「提督、これだけの施設なのに入り口が此処だけとは腑に落ちませんね」
竹中課長が疑問を口にした。
「確かに、被害者達をこの入り口から連れ込んだとは考え難いですね、何処か別に搬入用の出入口がありそうですね」
等と会話をしていると、
「提督、聞いた話ですがこの鎮守府近隣に神隠しのトンネルがあると云う眉唾物の話があるのをご存知ですか?」
明石が口を挟んだ。
「神隠しのトンネルだって?」
竹中課長が明石に場所をきいた。
「10年くらい前に若い女性だけが乗車している車が忽然と消えたなんて話なのですが…実際に7名程捜索願いが出され今だに行方不明とのことです」
明石が地元で話されていた話をした、
「それでそのトンネルの場所は?」
竹中課長が神隠しトンネルの場所を聞いた。
「海沿いの国道沿いの此処です」
明石が地図上のあるトンネルを指し示した。
「鎮守府に隣接していていますね…ですが交通量だってそれなりにありそうな国道ですが…」
竹中課長が半信半疑な様子で地図を見ていた。
「夜中はどうだ?町外れでこの国道は鎮守府へ来る以外は港へ行くだけだが…」
私はその国道について知る限りの説明をした。
「………そうなると…確かにトンネル内に何か仕掛けがある可能性がありますね、一度調査してみる必要がありそうですね」
そしてその日の夜。
「此処か…」
私と竹中課長、施設科隊員、明石がトンネル入口に来ていた。
「仕掛けがあるとすれば、中間あたりのカーブ付近でしょうか…」
徒歩でトンネル内を調査したが………、
「これと言って何も無いな」
調査は空振りだった。
「となると、あの地下施設での再調査が必要か…」
私は一人呟いた。
「そうですね、恐らくはあの施設の何処かに入り口開閉の操作室があるのでしょう」
竹中課長がポツリと答えた。
翌日調査本部にて。
「先日確保した各種書類に施設の配置図が無いか再度確認を」
竹中課長が施設科員に指示を出した。
「それと同時に地下監視室の再調査も並行して行う、ただし監視室以外は立ち入らない事、以上」
施設科員がそれぞれの役割に就いた。
「課長、ありました」
監視室調査組から無線で報告が入った。
「何処だ」
「監視室マニュアル内にありました、今から持って戻ります」
程なくして調査本部に配置図が届いた。
「成程、監視室横の扉は事務室エリアに繋がっているのか…となると、この一番端にある部屋が怪しいな…実験室はどうだ…」
竹中課長が図面を確認しながら隊員に聞いた。
「図面からだと、反対側からしか入れない様です、実験室は更に下層に在るようで、マニュアルからですと高セキュリティエリアとなり、特別な鍵が必要なようです」
隊員が竹中課長に説明をした。
「よし、では此れより搬入経路へと向う、各員準備を」
我々は搬入経路の探索をする為に地下監視室から事務室エリアへと向かう事にした。
「提督、念の為に特捜の手配をしました、このあと合流予定です」
竹中課長が特捜を手配した事を私に話した。
「無難でしょう」
「提督、正面ゲートに特捜の東雲警部がお見えになりました」
警備隊員から報告が入った。
「通してくれ、司令部入口に大淀が待機しているから」
そう伝えると警備隊員は了解と短く答えた。