途中から進行形のガチになります。
後半は不思議ではなくなってますがご愛嬌で赦してください!
「私も一つ有るんだ」
私は青葉に告げた。
「提督もあるんですか」
青葉が食い付いてきた。
「まぁな、鎮守府の敷地のはずれにトタンで囲われた建物が有るだろ……何時から在るのか…何の施設なのか誰も知らないんだよな」
私はそう言いながら写真をテーブルの上に置いた。
「外周はおろか、天井と云うか完全に封鎖されているのですね」
大淀と青葉が写真を見ながら不思議そうにしていた。
「私達は提督が着任するのと同時に配属されたからなぁ、知っている訳ないし…」
青葉も今回ばかりはお手上げな様子だった。
「まてよ…前任者の時のだったら、何かしらの理由を知っているかも」
私は直ぐに電話を取ると海軍人事部に問い合わせた。
「……そうですか…はい…はい…ありがとうございます」
私は電話を切ると、
「隣町に元金剛四姉妹が住んているそうだ、面会のアポイントも取ってもらった」
私の心の中で何かこうこの件に関してこれ以上触れてはならないのではないかと云う気持ちがチラチラと見え隠れしていた。
ーーーーーーーーーー面会の日
「はじめまして鎮守府の提督です、今回はお時間を頂き有り難うございます」
私は挨拶を済ますと本題に入った。
「今回お邪魔したのは、鎮守府敷地内のトタンで覆われた建物について知っていればと思いまして……」
私の質問に金剛が答えた。
「私と榛名が着任した時には既にあの状態でしたし、当時の提督からも近づく事を厳禁されていましたから……比叡や霧島なら…」
金剛が比叡をみた。
「私の時は……まだトタンで覆われていませんでした、ただ窓や扉は板で打ち付けられて出入りはおろか中を見る事も出来ませんでした」
私は比叡の答えを聞いて、少し考えた。
「中に見られたくない何かを隠しているのか……それとも…」
最後に霧島が語った。
「私が着任したときはごく普通の平屋の家でした…ただ誰かが住んでいるという気配はありませんでした……榛名が来るちょっと前に完全に封鎖してしまいました、何が有ったのかは…あの家についてはいきなりの箝口令が発せられたので詳しくは分かりません」
「霧島着任後比叡着任迄の間で何かあったのか、そして榛名着任の前に覆われ箝口令が出されたと…一体全体何を隠しているのか……」
私は四人の答えを聞いて更に疑問を感じた。
「提督、上手くいえないのですか……あの家には関わらない方が宜しいのではないかと……」
金剛が進言した。
私は四人に礼を言うと鎮守府へと戻った。
「どうでした?」
大淀が聞いてきた。
「前任者の時若しくはその前の代で何かあったのは確かなんだが……」
そんな時だった、青葉が一人の老人を連れて執務室に駆け込んてきた。
「提督、この人わかるそうです!」
私も大淀も「へっ?」という顔をした。
「ワシはこの土地に祖父の頃から住んどる、あの家には悪いもののけが取り憑いとるで近付くでない」
老人はそれから何があったのか話しだした。
「先ずあの家には出入り口がないんじゃ、何故なら中に住まうもののけを外に出さないようにする為にな」
私はもののけという言葉が気になった。
「ご老人、そのもののけと云うのは?」
私は老人に聞いてみた。
「ワシも詳しくは知らん、じゃがな……聞いた話によると……何処かの部屋にある古い鏡台の引き出しに大量の女の指が入っていたとか平屋なのに二階に上がる階段があったのだとかと云う事じゃ」
「まぁその家を取り壊そうとしたら重機が事故を起こすとか死傷者が出たとかあったそうじゃ……」
老人はそこまで話すと、最後に一言だけ言うと帰っていった。
「よいか、あの家にはこれ以上触れるな、何人たりとも近付くでない」
「お約束だが……念の為に……」
私が何を言いたいか理解したのか、大淀が明石に目隠しの塀を建てるように指示を出していた。
そして数日後、大淀が深刻な顔をして執務室にやって来た。
「大変です、3日前より夜間外出の申請のあった川内、那珂、鬼怒、球磨、多摩の5名が戻っていません」
私は大淀の報告に驚いた。
「5人の行き先は?」
「鎮守府からは出ていないようですが……」
「青葉を呼んでくれ」
私は青葉を呼ぶように指示した。
それから直ぐに青葉はやって来た。
「青葉緊急事態だ川内、那珂、鬼怒、球磨、多摩が3日前から行方不明となっている、ゲートのカメラを確認したが敷地外には出ていない、鎮守府内の防犯カメラ解析を」
私の言葉を最後まで聞くまでもなく青葉が行動をおこした。
「提督……やな予感がします、あの家の周囲にある監視カメラから調査します」
そう言うと青葉が執務室を後にした。
数時間後…
「提督、解析結果です」
青葉が数枚の写真を持ってきた。
其処には封印された家にトタンをこじ開けて入っていく5人が写っていた。
「あれには触れたくなかったが、行方不明者がいる以上放置も出来ない、明石にトタン壁の解体を指示してくれ」
私の指示のもとトタン壁全て取り払われた。
「出来る事なら中には入りたくないな……」
私の呟きを明石が聞いていた。
「これを使いましょう、一人づつなら曳航出来ます」
明石が上半身が人型、下半身は戦車の陸上走行タイプのドローンを持ってきていた。
「ドローンによる探索ならば…」
明石が操作しながらドローンを室内に入れた。
「玄関が無いので庭に面した居間から入ります」
キャタピラ駆動のドローンが室内を進んでいった。
「提督、球磨ちゃんです!」
居間を抜けた廊下に球磨が倒れていた。
「まずは球磨を曳航離脱」
ドローンによって球磨が家から引っ張り出された。
「では再度侵入します」
明石のドローンが再度家の中へと入っていった。
「ここは台所の様です」
私は明石の横から操作用のモニターを見ていた。
「明石ストップ、今の所」
私が指差した先、ちょうど冷蔵庫の陰に多摩が丸くなって震えていた。
「多摩、私だ、そのドローンに掴まって外に出てこい」
多摩は怯えながらではあったが私の指示通りにしてくれた。
その後も那珂、鬼怒が風呂場と扉の無い玄関で発見され無事にドローンに曳航されて出てきた。
私はある程度落ち着いた多摩に声を掛けた。
「多摩、何があったのか話してくれ」
だが多摩は答えなかった、ただ一言鏡台の引き出しとだけ言ってまた震えだした。
「提督、階段があります!」
「階段だと……あの老人が言っていた通りだ」
外から見ても二階部分なんか無い家なのに室内には二階に上がる階段があったのだ。
「提督、姉さんの事は諦めましょう、私の中のゴーストが囁くのです、これから先は行くなと」
いつの間にかやって来ていた神通が私にそう言った。
私は苦渋の決断を下すしかなかった。
「現時刻をもって捜索を打ち切る、明石は速やかにドローンを回収してくれ残念ながら川内は……MIAとする」
「提督待ってください!階段の中ほどに足が見えます」
明石が私の指示を聞かずにドローンを階段の中ほどに進めた。
だが其処には確かにあったのだ、間違いなく川内の下半身だけが
「ウェ」
流石の明石も口元を覆った。
何故なら何者かによって上半身を食い千切られた下半身だけがあったのだ。
「明石…この家ごと周囲五メートル四方をコンクリートで完全に埋めてしまってくれ」
「はい…」
あんなものを見てしまった明石も素直を従った。
川内の下半身は回収され、荼毘に伏した。
「川内に於いてはMIAでは無く戦死扱いとする」
私は神通にそう告げると、必要書類を準備した。
結局その封印された家で何があったのかはわからなかった、何故なら助け出された那珂達4名もその時の記憶がスッポリ抜けていたのだった。
今回の話に出てきた陸上走行タイプのドローンですが、明石が趣味で開発したザクタンクを原型にしたものです…と云うか上半身はまんまザクとして、そのままスケールダウンしただけです。