「提督聞こえっかオレだ、全員指定海域に到着したぜ」
天龍から指定場所到着の無線が入った。
「天龍、正面の山腹にキタガミ食品工業の看板は見えるか?」
「見えるけどよ………其れが?」
「その看板から海に向ったライン上に大堰川造船が見えるはずだが、どうだ」
「ちょっとまってくれよ………あるぜ」
「そしたら、天龍以下の者は大堰川造船2番ドッグに入船しろ、艤装は造船ドッグ内にて艤装解除し、造船所職員に任せろ」
私はここまで指示すると、天龍からの返事を待った。
「了解したけどよぅ………どういうことなんだよ」
天龍が疑問だらけという感じで聞き返してきた。
「安心しろ、大堰川造船は軍のダミー会社だ、職員はすべて海軍軍人だ、詳細は合流したら説明する」
其れを聞いてか天龍が安心したのか、
「了解したぜ」
何時もの口調で答えた。
「其れから、大堰川造船の敷地内にキタガミ食品工業と描かれたマイクロバスが用意してある、其れに乗ってこい、運転手は手配してある」
私は天龍との通信を切ると、バターンをみた。
「それじゃ、工廠棲姫について話してくれ」
バターンがコーヒーを二人分淹れてきた、
「わかりました、正式な私達深海棲艦内での名称は鎮守府棲姫と言って、港湾棲姫、飛行場棲姫と同じく陸上型の個体で、造船機能を持っています………実はこの造船機能が一番の問題で、艦娘を深海棲艦化させることで仲間を増やすというものです………」
バターンの話に私は驚きを隠せなかった。
「それじゃ………」
「はい、深海棲艦に撃沈された艦娘を回収若しくは、拿捕してというものです………深海棲艦化については、鎮守府棲姫のみが持つ特殊なウィルスといいますか、提督のお好きなバイオハザードに出てくるプラーガみたいなものとお考えください、其れを経口投与で摂取若しくは注射による幼体の体内への接種が方法です、そして深海棲艦化した艦娘は元には戻れません………通称ドロップ艦として転生してもそのプラーガ的なものを排除しないと再深海棲艦化します、それで今回の件については何者かが命令書を偽造して、鎮守府棲姫を鎮守府内に入れる事で鎮守府の壊滅を狙ったものかと」
私はある人物が頭に浮かんだ、
「まさか………彼奴からの艦娘移籍を拒否したからなのか…」
「提督、その人物とは?」
バターンが聞いてきた、
「それは玉袋 修造と言って、艦娘を欲望の対象としか見ていない下衆な奴だ………今回の事が起きる少し前に陸奥、金剛、榛名、愛宕、高雄を寄越せと言ってきたから拒否したのだが………」
バターンは少し考えると、
「時期的にみても、まず間違いないですね………証拠が欲しい処です」
そんな時だった、
「提督、大淀ですが入ってもよろしいですか」
「入れ」
「失礼します、実は鎮守府を脱出する際に命令書を持ち出しました」
大淀の手には偽造と思しき命令書や現在の艦娘達の写真があった。
「拝見します」
バターンが写真を手にした。
「不味いですね、かなり深海棲艦化が進行しています」
肌は白くなり、頭髪はまさに白髪となっていて、頭部には二本の角が生え始めていたがその写真に写っていたのは紛れもなく金剛だった。
「………」
私は言葉が出なかった。
「気休め程度ですが、私達深海棲艦から見れば感染者は判ります、あとはCTスキャナでも造影できます…治療方法は接種直後3日以内の段階なら放射線照射による駆除治療が有効ですが………此処までの変化が出てしまったら………残念ですが艦娘には戻れません」
私はバターンの言葉に驚くと同時に落胆した
「そうか………つまり外見に変化が出たら助からないという事か…」
「はい、それから現在ここセーフハウスにいる娘達は大丈夫です」
私はバターンの言葉に安心すると、残っていたコーヒーを飲み干した。
「バターン、今の話は極秘とし口外を禁止するいいね、それとこの後合流する天龍達を青葉と衣笠と共に大堰川造船に出向いて確認を頼む」
「了解しました」
バターンが青葉と衣笠を呼びに執務室から出ていった。