「此処は何処だ………何も見えないが………」
俺は気が付くと暗闇の中にいた。
………………………どれ位時間が経ったのだろうか、眼の前に一筋の光が徐々に拡がっていった。
「えっと………何これ………艦娘?どう見ても男なんだけど?」
俺の眼の前に立つミートボールみたいな体型の白い軍服を着たオバハンが文句を垂れていた。
「提督、私に言われても…」
側に立つ褐色の肌で胸にはサラシしか巻いてない露出狂としか思えない大柄な女が返していた。
「俺はヤマト」
俺は一応名乗った『ヤマト』と
「大和だと!」
褐色肌のゴリラが詰め寄ってきた、
「あの赤錆びで朽ちたスクラップがかっ!」
ゴリラは俺に掴みかかるような勢いで問い詰めてきた。
執務室は一種即発状態となった。
「提督!緊急事態発生、当鎮守府沖360kmに深海棲艦の大艦隊が接近中!」
「なんですって!数は?」
提督が慌てるように大淀に聞き返していた。
「戦艦25、空母6、巡洋艦18、駆逐艦多数!」
大淀からのそれを聞いた提督は顔面蒼白となりながら、
「今から言う娘は、直ちに出港用意………呼ばれなかった者は鎮守府に残留して防衛に当たれ」
提督は一呼吸おくと、
「武蔵、長門、陸奥、金剛、比叡、榛名、霧島、伊勢、日向、赤城、加賀、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴、隼鷹、飛鷹、妙高、那智、足柄、羽黒、鳥海、摩耶、最上、三隈、鈴谷、熊野、阿賀野、矢矧、能代、酒匂、白露、村雨、時雨、夕立、陽炎、不知火、黒潮、雪風、秋雲、夕雲、浜風、秋月、冬月、涼月…以上の者は直ちに出港準備!」
提督が出撃メンバーと覚しき名を挙げると、妙高が反論した。
「提督!何を考えていらっしゃるのですか、残された娘達は皆損傷艦娘ばかりではないですか………まさか!」
妙高が何かに気がついたようだった。
「あら、言わなきゃ解らないかしら、損傷艦娘なんてなんの役にも経たないんだから、足留め位はしてよ…それとさ、大和だっけお前も残留ね、そんな赤錆びたスクラップ戦艦なんて要らないから」
「提督、私達は残ります、貴女の命令は聞けません」
妙高は、はっきりと命令拒否を口にした。
「まぁ、好きにすれば…どうせ蹂躙されて全滅しか未来は無いんだからね」
提督は言いたいことだけを言うと、執務室から出ていってしまった、脱出組の艦娘達と。
「妙高さん、この鎮守府に明石は居ますか?」
俺は明石がいるか聞いてみた。
「ええ、居るわよ」
「案内頼めますか?」
「構わないけど………」
俺は妙高さんに明石の所への案内をお願いした。
「明石いるの?」
妙高さんが工廠の扉を開くと声を掛けた。
「こっち〜」
工廠の奥から声が聞こえた。
「明石さん、深海棲艦の大艦隊が迫っているのは知ってますね?」
「聞いてるわよ、それが?」
「ドッグと工廠で使う以外の全電力を俺にまわして欲しい、そうすれば主機が起動できる」
明石は俺の赤錆びて朽ちた艤装を見ると胡散臭そうに溜息をついた。
「電力を回したからって………そんなに赤錆びて朽ちた艤装が使えるようになるわけないでしょ!」
明石は俺の提案に苛ついたような声で返してきた。
「時間が無いんだろ!」
明石は俺の声に驚いて慌てながら電力ケーブルを引っ張ってきた、
「これでいいの………」
「ああっ」
俺は艤装の給電口にコネクターを接続した。
「動力接続…エネルギー充填開始!」
俺は主機起動の為の電力を蓄え始めた。
「敵艦隊到着迄…あと365分!」
大淀が顔面蒼白になりながら工廠に駆け込んできた。
「全機構異常無し、エネルギー正常に充填中」
俺は補助エンジン始動手順を始めた、
「補助エンジン内圧力上昇、始動10秒前……補助エンジン動力接続スイッチオン……………補助エンジン始動確認、補助エンジン低速回転1600、両舷バランス正常パーフェクト」
俺は補助エンジン始動を確認すると、主機への動力接続準備を開始した。
俺は淡々と主機始動の準備を続けた。
「波動エンジン内エネルギー注入、シリンダーへの閉鎖弁オープン、波動エンジン始動五分前」
俺は鎮守府の電力を主機へと充填していった、
「波動エンジン内圧力上昇エネルギー充填90パーセント…波動エンジン内圧力上昇エネルギー充填100パーセント、波動エンジン点火二分前、フライホイール始動10秒前…現在補助エンジンの出力最大」
「敵艦隊鎮守府到着迄あと180分!」
大淀が金切り声を上げていた。
「波動エンジン内エネルギー充填120パーセント」
俺はそれに動じること無く、主機始動に向けてのプロセスを実行していた。
「フライホイール始動…波動エンジン点火10秒前、5、4、3、2、1フライホイール接続点火!波動エンジン始動確認!」
俺は一呼吸置くと、
「偽装解除、抜錨ヤマト発進!」
俺の声に反応して、赤錆びて朽ちたそれは崩れ落ちていった、そしてそこに現れたのは…真新しい装甲に覆われた一隻の大型戦艦が姿を現した。
「主砲追尾装置連動よし、主機からのエネルギー供給終わる、主砲発射準備よし」
妖精さんからの報告を聞くと、
「全主砲、うちー方始め!」
ショックカノンが接近する深海棲艦の艦隊前衛部隊を壊滅させた、そして俺は大淀達に向き直ると、
「俺の名は、国連宇宙海軍所属 恒星間航行用超弩級宇宙戦艦『ヤマト』、貴此れより敵艦隊撃滅の為出撃する!」
そう告げ俺は強力な波動エンジンの力で空高く上昇すると、鎮守府に迫る深海棲艦の艦隊を撃滅すべく出撃した。