ーーー明石視点ーーー
「電力って言うけど………電力を供給してもそんなボロボロの艤装をどうするつもりなのよ!」
私はその青年(どう見ても十代半ば位)の言う言葉を理解できなかった。
「時間が無いんだろ!」
彼は私を急かした。
「これでいいの………」
私は言われるままに給電用のコネクターケーブルを彼の艤装に接続した。
「動力接続…エネルギー充填開始!」
彼がそう言うと、艤装に電力が流れ始めた。
「嘘でしょ………」
彼の艤装からの重い何かの回転音が聞こえだした。
「補助エンジン始動」
彼がそう言うと、脚にある推進機が振動していた。
「波動エンジン始動確認!」
私は耳を疑った、何故なら聞いたこともない機関名だったのだ。
「波動エンジン?何よそれ………艦本式ロ号缶じゃないの?」
私の頭の中で??が飛び交っていると、
「偽装解除、抜錨ヤマト発進!」
更に驚くべき言葉を発した。
「艤装?偽装?大和?どういう事?」
私は…いえ、その場に居合わせた総ての艦娘が混乱した、赤錆びて朽ちた外板が崩れ落ちるとその下から大和とはかけ離れた大きさである真新しい艤装が姿を現した、それは各武装かみても大和を超える超大和とでも言うような形状だったのだから。
そして彼は3基ある主砲を沖合に向けると、発砲した。
「えっ?光が?ビーム兵器なのっ!」
私は愕然とした、その大和の主砲は私達のような実弾兵装ではなく光学兵装だったのだから…更に驚く事に、煙突と思われた場所から垂直に噴式兵器を発砲したのだった。
「まさか………大和は大和でも………ヤマトの方なの!だとしたら、提督は人類最強の艦娘を敵にしたことになるのね………」
私は鎮守府に迫る深海棲艦の艦隊を撃滅に向かう彼を見送った。
ーーー妙高視点ーーー
「提督!緊急事態発生、当鎮守府沖360kmに深海棲艦の大艦隊が接近中!」
大淀が近隣の鎮守府からの敵艦隊接近の報告を提督に伝えた。
「なんですって!数は?」
提督が慌てるように私に聞き返してきた、
「戦艦25、空母6、巡洋艦18、駆逐艦多数!」
鎮守府から発進した索敵機の報告で敵の編成も明らかとなってきた。
「なんて数なのよ………」
提督は顔面蒼白隣りながらも、
「今から言う娘は、直ちに出港用意………呼ばれなかった者は鎮守府に残留して防衛に当たれ」
提督は一呼吸おくと、
「武蔵、長門、陸奥、金剛、比叡、榛名、霧島、伊勢、日向、赤城、加賀、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴、隼鷹、飛鷹、妙高、那智、足柄、羽黒、鳥海、摩耶、最上、三隈、鈴谷、熊野、阿賀野、矢矧、能代、酒匂、白露、村雨、時雨、夕立、陽炎、不知火、黒潮、雪風、秋雲、夕雲、浜風、秋月、冬月、涼月…以上の者は直ちに出港準備!」
と意味不明の指示を出した、そして………
「提督!何を考えていらっしゃるのですか、残された娘達は皆損傷艦娘ばかりではないですか………まさか!」
私は提督に意見していた。
「あら、言わなきゃ解らないかしら、損傷艦娘なんてなんの役にも経たないんだから、足留め位はしてよ…それとさ、大和だっけお前も残留ね、そんな赤錆びたスクラップ戦艦なんて要らないから」
私は提督の言葉に耳を疑った、そして………。
「提督、私達は残ります、貴女の命令は聞けません」
はっきりと命令拒否の意思表示をした、
「大淀、鎮守府に残された娘は?」
提督が脱出組を連れて出ていくと、私は大淀に聞いた、
「戦艦は『扶桑』『山城』『大和』の3人、空母は『千歳』『千代田』『祥鳳』『瑞鳳』『鳳翔』の5人、巡洋艦は『青葉』『衣笠』『高雄』『愛宕』『天龍』『龍田』『川内』『神通』『北上』『夕張』『大淀』の11人、駆逐艦は『吹雪』『白雪』『初雪』『深雪』『浦波』『磯波』『綾波』『敷波』『暁』『響』『雷』『電』の12名と『明石』『間宮』『伊良湖』の合計34名よ」
大淀から残留を言い渡された艦娘の名簿と損傷放置されている現状を聞いた。
「そう……損傷した娘達は放置されたままなのね………私の一存では高速修復材は使えないし」
私はどうしたものかと悩んでいた、丁度そんな時だった。
「えっ何?」
私の居る部屋の照明が消えた、私は窓から周りの建物を確認した。
「工廠と司令部以外は停電?」
私は直ぐに大淀に確認した、
「大淀何が起きたの?」
そして暫く経ってから来た大淀からの答えは私の理解を超えていた。
「人類最強の艦娘が目を覚ましました」
私は大淀の答えを理解できなかった。
「大淀何を………」
そして私は窓から、空中に浮かんでいる一人の艦娘(?)を目撃した。
「な………何よアレ」