荷捌きの調査をしていると、私のスマホが鳴った。
「こちら正面ゲート警備、提督宛に初代提督と仰るご老人がお見えです」
私は、竹中課長を見た。
「東雲警部を呼びます」
竹中課長が手近にいた特捜の捜査員に警部を呼び戻すように話していた。
「一旦警備室内の応接室で待ってもらってくれ」
「了解」
私は戻ってきた東雲警部に来客の内容を伝えた。
「初代提督ですか………何か知っているかもしれませんね、会ってみましょう…場所は捜査本部で」
私は直ぐに警備へと電話を掛け東雲警部からの指示を伝えた、
「司令部三階の捜査本部に案内してくれ」
「了解」
警備兵はそう手短に答えると電話を切った。
「我々もいきましょう」
私と竹中課長、東雲警部の3人は捜査本部が設置された司令部三階の会議室へと向かった。
「なんじゃ、儂を誰じゃと…」
我々が三階に着くと何やら揉めている様子だった。
「お静かに願います」
どうやら大淀が宥めているようだ。
「我々は特捜の取調室でも構わないが…」
東雲警部が老元提督へと圧力をかけた。
「なんじゃ…こいつらは!」
老元提督が噛みついてきた。
「私はこういうものです」
東雲警部が手帳を取り出すと老元提督に見せつけた。
「特捜…だと、儂が何を!」
「それはこれから聞くことだ」
老元提督は、相手が特捜の人間とわかるとおとなしくなった。
「先ずは在籍期間を」
東雲警部が質問した、そしてうちの大淀が臨時の書記官として記録をとっていた。
「10年前から8年前迄の期間じゃ…この鎮守府ができてからの2年間執務しておった」
老元提督が記憶を辿っていた。
「この建物は?」
東雲警部が施設について質問した。
「元々は外資系の製薬会社の港湾施設じゃった物を軍が買い受けてじゃ」
元提督が鎮守府の事を話した。
「地下については?」
「………確か………防災センターじゃったか………機材が古すぎるのと空調が使えないと聞いたな、じゃから空調設備の負荷を考えて封鎖してのじゃが、何かあったのか?」
元提督が逆に聞いてきた、
「実は謎の施設が司令部地下にて発見されました…恐らくは製薬会社時代の施設かと思われます」
東雲警部が簡単に答えた。
「なっ!!」
流石の元提督も驚きの表情を浮かべた。
「それと行方不明者が拉致されたであろう証拠も」
其処まで東雲警部が話していると、
「儂の孫2人も行方不明者リストにあるはずじゃ…」
元提督が思わぬ事を口にした。
「お名前を伺っても?」
東雲警部が行方不明の孫の名前を聞いた。
「名倉真帆と美帆…20歳と18歳の姉妹じゃ…8年前に儂が買ってやった車で夜中にドライブに行くと言って…それっきり帰ってなんじゃった…」
元提督は、そこまで話すと静かにないていた。
「元提督、お孫さんのお車はこれですか」
東雲警部が1枚の写真を見せた。
「これ…これじゃ、何処に」
元提督が発見場所を聞いてきた、
「地下から発見された謎の施設内でです、それとこれも」
東雲警部が実験室で発見された姉妹の運転免許証等の所持していたであろう物の写真も見せた。
「………」
元提督は遂に声をあげて泣き出した。
「真帆、美帆…やっと見つかった…それでは2人は生きているのか!」
一縷の望みを掛けて聞いてきた。
「まだ其処迄は捜査は進んでいません、今暫くお待ち下さい」
「わかった…済まぬが頼む」
老元提督は帰っていった。
「8年前か…生存は絶望的だろうな」
元提督が建物から出るのを窓から見ながら東雲警部が一人呟いた。