!」

 

私は驚きと恐怖のあまり、扉から離れるれ自室へと逃げ込んだ。

 

「あれは何だ!まだ夜になってないぞ」

 

と私は震えながら壁掛け時計を見たのだが…いつの間にか20時だった。

 

「しまった…先に時間を確認すれば…」

 

後悔先に立たずだった。

 

『ガタガタ…ガチャガチャ』

 

何者かが私の私室の扉を開けようとドアノブを回していたが、何故か扉は開かず入ってこれないようだった。

 

『見えるの…ねぇ見えるんでしょ…この扉開けてよ』

 

それはとてつもなく冷たい声色だった。

 

『無視しないでさぁ…』

 

私は布団に包まり朝を待つしかなかった。

そして…辺りがあかるくなり声も聞こえなくなった。

 

「助かった…のか?」

 

私は先ず時計を確認し朝の7時である事を確認すると、扉を少しだけ開いた。

 

「ふぅ…何も居ないな」

 

私は隙間から確認すると部屋から出ることにした。

 

「なっ…」

 

何故か私の部屋の前の床が水浸しになっていた。

 

「司令官おはよ…」

 

丁度吹雪がやってきて、床を見ると声を詰まらせた。

 

「司令官あれほど部屋から出ないでと言いましたよね」

 

吹雪が声を荒げて詰め寄ってきた。

 

「済まない…時間を確認していなかった…扉のガラス越しに見てしまったのだ…そしたら…」

 

私の説明を聞いた吹雪がやれやれという顔をすると、

 

「司令官、アレを見てしまったのなら今日から外に住んでください、じゃないとアレに連れて行かれます…前任の司令官の様に…」

 

吹雪が前任の事を口にした。

 

「念の為にビジネスホテルの手配をしておきました、今夜からそちらに泊まってください、経費で落ちますから」

 

いつの間にかやってきた大淀がそう告げた。

 

「しかし…アレは一体…」

 

私は昨晩のアレを思い出すと少し震えた。

 

「わかりません…多分過去に起きた事故の犠牲者ではないかと…」

 

吹雪もそこで黙ってしまった。

 

「とは言え…外に家は無駄だな、ゲート脇の建物はどうなんだ?」

 

私はゲート脇にある2階建ての建物の事を吹雪に聞いた。

 

「あの建物は警備室で今は使われていません…それが?」

 

吹雪はだからという顔をしていた。

 

「アレが出るのは、寮とこの建物だけだよな?」

「聞いた話ではそうです、事務所前の海から上がってきて、寮に入っいくと聞いています」

 

私はそれならばと、吹雪に考えを話すことにした。

 

「執務室や私室、待機室等のこの事務所にある物を警備室に移す、彼処なら倉庫の陰になって見なくて済むのではないか?」

 

私は敷地の見取り図を見せながら吹雪に説明した。

 

「確かに!」

「吹雪、直ぐに人出を集めて引越し作業を」

「はい」

 

それから吹雪は携帯を取り出すと全員にメールを送っていた。

 

「何で思いつかなかったんだろう」

 

吹雪がポツリと呟いた。

 

「ブッキーお待たせ」

 

隼鷹以下のメンバーがやってきた。

 

「全員揃っているな、此れよりこの警備基地の執務室をゲート脇にある警備室へ移行する、移行完了後は事務所、寮共に立ち入り禁止とする…夕張は電気等のライフラインの切り替えを行ってくれ、それ以外は書類や事務機等の備品を運んでくれ、以上」

「了解」

 

 

そして引越し作業は昼を少し過ぎたあたりで完了した。

 

「忘れ物は無いな………」

 

私は最終確認の為に事務所内を点検すると、

 

「本日現時刻をもって、此処は立ち入り禁止とする」

 

私はそう言うと入り口を施錠した。

 

「提督、警備室の電源及び電話回線切り替え、ライフライン復旧作業完了です」

 

夕張から復電等の必要システムの復旧完了の報告が来た。

 

「有り難う、それでは今日はこれで解散とする」

 

私は業務終了を宣言すると、警備室1階の私室の片付けをすることにした。

 

「もうこんな時間か…」

 

時計を見ると午後8時となっていた。

 

「飯にするか」

 

私は事前に買っておいたコンビニ弁当を電子レンジで加熱して1人で夕食をとった。

 

「何も起きないな」

 

警備室へ移動した初日は何も起きずに朝を迎えた。

 

「結局アレとは?」

 

青葉がアレについて聞いてきた。

 

「提督何のお話ですか?」

 

丁度のタイミングで夕張が執務室に入ってきた。

 

「私と夕張の出会いについてだな」

 

私は少しとぼけた。

 

「なっ…まさかあの警備基地での話ですか?」

 

やはり夕張は気がついたようだった。

 

「そうだ…あの時の話だよ」

 

夕張が私の隣に座ると、

 

「途中私からも補足します」

 

そう言って話に加わった。

 

「警備室に移動してから3日位は何もなく過ぎたのだが…4日目に夕張と大淀が書類作成が終わらなくて、確か19時過ぎまで残る羽目になったのだ…」

 

私が其処まで話すと、

 

「大淀がお腹空いたと言って、給湯室に行った時だったよね」

 

夕張があの時を思い出しながら話を付け加えた。

 

「いきなり大淀が何か聞こえるとか言って顔を真っ青にして戻ってきたんだったな…」

 

私が話を続けた。

 

「私は給湯室に向かう途中の廊下の窓から…見てしまったのだよ、海から上がったアレの集団が旧事務所の方向へ向かう姿をな…まぁこちらには来なかったので安心はしたがな」

 

青葉と大淀は黙って私と夕張の話を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『』は幽霊の声と行為です。
この話に出て来る大淀は二人います。
夕張については提督が現鎮守府へ異動の際にくっついて来ました。
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