『青葉』
警備基地は青葉
鎮守府はワレアオバと呼称します
「司令官…お願いします、青葉さんだけでも…」
私は警備基地の吹雪から懇願され、青葉の救出をする事にした。
「大淀、これから名前を挙げる者を招集してくれ『明石』『夕張』『北上』『大井』『青葉』の5名を」
「了解しました」
大淀が放送で指名した5名を呼び出していた。
「明石以下5名揃いました」
明石が執務室にやってきた。
「明石は拠点強襲用試作ドローンを2台と予備のバッテリーを48時間分を専用トレーラーに積載の上待機、北上及び大井は飛行ドローン並びに予備バッテリーを用意し明石以下のトレーラーに同乗し待機、青葉は私とこい」
私は青葉を会議室に連れて行った。
「青葉、約束しろ絶対に勝手な行動はしないと、私の指示以外の行動はしないと…そうでないと何か起きた場合、君を見捨てなければならない、いいな」
私は青葉に警告し誓わせた。
「わかりました、提督の指示に従います」
私は青葉の肩を軽く叩くと、
「青葉は軍令部総長にこの件を報告、私は…奴の父親提督に連絡を入れる」
「了解しました…って行方不明の提督とお知り合いで?」
「腐れ縁というやつだ」
青葉が会議室内の電話で軍令部へと電話をかけ始めた。
「はい、槇原鎮守府です」
相手鎮守府の大淀が電話にでた。
「私は荒巻鎮守府の荒巻です、提督はご在席ですか?」
「少々お待ち下さい」
一旦電話が保留になった。
「私だ、荒巻何のようだ、忙しいさなかに電話なんて…」
槇原提督の機嫌はあまり良くなかった。
「単刀直入にお話します、警備基地に配属となったご子息が昨日より消息不明となりました、部下の艦娘よりこちらには捜索の嘆願が来た次第です」
私の話に、槇原提督は声を荒げた。
「息子が消息不明だと!どういう事だ聞いておらんぞ!
」
「槇原提督、警備基地迄御足労願えますか、其処で判っている詳細をご説明致します」
「わかった…昼には着くだろう」
「それでは12時に警備基地でお願いいたします、こちらは今から出発いたしますので10時には到着、捜索活動を開始いたします」
「そうか…さっきは済まなかった…息子の事を頼む」
そう言うと槇原提督は静かに電話を切った。
「大淀、私は此れより警備基地での捜索活動の為に現地入りする、以降鎮守府の提督業務は大淀に一任する」
「了解いたしました、お気を付けて」
私は大淀の挙手の敬礼に送られて警備基地へと出発した。
1時間後…。
「吹雪久しぶりだな」
「司令官…」
私を見て安心したのか吹雪が泣き出してしまった。
「明石、拠点強襲揚用ドローンの準備を…1台だけでいい、明石が操縦、バリはドローンカメラの監視で頼む、北上と大井はそれぞれ飛行ドローンを操作し空中からの捜索を開始してくれ」
「了解」
其々が受け持ちのドローンの用意を始めた。
「ワレアオバは敷地内の監視カメラ映像のチェックを、バカ息子が何処から入ったのか確認を」
「了解」
裏ゲートと封鎖柵両方の鍵が残されていたので侵入経路が不明だった。
「吹雪…」
私は吹雪の頭を撫でながら、そんな事を考えていた。
「はい荒巻です」
不意に私のスマホが鳴った。
「槇原だ、少し早いが警備基地前に到着した」
槇原提督が到着したと電話をかけてきた。
「お迎えに向かいます」
私は吹雪を連れ警備室を出ると、其処に立っていた将校に敬礼をした。
「槇原少将お待たせ致しました」
「気にするな、此れより無礼講とする、その方が貴官も動きやすかろう?」
「ありがとうございます、こちらへどうぞ」
私は警備室内の会議スペースへと槇原少将を案内した。
「現在迄には判明している事ですが、ご子息は着任初日の深夜2時に、当警備基地所属の青葉を連れ立ち入り禁止区域へと侵入したようです、それ以降携帯も不通となり音信途絶とのことです、私も何回かかけましたが、呼び出しはすれど出ない状況です」
私の説明を聞いていた、1人の艦娘が手を挙げた、
「長門だ………一言宜しいか?」
「どうぞ」
長門が口を開いた。
「そもそも立ち入り禁止区域とは何だ?」
槇原少将も頷いていた。
「では其処から説明します」
私は過去に起きた2つの事件と事故を詳細に説明した。
「俄には信じがたいな…だが上は何かを知っていて諦めろと…クソっ!」
長門の疑問も理解はできる、私もあれをみるまでは信じられなかった。
「確かに長門さんの言う事も理解できます、しかし私も2度アレを見てしまいました…見てしまったからには信じるしか」
「そうか…君も見ていたのか…ならそれが真実なのだな…」
槇原少将の表情は見えいられないほど憔悴していた、それは同行していた長門もだった。
唐突に槇原少将が口を開くと…、
「この長門はな…母親なのだよ…頼む息子を探し出してくれ…」
私は言葉に詰まった。
「申し訳有りません…お約束する事は…ですが時間の許す限り捜索は行わせていただきます、私にとっても彼は親友ですから」
それだけがやっとだった。
「そうだな…済まない」
重い空気が漂う会議スペースに、
「荒巻提督、各ドローン準備完了しました」
ワレアオバがドローンの準備が完了した事を報告してきた。
「先行して飛行ドローンによる空中からの捜索を行う、北上はスロープから事務所、寮に至る動線上を、大井はドローン搭載カメラをサーマルモードと通常モード併用で監視してくれ、明石の拠点強襲用ドローンは北上からの要請にて適時活動をしてくれ…以上だ」
明石達は敬礼すると即座に捜索活動を開始した。
「立ち入り禁止区域に入るよ〜」
北上が区域内に入った事を知らせて来た。
「提督、スロープより事務所迄のルート上に熱源反応無し…」
大井からの報告を槇原少将と長門がただ黙って聞いていた。
「提督…もしかしたらですが、地下から侵入できるルートが存在するのではないでしょうか?」
明石がふと思い付いた疑問を私に投げかけてきた、私は即座に吹雪を呼ぶと、
「夕張を連れてきてくれ」
「はい」
吹雪は私の言わんとすることを理解すると夕張を呼び出していた、
「お呼びですか提督」
夕張がやってきた、
「済まないが少し調べて欲しいことがある、立ち入り禁止区域内に抜けられる地下共同溝みたいな物はあるか?」
夕張は少し考えると、
「少しお待ち下さい、図面を探してみます」
そう言って工廠へと走っていった。
「人が通れると思われるのは此処と此処です…二本目の方が長さ的には30m程度なので可能性としては高いです」
私は夕張の示した工廠裏から延びる共同溝について少し考えた、
「夕張その共同溝入り口に案内してくれ」
私は夕張に入り口迄案内をさせた。
「此処か…北上、此処の上空にドローンを」
「ほーい」
北上が共同溝出口付近の上空へとドローンを移動させた。
「提督…最近蓋が開けられたようだよ…見てみなよ、草が蓋の下敷きになってる」
私は即座に追加の指示を出した、
「大井、ドローン2号機にて共同溝内部を探索カメラは通常モードのみとする」
「了解です」
大井が手際よくドローン2号機を機動させると共同溝内部へと侵入させた。
「提督!誰が倒れています」
私はモニターに映し出されたそれを見た。
「服装からして女性か…青葉の可能性有りだな…場所はどの辺りだ」
私の問に、大井が答えた。
「この辺りです、立ち入り禁止区域外です」
私は警備室にあった懐中電灯を手にすると共同溝の中に入った。
「青葉しっかりしろ!」
私は倒れている青葉の脈と呼吸を確認した、
「私だ、青葉の生存を確認するも付近に警備室基地司令の姿は認めず、ドローンはどうか?」
私は大井の操作するドローン映像の確認をさせた。
「立ち入り禁止区域内部出口付近に至るも対象者は発見できずです」
大井から返答があった。
「此れより青葉を救出する、夕張はドッグの準備を、鎮守府明石並びにバリは拠点強襲用ドローンにて地上の探索を開始せよ、なお期限は16時迄とする」
私は青葉を夕張に託すと、もう一度共同溝に入った…何故なら青葉が倒れていた場所から少し手前の側壁に人が入れる位の点検口が目に入った。
「誰か夕張に共同溝途中の側壁にある点検口が何処に繋がっているか聞いてきてくれ」
「少々お待ちを」
いつの間にかやって来た神通が応答した。
「お待たせしました、その点検口ですが行き止まり出そうですがそれがどうかされましたか?」
神通が聞いてきた。
「人が1人通れる位のハッチがあったから…もしかしてと思ってな」
私は懐中電灯を手に点検口の蓋を外すと中を覗き込んだ。
「居たぞ!」
彼はその点検口の一番奥に蹲って隠れていた。
「真司、馬鹿野郎心配かけさせるな…両親もいてるんだぞ」
私は警備基地司令である槇原真司を発見したことを無線で槇原少将へ知らせた。
「槇原少将、ご子息発見!怪我は無い模様、此れより戻ります」
私の報告に、
「有り難う…」
そう短く答えるとあとは泣き声に変わった。
「真司…あまり無茶するなよな、皆心配してたぞ」
「そっか…大輔…来てくれて有り難う」
私達は共同溝から出ると、青葉と槇原真司にお祓いを受けさせる事にした。
「今からこの寺に行ってこい、話はしてあるからお祓いを受けて来い、彼奴等はしつこくつきまとうぞ」
「あぁ…行ってくる」
青葉と槇原真司がお祓いを受ける為に寺へと向かった。
「これで…たが…」
そう今回は発見出来たが、過去の行方不明者は誰一人見つからなかった、遺体も勿論。
「やはり此処は完全に封鎖すべきなのでは?」
ワレアオバが何時になく真面目な事を口にした。
「そうだな…だが上層部は何故か封鎖せずにいる…何かそう出来ない理由を隠しているのか…疑りたくなるな」
等と話していると、槇原少将がやって来た。
「今回は世話になったな…彼奴が戻ったら…改めて遊びに来い、それではな」
槇原少将はそれだけを言うと長門と自身の鎮守府へと帰っていった、そして別れ際に長門が振り向きざまに、
「世話になったな…また家に遊びに来てくれ…」
それだけ言うと、槇原少将と車に乗り込み帰っていった。
「ワレアオバ…現在ヒトヨンフタゴウ、現時刻を以て私達も撤収する」
「了解」
私の撤収宣言で明石達が持ち込んだ機材をトレーラーに積み込み始めた。
こうして今回は一応の解決は見たが…アレは今でも心霊スポット巡りが目的の不法侵入者を取り込んでいるそうだ…。
「こんな話だ…」
私は話を終えた。
「彼処で過去にそんな事が…」
今回あの一件について私は総てを話した。
流石の大淀も驚きの表情をしていた。
「でも何で上は…民間人の行方不明者が出ているのに対処をしないのでしょうか?」
青葉が首を傾げながら聞いてきた。
「確かにな、今思えば疑問だな………」
私もそれについては頷いた。
「それからどうなったんですか…その警備基地の娘達は?」
大淀がその後を聞いてきた。
「所属艦娘の総入れ替えが行われてな…吹雪は…今…」
私は意味ありげに、間を開けた。
「吹雪ちゃん…」
とまた更に間を開けたタイミングで吹雪がやって来た。
「司令官お待たせしました、ってあの警備基地の話ですか、懐かしいですね」
私と夕張、吹雪以外が『へっ?』という顔をしていた。
「別部署へ異動となった大淀と青葉以外は全員うちにいるぞ、まぁこの件には箝口令が出されてな口外しないという条件で全員揃って同じ場所への異動となった…まぁ大淀と青葉はある意味人質扱いだな…」
大淀が何かに気がついたのか『はっ!』とした表情をした。
「提督、まさかとは思いますけど、何時も任務を持ってくる軍令部の大淀って!」
流石大淀。
「そうだよ、彼女が警備基地の大淀だよ、因みに青葉は大本営の情報部にいるぞ」
うちの大淀感が鋭いな…ニュータイプなのか?
「槇原真司さんって…その後はどうなったたんですか?」
夕張が聞いてきた。
「真司は今でもあの警備基地司令をやっている、彼奴心霊マニアだからなぁ…親父さんである槇原少将から聞いたよ、少将も呆れ果てていたけどな…まぁ今でも槇原真司とは親交はある(親友だからな)、当然彼奴が艦娘『衣笠』と結婚したいと相談された時は、青葉とアドバイスをしてやったよ…無事に結婚式挙げたしな…ブーケトスは夕張が見事にキャッチしていたなぁ」
私は夕張を見た。
「あれは絶対に私に向けて投げてくれました!」
夕張がその小振りな2つのメロンを張って自慢していた。