バターンが天龍達を迎えに行っている間、私は大淀が持ち出した命令書を確認していた。
「何か違和感があるのだが………」
「確かに何か違和感を感じるのですが………」
大淀も違和感を感じていたようだが、其れが何かはわからない様子だった。
「その体内に取り込まれた何かを駆除しないと駄目なのか…」
私は命令書の事を考えるのを止めて夕張の事を考えていた。
「提督、元帥からお電話です」
大淀が電話を取った。
「はい、お電話替わりました」
「はい、はい…はい…、そうですか…」
私は元帥からの指示を受けると受話器を置いた。
「大淀、結論がでた」
私は沈痛な気持ちで言葉を繋いだと、
「残念だが、此処に居る者以外は全て深海棲艦と認定となった………大淀、済まないが今一度、艦娘ネットワークで呼びかけてくれ、其れに応じてくれたものは助けたい」
「了解しました」
大淀が直ぐに通信を開始していた。
「この無線を聞いたら、大淀迄返事をしてください…繰り返します、この無線を聞いたら、大淀迄返事をしてください…繰り返します………」
大淀が無線で必死に呼びかけていた。
「………ら、………す」
大淀の無線に微かだが何か反応があった。
「こちら大淀です、もう少し大きい声でお願いします」
「こちら扶桑、山城と私の部屋に隠れてます」
私は大淀から無線機を奪うよう取ると、
「扶桑、二人だけが?」
扶桑に確認した、
「はい…………」
「そうか…扶桑に命ずる、持てるなら身の回り品を持ってフタサンマルマルになったら、鎮守府を脱出第5公園噴水前にて待機、迎えの車両が待機している」
私は必要事項を扶桑に伝えた。
「扶桑、山城了解しました」
私は無線機を大淀に返すと、扶桑達のことを話した。
「今回ばかりはドッグ入が幸となったようですね………」
私は大淀と笑いあった。
「まぁ兎も角、扶桑と山城が無事で良かったよ、しかし総戦力の1/3しか助からなかったがな」
私と大淀は沈痛な表情だった。
「おぅ、今戻ったぜ………提督鎮守府で何が起きたんだよ」
天龍が戻るなり聞いてきた。
「詳細は私にも解らない………鎮守府から脱出して来た者達からの聴き取りしている内容くらいしかな」
「そうなの………」
龍田も何時もの甘ったるい口調ではなくなっていた。
「大淀、済まないが会議室に全員を集めてくれ」
「了解しました」
大淀がセーフハウス内にいる艦娘を会議室に集めた。
「全員揃ったな………みんな不安だと思う、今解っていることを説明する」
私は全員の顔をみた、
「今から2ヶ月前のこの日、下命部署不明の命令書が長門に下された、これは私を通しておらず又大淀も知らないものだ、その内容は『深海棲艦 工廠棲姫』の拿捕であった、そしてこの命令は金剛型4名にて実行されたことが確認されている………」
私は此処まで話すと、一呼吸置いた。
「提督いいかしらぁ~」
龍田が何時もの口調で質問してきた。
「何だ?」
「姫級を戦艦とはいえたった4人で拿捕って不可能なのじゃないかしらぁ~」
龍田の疑問はこの場に居た全員が感じたものだった。
「龍田の疑問は私も感じた………飽くまでも想像だが、この作戦は造られたものだ、私の鎮守府を壊滅させるためのな、此処に疑惑の渦中の人物からの通信が録音されている」
私は、ICレコーダーを起動させるとある人物との会話を再生させた。
『提督、ワシだ玉袋だ、要件を言う…貴様の処の陸奥、金剛、榛名、愛宕、高雄を寄越せ、ワシが足腰が立たぬまで可愛がってやるからな………』
『ふざけないでもらいたい、貴官の下らない欲望の為等に部下を渡すことはできない、顔を洗って出直せ、痴れ者が!』
此処で録音は終わった。
「ふっふざけんな!」
天龍が切れた。
「落ち着け、私も流石にこのときは怒鳴り返したさ………だが腹いせに深海棲艦其れも姫級をとは、裏がかなり深いぞ」
「そうねぇ~、だけど深海棲艦と繋がっていたなんてぇ~この会話の相手許せないわねぇ~」
龍田の周囲の温度が氷点下にでもなったかに感じた。
「龍田、殺気仕舞え………吹雪達が怯える」
「あらぁ~ごめんなさいねぇ~」
何時もの龍田に戻った………隣で天龍が気絶しているのは黙っておこう。
「この会話の相手は玉袋 修造という男で、以前より問題行動を指摘されていた人物であり、父親が議員先生だ…まぁ今回の録音データから奴の鎮守府には特高警察の調査が入った………まぁ拷問というおまけ付きの取り調べが自白するまで行われるだろう…勿論父親も無傷ではすまないだろう………さて、此処からは現在の我々の鎮守府について説明する、先日偵察機を飛ばしたところ………鎮守府内に艦娘の気配は無く外周部の警備兵のみだった、其処で警備兵に施設内に残された資材や君達の私物の回収を命じてある…尚鎮守府については閉鎖としこのセーフハウスを仮の鎮守府として活動することが決まった…以上」
艦娘達に説明を終えると、私は扶桑姉妹の合流を待つことにした。
鎮守府脱出組
戦艦
扶桑 山城
重巡
青葉 衣笠 高雄 愛宕 足柄 羽黒
軽巡
天龍 龍田 球磨 多摩 北上 大井 大淀
空母
隼鷹 千歳
駆逐艦
吹雪 白雪 初雪 深雪 浦波 磯波 綾波 敷波 時雨 夕立 陽炎 不知火 黒潮
工作艦
明石
合計31名(全体の約2/3が深海棲艦化)